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ZOOLOGY 図鑑 動物の世界

ZOOLOGY 図鑑 動物の世界

スミソニアン協会・ロンドン自然史博物館/監修 遠藤秀紀/日本語版監修

ISBN:978-4-487-81258-5
本体価格5,800円
発売年月日:2020年07月03日
ページ数:440頁
判型:

解説:
想像したこともないほど近くから動物たちを見てみよう!
躍動感あふれるビジュアルで生き物への好奇心がゆさぶられる決定的動物図鑑が誕生!

動物界、形と大きさ、骨格、皮膚、感覚、口と顎、肢・腕、翼、卵と子…など10 テーマで生き物の形態と生態を紹介。

【本書の特徴】
・ 海綿動物、魚類、両生類から、甲虫類、爬虫類、鳥類、哺乳類まで、動物界を斬新な視点で網羅
・ 世界最大の博物館群であるスミソニアン協会と、世界の自然史研究を主導するロンドン自然史博物館によるダブル監修
・ 生き物の驚くべき生態と多様性を圧倒的なビジュアル表現で解説
・ 数多くの美麗な博物画を収載し、動物の美しさを最大限に引き出す

はじめに

「美」は人を魅了する。また、「真理」は人にとって本質的で欠かせないものだ。そして、この2つの至高の価値に対する人類の最も真摯な取り組みが「芸術」であるに違いない。では、人間を特徴づけるもう1つの要素──抑えがたい衝動である「好奇心」はどうだろうか? 私にいわせれば、好奇心は科学の糧だ。そして科学こそは、美と真理を理解するすべにほかならない。この美しい本は、これらの要素の完璧な融合である。美を称え、驚くべき真理に明かりを灯し、自然科学に欠かせない好奇心を刺激する書なのだから。
生命のありとあらゆる形態には、必ず何かしらの機能を果たす。過渡的なものはあっても、まるっきり不必要なものはない。ということはつまり、自然界に存在するさまざまな形態の外形や構造を学び、それらに対する疑問を抱き、それらが何のためのもので、どのように働くのかを見定めようとする試みは、物心さえつけばいつでも可能ということだ。私は1枚の羽根をためつすがめつしたことを覚えている。重さを量り、なでつけ、折り曲げ、ひねっては、光の加減で色が緑から紫に移ろうのをながめ、そうしながら、私は羽根が鳥の飛翔と生態に役立つ理由を段階的に理解していったのだ。このような吟味の仕方は、おそらく博物学者の最も基本的な技能であり、科学者にとって欠かせない技術なのだろう。やがて、私は羽根を絵に描こうとした。そのシンプルな美しさが、絵心を誘ってやまなかったからだ。
自然界に存在する形態はまた、異なる種の間の関連性を見極めることを可能にしてくれる。進化というものに光を当て、異なる種を1つのグループにまとめる方法に目を開かせてくれるのだ。もちろん、紛らわしい生き物も存在する。哺乳類なのにくちばしを備え、卵を産むような連中がそれだ。こうした奇妙な例外に、われわれの先人たちがどのように欺かれたかを知るのは楽しいに違いない。が、どうして動物たちがそのような明らかに風変わりな形態を進化させたのかについて真相を解き明かすことは、それよりもはるかに愉快なことなのである。
本書のページを繰る読者は、自然界がそういった面白さに事欠かないことを知らされるだろう。そして嬉しいことに、私たちの好奇心がすっかり満たされてしまう心配はないのである。こと生命に関しては、いくら学んでも、いくら知っても、それで終わりということはないのだから。

クリス・パッカム
博物学者。テレビ番組司会者。作家、写真家としても活躍。

序文──日本語版刊行にあたって

 書物を手にする人間が、何も皆目的をもって頁を繰る訳ではない。アカウンタビリティに執心する現代社会は個人の余暇や老後にまで生きる意義を求め始めているが、せめて本と向かい合う時間ぐらい、底抜けに自由でありたいものだ。
 今日の相手は動物である。
 学ぶというのは読者に対して余計なお節介だろう。動物を学ぶのではなく、それを愉しめる紙面が欲しいと以前から思っていた。
 「行けるかも……」
 『Zoology』なるタイトルを掲げた本書を手にした時の、あたしの印象である。アジア人の著作と比べれば、Speciesが叫び声とともに登場してくるような演出が垣間見えるのは、原著の故郷のご愛嬌だろう。それよりも頁が魅せてきた本質は、伝えようとする知識と論理の質と量を豊富に抱えながら、それを説教臭い教科書に堕さない域に包み込んでしまう、力感あふれる表現である。
 多数の写真が視線を受け止める最初の入り口になるに違いない。ビジュアルとはいっても、古典的な図鑑とはまったく世界観は異なっている。自然界の静止した瞬間の切り取りではなく、ある生きた論理の入り口として写真が読み手を待ち構えているからだ。それこそが本書の表現の根幹である。
 「あたしで、力、足りるだろうか?」
 日本語版の仕事を打診されてから湧きあがった、著作の圧倒的豊かさに対する自然な称賛と敬意だった。
 オランウータン、マダコ、カツオノエボシ、オマキトカゲ……。たとえばこの息をつかせないラインナップだけでも、多くの読み手は動物の魅力を享受する。動物界を縦横無尽に往来し、美しいもの、無機質なもの、豊かさあふれるもの、禍々しいものを披露してくれる。驚嘆させる命の宇宙が、いずれの見開きにも広がっているはずだ。
 章構成の筋道は、器官、システム、装置ごとの区分けである。あえて学の名を意識するならば機能形態モノだと呼ぶのだろうが、動物学の体系は少しの間忘れてしまっていいだろう。知識と写真と論理と作文が、動物の“味” を絶妙に引き出している。普通の人が普通に手に取れる教養と文化の窓口に、かくある書物を据えてくる地球の反対側の国の動物学を前に、襟を正そう。
 東京書籍株式会社の編集者たちには日本語版の理念と狙いを説かれ、訳書を成すための論議をともにすることができた。煩雑な監修にお付き合いくださり、激励くださったことに心からお礼を申し上げる。また、労多い翻訳仕事を支えてくださった多くの方々に感謝の意を表したい。そして、頁を文字通り愉しむ皆さん、あるいはあたしの意図に反して最初から学ぶ目的をもって本書を手にする方々に、「図鑑 動物の世界」が末永く愛されることを願う。

