東京書籍

すべての人々に健やかな知的生活を

商品

評価関連商品 一般書籍

お客様

児童・生徒・保護者の皆さま 塾の皆さま 一般の皆さま

東京書籍

EARTH 図鑑 地球科学の世界

EARTH 図鑑 地球科学の世界

監修:スミソニアン協会  日本語版監修:三河内岳

ISBN:978-4-487-81654-5
定価6,380円(本体5,800円+税10%)
発売年月日:2023年08月01日
ページ数:416
判型:

解説:
地球は生きている!
美しく、驚異に満ちたこの惑星のすべてを、圧巻のビジュアルで解説。

天文学、地質学、気象学、生物学などすべてを網羅した、ユニークな章立て。
鉱物や天体の美しい写真や、大陸・海・大気のダイナミックな動きなど、
「地球」という切り口から広がる、地球まるごとを感じ取ることができる万華鏡のような1冊。


“本書で語られる地球の物語は、空前絶後のおもしろさだ”(本書「はじめに」より)
――クリス・パッカム(博物学者)

“地球は奇跡の星である。あまりにも陳腐な言葉ではあるが、この本はそれを実感するのに最適な本と感じる”(本書「序文」より)
――三河内 岳(日本語版監修者、東京大学総合研究博物館教授)

序文──日本語版刊行にあたって

日本語版監修者 三河内岳

 “Pale Blue Dot” この言葉は天文学者、故カール・セーガンが地球を形容するのにかつて使った言葉だ。地球を遠く離れた惑星探査機ボイジャー1号がはるか約60 億キロの彼方から地球を撮影した姿を表したものである。淡く青い点でしかない地球を宇宙の中の一つの星にしか過ぎないことを示したものだが、同時に、この小さな点の中に人類を含むすべての生命、そして地球誕生からの約45.6 億年の歴史すべてを閉じ込めていることも表している。実際のところ、この淡い青色には地球のさまざまな側面が隠れている。淡い青色は、地球表面のおよそ70%を、液体の水、つまり海洋が覆っていることによるが、それ以外にも存在している雲の白色、大地の茶色、植生の緑色などをミックスした結果の発色である。そう、地球を表現するには青だけにはとどまらず、その多様な色の存在、そしてそれらを構成する要素が特徴ともいえるのだ。
 今日、「多様性」や「ダイバーシティ」という言葉はさまざまな局面で使われている。しかし、その中でも断トツの多様性を抱えているのは、この地球という星そのものではないだろうか。それは、この図鑑のどのページを開いても強く感じることができるだろう。あるページでは、地球を含む太陽系をつくる原材料の話があり、そしてあるページではダイナミックに活動する地球の大地の話がある。地球は半径が約6400キロあるが、もちろんその内部の話も網羅されており、表面の大地を形づくるのに密接に関係していることが示されている。さらに地球の大地を取り巻く大気や海洋、そして、そこに暮らす生命の誕生と進化(しばしば絶滅を伴うが……)。これらの取り上げられているトピックの1つ1つが、いずれも地球誕生のおよそ45.6億年前から途方もない時間をかけて現在の姿になるまでの歴史を背後に秘めているのだ。
 本書に扱われているトピックを研究する学問は「地球惑星科学」と呼ばれている。地球は惑星のうちの1つであり、ほかの惑星と並列で地球を考えるという意味も含まれるが、やはり主役は地球である。私自身が携わっている学問であるが、地球を取り巻く自然の多様な姿、そして地球だけでなく、ほかの惑星までを含めた学問である地球惑星科学の学問的多様性にも感銘を受けるしかない(いささか自画自賛過ぎるが)。地球は奇跡の星である。 あまりにも陳腐な言葉ではあるが、この本はそれを実感するのに最適な本と感じる。
 今回の監修作業にあたり、東京書籍の編集者には大変お世話になった。私の職場までご足労いただき、既刊の重い(!)図鑑をいくつか見せられて、カラフルで徹底した内容の濃さに感銘を受けた。今回の「地球」の原著から同レベルの質の高さを感じた次第で今回の仕事を引き受けさせていただいた。実際のところ、本書の監修を通して、地球の多様性を再実感させてもらったことに対して編集者には大感謝である。また、訳者の皆さんも実に丁寧に翻訳をしてくださり、実直にかつ的確に専門用語などに訳を当ててくださったので、安心して内容の確認をすることができた。むしろ、私のほうで日本語ニュアンスなどについてもコメントなどしたのはいささか心苦しく思うところである。いずれにせよ、本書の刊行に携わってくださった多くの方々にあらためて感謝を表したい。

