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目でみる方言

目でみる方言

岡部 敬史 著  山出 高士 写真

ISBN:978-4-487-81629-3
定価1,430円(本体1,300円+税10%)
発売年月日:2023年03月14日
ページ数:176
判型:A5変形

解説:
日本各地の方言をとりあげて、そのことばが使われている地域で何を意味しているのか、写真で「見てみよう」という試みの本。

はじめに

 本書は、日本各地の方言を取り上げて、そのことばが使われる地域で何を意味しているのか、どのような状態を表しているのかを写真で「見てみよう」という試みの本です。
 一例を挙げると、沖縄県の方言として「ぜんざい」を取り上げています。このことばに対応する写真は、一見すると「かき氷」です。それは、沖縄の「ぜんざい」が「かき氷スタイル」で提供されるが故なのですが、他県民からすると、このことばと写真の差に「え?」と思うのではないでしょうか。このギャップを楽しんでもらえたらなと思っています。
 このように方言を写真でみること。そして、全国の方言にまつわる興味深い話をコラムで紹介することで、この本は構成されています。
 この本を作るときに意識したことが、ふたつあります。
 ひとつは、各地で「今でも使われていることば」と使っている人が「方言だとは思っていなかったことば」をできるだけ選ぶということ。幅広い世代の人に楽しんでもらいたいので、できるだけ今でも使っていることばから選ぶようにしました。また「方言だと思っていなかったことば」は、今でも使うことばである上、そこに驚きもあるので積極的に紹介しました。
 もうひとつは日本各地の方言を紹介すること。本書では、北は北海道から南は沖縄県まで、方言に関する全国47 都道府県の話題を取り上げて解説しています。北から南まで順番に配列していますが、順番通りに読む必要はありません。気になるところから読んでいただければと思います。
 なお本書で〇〇県の方言として紹介したことばは、その地方・地域の特徴的なことばではあるものの、個人によって「使う/使わない」というグラデーションが当然存在します。家族構成や、その土地にどれくらい住んでいるのか、また例えば、現在は同じ愛知県であっても、旧尾張地方と旧三河地方のような明治以前の行政区分のちがいなどでも、ことばは異なってきます。また地域や世代によって、細かな表現のちがいなども存在します。
 そういったちがいがあることを前提としつつも、本書では現在の都道府県で区分けし、その県の代表的な方言として紹介していることもご理解いただければと思います。なお、当地で広く使われている商品名など、旧来からの方言というカテゴリに入らないものもありますが、これらも本書では「方言」として取り扱っています。
 書店や図書館には、方言に関する本がすごくたくさんあります。それらには、本書のように全国的な視点から各県のものを紹介しているものもあれば、その地域のことばについて深く調べたものまで多種多様です。こんなことからも、南北に細長い日本列島には、方言自体が無数にあることがわかります。本書はそこから数多くの方言を網羅的に紹介するのではなく、先述した方針に基づき著者の判断で選んで紹介していることをご了承ください。
 原稿は岡部敬史が担当し、写真は主に山出高士が担当しました。
 この本で方言の話に花が咲きますよう。


岡部敬史

沖縄県では、かき氷のような冷たい甘味を「ぜんざい」と言う。

山口県では、手が届かないことを「たわん」と言う。

大阪府では、アイスコーヒーのことを「レイコー」と言う。

長野県では、花に水をやることを「花に水をくれる」と言う。

東京では、ちょうど真ん中のことを「まん真ん中」と言う。

宮城県では、食器などを水につけておくことを「うるかす」と言う。

著者情報

岡部敬史(おかべたかし)
京都府出身。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に就職。その後、ライター・著述家・編集者として活躍。
著書に『目でみることば』『くらべる東西』『似ていることば』『くらべる京都』『目でみる数字』(東京書籍)や『基礎教養日本の英雄』『将棋「観る将になれるかな」会議』(扶桑社)、『風雲児たちガイドブック解体新書』(リイド社)など多数。

著者情報

山出高士(ヤマデタカシ)
1970年、三重県生まれ。写真家。『散歩の達人』、『DIME』などで活動。『目でみることば』『くらべる東西』『似ていることば』など。