日本語版監修者 遠藤秀紀
(えんどう・ひでき 東京大学総合研究博物館教授)

著者情報

スミソニアン協会(スミソニアンキョウカイ)
1846年設立のスミソニアン協会は、19の博物館とギャラリー、国立動物公園を有する世界最大級の博物館群および研究機関複合体である。所蔵されている文化工芸品、美術品、標本の総数は推定1億3700万点にのぼり、その大半の1億2600万点以上が国立自然史博物館に収められている。世界有数の研究拠点であるスミソニアン協会は、学校教育、公的活動に広く貢献し、芸術・科学・歴史の分野で奨学金制度も設けている。

コンテンツ

[本書の構成]

〔動物界〕
動物とは何か?、動物の進化、動物を分ける特徴、甲虫類の多様性、魚類と両生類、爬虫類と鳥類、哺乳類、[芸術の中の動物]「先史時代の絵画」……など

〔形と大きさ〕
相称と不相称、群体の形成、放射相称、動く相称動物、[芸術の中の動物]「ダーウィニストたち」、[注目の種]「クシクラゲの仲間」、単純な頭部をもつ体、性差、[芸術の中の動物]「ルネサンスのまなざし」、区切られた体、脊椎動物の体、カエルの体形、丸まって身を守る、巨体の意味、[芸術の中の動物]「空想の産物」、背の高い動物……など

〔骨格〕
サンゴが築く共骨、水の骨格、外骨格とは何か?、外骨格の上陸、石灰質の骨格、内骨格の登場、[芸術の中の動物]「アボリジニの洞察」、脊椎動物の骨格、脊椎動物の甲羅、鳥の骨格、[注目の種]「チーター」、哺乳類の角、シカの枝角……など

〔皮膚・外被・被甲〕
透過性の皮膚、酸素を取り込む、毒のある皮膚、皮膚の色、殻の形成、軟体動物の殻、脊椎動物の鱗、爬虫類の皮膚、色彩による発信、[芸術の中の動物]「ムガル宮廷にて」、襟飾りと喉袋、武器と闘争、背景と同化する、[注目の種]「サルオガセギス」、羽毛、飛ぶための羽、ディスプレイのための羽飾り、寒さから身を守る、哺乳類の毛皮、[芸術の中の動物]「表現主義と自然」、皮膚腺、皮膚が変化した角、鎧と化した皮膚……など

〔感覚〕
敏感な触角、感度の高い毛、[芸術の中の動物]「ミクロの世界」、感知するひげ、水中で感知する、空気を味わう、熱を感じる、電気を感知する、光を感じる、瞳孔の形、複眼、色の識別、奥行きを感知する、[注目の種]「カワセミ」、においを感じる、鳥類の嗅覚、[芸術の中の動物]「北宋の花鳥画」、哺乳類の嗅覚、音を聞く工夫、哺乳類の耳、反響音で“ 見る”、[注目の種]「マイルカ属」……など

〔口と顎〕
ろ過摂食、[注目の種]「イバラカンザシ」、無脊椎動物の顎、毒の注入、脊椎動物の顎、鳥のくちばし、鳥のくちばしの形状、[芸術の中の動物]「鳥類学者のアート」、肉食動物の歯、[注目の種]「ジャイアントパンダ」、植物を食べる、表情豊かな顔……など

〔肢・腕・触手・尾〕
管足、関節のある肢、脊椎動物の四肢、哺乳類の鉤爪、[注目の種]「トラ」、吸着力のある足、猛禽類の足、木に登り 枝を掴む、哺乳類の蹄、[注目の種]「アイベックス」、節足動物の鋏、[芸術の中の動物]「浮世の芸術家」、ぶら下がって木を渡る、霊長類の手、[注目の種]「オランウータン」、タコの腕、刺胞を備えた触手、把握力のある尾、[注目の種]「テンニンチョウ」……など

〔多彩な鰭〕
ネクトンとプランクトン、[注目の種]「アオミノウミウシ」、魚の泳ぎ方、水中の翼、魚のさまざまな鰭、背鰭で泳ぐ、[注目の種]「ツマジロトビウオ」、毒をもつ棘、[芸術の中の動物]「豊かなる帝国」、海底を歩く、海へ戻る、尾鰭……など

〔翼と飛膜〕
昆虫の飛翔、鱗粉に覆われた翅、滑空と降下、鳥が空を飛ぶ仕組み、[注目の種]「ヒゲワシ」、鳥のさまざまな翼、[注目の種]「コウテイペンギン」、ホバリング、[芸術の中の動物]「古代エジプトの鳥たち」、皮膚でできた翼……など

〔卵と子〕
卵をつくる、受精、献身的な親、[注目の種]「ホッキョクグマ」、殻に覆われた卵、鳥の卵、有袋類の育児嚢、幼虫から成虫へ、両生類の変態、成熟する……など

分類

用語集・索引など