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中学校 書写

令和3年度版「新しい書写」

「木」の縦画の終筆は、「とめ」でしょうか、「はね」でしょうか。また、ふだん書いている文字と新聞などで見る活字とでは形が違うことがあるのですが、なぜでしょうか。
 「新しい書写」で使用している教科書体という活字では、「木」の二画目の終筆を「とめ」の形で表しています。これは、「小学校学習指導要領解説 国語編」の第4章2(1)エの「(エ)漢字の指導においては、学年別漢字配当表に示す漢字の字体を標準とすること。」に基づき、学年別漢字配当表に示された字形に即しています。また、解説には次のような説明があります。
「常用漢字表」(平成22年内閣告示)の「前書き」及び「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」(平成28年2月29日文化審議会国語分科会)においては、次のような考え方が示されています。
 「・字体は骨組みであるため、ある一つの字体も、実際に書かれて具体的な字形となってあらわれたときには、その形は一定ではない。同じ文字として認識される範囲で、無数の形状を持ち得ることになる。」
 このような考え方を踏まえたうえで、「木」の縦画の終筆については、一般に「とめ」で書いても「はね」で書いてもかまわないとされています。
 生徒の書いた漢字の評価については、「常用漢字表」の「(付)字体についての解説」や「常用漢字表の字体・字形に関する指針」の記載を踏まえ、指導の場面や状況を考慮し、柔軟に評価するとよいでしょう。
 また、活字は、印刷のしやすさや、印刷物の読みやすさに配慮してデザインされているため、手書きの文字とは違いが出ることがあります。
 「新しい書写」では、コラム「速く書きやすい書き方」(p.23)で、手書き文字のさまざまな字形について紹介し、「文字のいずみ 手書き文字と活字」(p.72・73)で、手書き文字と活字とを比べて点画の書き方や画数などの違いについて説明しています。これらは、「常用漢字表」の「(付)字体についての解説」に基づいています。「常用漢字の字体・字形に関する指針(報告)」もあわせてご参照ください。
「文字のいずみ 古典をもとに」(p.94・95)に掲載されている古典に書かれている文字と、大まかな意味を教えてください。
 それぞれ、下記のとおりとなります。

「九成宮醴泉銘」
(文字)
足深尤至於炎景流
金無欝蒸之気微風
徐動有凄清之涼信
安体之佳所誠養神
之勝地漢之甘泉不……
(意味)
 (……ほんとうに)心がとがめるが、金を溶かすような炎天のときでも、蒸し暑い感じはせず、微風が静かに吹き、すがすがしい涼気があるのに至っては、まことに体を休めるよいところであり、まことに心を養うのに優れた地である。漢の甘泉宮でさえも(かなわないだろう。)

「蘭亭序」
(文字)
永和九年歳在癸丑暮春之初会
于会稽山陰之蘭亭脩禊事
也群賢畢至少長咸集此地
有崇山峻領茂林脩竹又有清流激
湍映帯左右引以為流觴曲水……
(意味)
 永和九年(353年)、癸丑(みずのとうし)にあたる歳、三月の初め、会稽山陰の蘭亭に会合した。禊を行うためである。賢人は全て至り、老いも若きもみな集まった。この地には高い山険しい嶺、よく茂った林と高く伸びた竹とがあり、また清らかな流れと早瀬があり、辺りに照り映えている。それを引き込んで流觴の曲水を作り……

「曹全碑」
(文字)
供事継母先意
承志存亡之敬
礼無遺闕是以
郷人為之諺曰……
(意味)
 継母に仕え、何も言われないうちに気持ちを悟って望みをかなえ、存命中のものと亡くなったものとを敬い、その礼には欠けたところがなかった。そのため、郷人は、ことわざを作って……

「蓬萊切」
(文字)
於本曽らに むれ多るたづ
能 さしな可ら おもふこゝ
ろの あ利げ那る可奈
(意味)
 大空に群れている無心の鶴も、飛んで行く方を目指しながら、全てがあなたの長寿を祝う心があるように見える。