はじめに

 誕生当初はドロドロに溶け、その後凍りつき、かつては海ばかりで陸地はなく、さらには青空も雲もない惑星。日も差さず雨も降らない。生命はまったく存在せず、ただ回転し続ける美しい球体。そんな地球の姿を想像するのは難しい。しかし、それは地球の歴史に関する科学的理解が不十分だからではない。これにはさまざまな要因が複雑に絡み合っており、中でも決定的なのは、時間に対する私たちの認識能力の問題だ。
46 億年前、後に地球と呼ばれることになる火の玉が形成された。生命の誕生は、少なくとも37 億7000 万年前にさかのぼる(あるいは44 億1000万年前にまでさかのぼれるかもしれない)。あらゆる生物は「最終普遍共通祖先」(LUCA)の子孫である。現存する生物種は、1つの例外もなく、すべてLUCAから進化してきた。そう、すべての植物、動物、菌類は、現代の小さな細菌と大差ない姿をした、ある単細胞生物の末裔なのだ。化石は見つかっていないが、LUCAは42億8000万年前に深海の熱水噴出孔で誕生したと考えられている。実に壮大な仮説で、仮説に出てくる数字も巨大だ。では、地球の複雑な過去についての知識を深め、その知識を使って今日の世界がどのようにして成り立っているのかを正しく理解するには、何から始めたらよいのだろうか?
そのきっかけを与えてくれるのが、本書だ(内容もすばらしいが、掲載されている写真も美しい)。さまざまの壮大な仮説を、物理学、化学、生物学の基本に関する小さなトピックに根気よく解きほぐしてみることで、かつてこの世界を形成し、今もこの世界を形づくり続けているプロセスを理解できるようになる。結晶に竜巻、化石に火山など、どのページにも、地球がどんな仕組みで機能しているかについての興味深い知識が詰まっている。本書で語られる地球の物語は、空前絶後のおもしろさだ。というのも、地球の歴史における数々の出来事と紆余曲折がなければ、私たちが今ここにいることなど決してなかっただろうからだ。そしてそれは、まったく途方もない道のりだった。

クリス・パッカム
(博物学者、ブロードキャスター、著述家、写真家、自然保護活動家)

著者情報

スミソニアン協会(スミソニアンキョウカイ)
1846年設立のスミソニアン協会は、19の博物館とギャラリー、国立動物公園を有する世界最大級の博物館群および研究機関複合体である。所蔵されている文化工芸品、美術品、標本の総数は推定1億3700万点にのぼり、その大半の1億2600万点以上が国立自然史博物館に収められている。世界有数の研究拠点であるスミソニアン協会は、学校教育、公的活動に広く貢献し、芸術・科学・歴史の分野で奨学金制度も設けている。

著者情報

三河内岳(みこうち たかし)
日本語版監修:三河内岳(みこうち たかし)
東京大学総合研究博物館教授。専門は、惑星物質科学・鉱物学。博士(理学)。
1971年、岡山県生まれ。東京大学大学院理学系研究科鉱物学専攻修士課程修了、同博士課程中退後、同専攻助手、米国NASAジョンソン宇宙センター博士研究員、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻准教授などを経て、2018年より現職。第54次南極地域観測隊夏隊隊員。太陽系の形成から現在に至るまでの固体物質の生成・進化および、惑星形成と地殻進化について研究を行う。2018年7月、国際隕石学会(The Meteoritical Society)フェロー。2020年度、日本鉱物科学会賞(第24回)。
共著書に、Mars: ProspectiveEnergy and Material Resources(Springer, 2010)など、監修書に、学研の図鑑LIVE『鉱物・岩石・化石』(2020年)などがある。