令和7年度版「新編 新しい書写」

「木」の縦画の終筆は、「とめ」でしょうか、「はね」でしょうか。また、ふだん書いている文字と新聞などで見る活字とでは形が違うことがあるのですが、なぜでしょうか。
 「新編 新しい書写」で使用している教科書体という活字では、「木」の二画目の終筆を「とめ」の形で表しています。これは、「小学校学習指導要領解説 国語編」の第4章2(1)エの「(エ)漢字の指導においては、学年別漢字配当表に示す漢字の字体を標準とすること。」に基づき、学年別漢字配当表に示された字形に即しています。また、解説には次のような説明があります。
「常用漢字表」(平成22年内閣告示)の「前書き」及び「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」(平成28年2月29日文化審議会国語分科会)においては、次のような考え方が示されています。
 「・字体は骨組みであるため、ある一つの字体も、実際に書かれて具体的な字形となってあらわれたときには、その形は一定ではない。同じ文字として認識される範囲で、無数の形状を持ち得ることになる。」
このような考え方を踏まえたうえで、「木」の縦画の終筆については、一般に「とめ」で書いても「はね」で書いてもかまわないとされます。
 生徒の書いた漢字の評価については、「常用漢字表」の「(付)字体についての解説」や「常用漢字表の字体・字形に関する指針」の記載を踏まえ、指導の場面や状況を考慮し、柔軟に評価するとよいでしょう。
 また、活字は、印刷のしやすさや、印刷物の読みやすさに配慮してデザインされているため、手書きの文字とは違いが出ることがあります。
 「新編 新しい書写」では、「手書き文字と活字」(p.16・17)で手書き文字と活字との違いについて説明し、「手書き文字のいろいろな書き方(楷書)」(書写活用ブックp.35)で手書き文字のさまざまな字形について紹介しています。これらは、「常用漢字表」の「(付)字体についての解説」に基づいています。「常用漢字の字体・字形に関する指針(報告)」もあわせてご参照ください。
「書の古典ーー今に生きる書」(p.101-104)に掲載されている古典に書かれている文字と、大まかな意味を教えてください。
 それぞれ、下記のとおりとなります。

「九成宮醴泉銘」
(文字)
足深尤至於炎景流
金無欝蒸之気微風
徐動有凄清之涼信
安体之佳所誠養神
之勝地漢之甘泉不……
(意味)
 (……ほんとうに)心がとがめるが、金を溶かすような炎天のときでも、蒸し暑い感じはせず、微風が静かに吹き、すがすがしい涼気があるのに至っては、まことに体を休めるよいところであり、まことに心を養うのに優れた地である。漢の甘泉宮でさえも(かなわないだろう。)

「蘭亭序」
(文字)
永和九年歳在癸丑暮春之初会
于会稽山陰之蘭亭脩禊事
也群賢畢至少長咸集此地
有崇山峻領茂林脩竹又有清流激
湍映帯左右引以為流觴曲水……
(意味)
 永和九年(353年)、癸丑(みずのとうし)にあたる歳、三月の初め、会稽山陰の蘭亭に会合した。禊を行うためである。賢人は全て至り、老いも若きもみな集まった。この地には高い山険しい嶺、よく茂った林と高く伸びた竹とがあり、また清らかな流れと早瀬があり、辺りに照り映えている。それを引き込んで流觴の曲水を作り……

「曹全碑」
(文字)
供事継母先意
承志存亡之敬
礼無遺闕是以
郷人為之諺曰……
(意味)
 継母に仕え、何も言われないうちに気持ちを悟って望みをかなえ、存命中のものと亡くなったものとを敬い、その礼には欠けたところがなかった。そのため、郷人は、ことわざを作って……

「蓬萊切」
(文字)
於本曽らに むれ多るたづ
能 さしな可ら おもふこゝ
ろの あ利げ那る可奈
(意味)
 大空に群れている無心の鶴も、飛んで行く方を目指しながら、全てがあなたの長寿を祝う心があるように見える。