コンテンツ

序文――日本語版刊行にあたって 三河内岳
はじめに――クリス・パッカム

地球という惑星
 元素の起源 太陽系の形成 隕石 spotlight:トノララ 月 太陽系における地球の位置 日と季節 地球科学の歴史 地球の自転 海洋の起源 大陸の形成 地球の年代区分

地球上の物質
 結晶構造 晶癖 光を反射する 硬いものから軟らかいものまで 元素鉱物 地球の金属 さまざまな石英 長石 変質した鉱物 鉱物群 結晶化した空洞 貴石 有機鉱物 ロックサイクル 海洋の火成岩 大陸の火成岩 spotlight:エルキャピタンとハーフドーム 溶岩からできる岩 溶岩 粒子の細かい岩 砂岩 固結した断片 化学的沈殿 石灰岩 地球科学の歴史:岩の地図を制作する 動力変成作用と埋没変成作用 広域変成作用 接触変成作用 岩層 spotlight:グランドキャニオン 土層 水の性質 凍った水 雪崩

エネルギーにあふれる地球
 地球の構造 地球科学の歴史:衛星と地球科学 構造プレート プレート境界 プレートの衝突 発散するプレート 地球の褶曲 造山運動 地球科学の歴史:造山運動を解明する spotlight:ヒマラヤ山脈 亀裂の線 地震と津波 地球科学の歴史:地震観測 大地を揺るがす 火成貫入岩 spotlight:シップロック山 火山 火山噴火 ホットスポット 地熱がつくる地形 温泉 水の働きによる浸食作用 風による浸食作用 氷食 風化作用 積もる堆積物 河川 滝 三角洲と三角江 湖 カルスト地形 鍾乳洞 氷河作用 spotlight:グレーシャーベイ 融氷水

海洋と大気
 海洋の化学組成 海洋の循環 湧昇とプランクトンブルーム 深層流 潮汐 波氷の海 棚氷と氷山 陸と海が出合うところ 海水準変動 浅海 地球科学の歴史:海底の地図を描く 外洋 海底のパターン 海洋テクトニクス 海洋の島々 地球の大気 オーロラ 風 地球科学の歴史:大気の視覚化 気象系 熱帯低気圧 雲の種類 水の循環 降雨 spotlight:ワイアレアレ山 雪 雷雨 spotlight:竜巻回廊 空中の電気 スプライト、ジェット、エルブス 地球科学の歴史:氷床コアの分析 自然に生じる気候変化

生きている地球
 生物圏 さまざまな生物種 太古の生物 生物が地球の姿を変える 生物の分岐 カンブリア爆発 礁をつくる生物 魚の時代 陸上に進出した生物 遷移 森林の形成 化石化 石炭の形成 酸素で動く巨大生物 陸上へ進出 大量絶滅 さまざまな三葉虫 乾燥を生き抜く 地球科学の歴史:化石をスキャンする 恒温動物の出現 spotlight:レッドディア川渓谷 空を飛ぶ 巨大な陸上動物 花粉を媒介する昆虫 恐竜の絶滅 化石群 哺乳類の時代 草原 生物の移動 氷河時代を生き抜く 永久凍土 北方林 地球科学の歴史:化石に残る分子から得られる証拠 大型動物 spotlight:ボース村の森林跡 人類による影響 spotlight:ダヌムバレー
 
地学要覧
 鉱物 岩石 隕石とインパクタイト 地質年代区分 スポットライトサイト

用語集
索引
acknowledgments