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教科書・指導書・教材の訂正・変更のお知らせ

中学校 理科

合弁花、離弁花という用語をとり上げた理由を教えてください。
 合弁花、離弁花という分類は、従来「被子植物の双子葉類の中に、合弁花と離弁花がある」という扱いでしたが、近年ではそのように分類することは生物分類学では扱わなくなってきています。一方で、子どもたちが花を調べたときに「花弁がくっついているか、離れているかというちがいがある」と気がつくことは自然なことであり、そのことをふまえて令和7年度版教科書では合弁花、離弁花の用語をとり上げることにしました。ただし、従来のように「被子植物の双子葉類の中に、合弁花と離弁花がある」という扱いにはせず、「花の咲く植物全体を見わたすと、合弁花と離弁花がある」という扱いに留めています。
藻類は植物とは異なるグループなのでしょうか。
 植物は、コケ植物、シダ植物、種子植物からなる、光合成を行う多細胞の真核生物のグループになります。いっぽう、藻類はおもに水中生活を行う光合成生物の総称ですが、1つのまとまった系統群ではなく、異なるいくつかの系統にまたがったグループになります。具体的には、緑藻や紅藻などは、真核生物の原生生物に分類され、藍藻(シアノバクテリア)などは、バクテリアに分類されます。
1年p.128図3「赤ワイン中のエタノールの分離」の実験を行う時の注意点について教えてください。
 赤ワインは、使用する製品によってアルコール濃度や含まれる物質にちがいがあるので、必ず事前に予備実験を行うようにしてください。予備実験を行い、エタノール分がうまく抽出できないような場合は、エタノールを少し足したものを使用するとよいと思います。また、枝つきフラスコ内の赤ワインの量が少なくなってくると、赤ワインに含まれていた物質の「にごり」がつきやすくなるので、蒸留した液体が十分に取れたら火を消すようにして下さい。その際、装置のガラス管の先がたまった液の中に入っていないことを確認してから火を消すようにしてください。
「大地の変化」で、「侵食」には、なぜにんべんの「侵」を使うのですか。
 教科書の表記は原則として、旧文部省の学術用語集にしたがっています。しかし、地学領域についての学術用語集は昭和59年まで発行されませんでした。そこで、弊社発行教科書の昭和62年度本までは、水の働きなどを考慮して、「浸食」と表記していました。ところが、昭和59年に発行された学術用語集地学編では「侵食」となったため、教科書でも学術用語集に従い、平成2年度本から「侵食」としました。他社の教科書も学術用語集に従って、「侵食」となっています。
 では、なぜ学術用語集で、「浸食」ではなく「侵食」になったかということですが、その件につきまして旧文部省の学術情報課に問い合わせをいたしましたところ、「地学では、河川が土地を削り取る(領土・土地を侵犯する)という働きの方を重視して、侵(おかす)の文字にすべきである」という地学専門家の判断に基づき「侵食」の表記をしたとのことです。「浸食」では、「浸」に「ひたす・しみこむ」という意味もあるため、削り取るという意味が薄いという判断だったそうです。
岩石名では「はんれい岩」や「花こう岩」のように、漢字とひらがなで名前を書くのに対して、鉱物名では「カンラン石」のように、漢字とカタカナで名前を書くのはなぜですか。
 教科書の表記は原則として、旧文部省の学術用語集にしたがっています。学術用語集では、岩石名については「斑れい岩」「花こう岩」のように、漢字とひらがなで表記されております。そのため、教科書ではこれに準ずる形で岩石名を表記するとともに、中学校の教科書として漢字での表記が適切でないと判断した場合には、その漢字をひらがなに改めることとしております。
 また、鉱物名については「カンラン石」のように、漢字とカタカナで表記されております。そのため、教科書ではこれに準ずる形で鉱物名を表記するとともに、中学校の教科書として漢字での表記が適切でないと判断した場合には、その漢字をカタカナに改めることとしております。
海溝型地震、内陸型地震という用語を扱わない理由を教えてください。
 海溝型地震は用法が統一されている呼称ではなく、機関によって、プレート間の地震だけを海溝型地震と呼んだり、しずみこんだプレート内の地震も含めて海溝型地震と呼んだりします。そのため令和7年度版教科書では、海溝型地震という用語を使用せず、「海溝付近のプレートの境界で起こる地震」という表現に変更しています。それに伴い、内陸型地震という用語も、「陸の浅いところで起こる地震」へ変更しています。
塩化ナトリウムや酸化銅も分子で存在しているのではないのですか。
 塩化ナトリウムや酸化銅などは、2種類以上の原子が決まった数の割合(酸化銅なら銅―酸素)で集まって結びついた状態(銅―酸素…銅―酸素…とたくさんの酸化銅の粒が集まった状態)で存在しています。したがいまして、教科書で扱っている水や二酸化炭素などのように、「1粒1粒が独立した状態で存在できるもの」としての分子とは存在の形態が異なります。
2年p.68-69の実験7について、酸化銅の質量、酸化マグネシウムの質量がなかなか理論値に近づきません。
 この実験は、銅またはマグネシウムをガスバーナーで加熱して酸化させ、質量の増加を測定する実験で、理論的には、銅の場合は銅と酸素の質量の比が4:1、マグネシウムの場合はマグネシウムと酸素の質量の比が3:2となります。しかし、一般の学校の設備ですとなかなかこのようなきれいな結果を得るのは難しいようです。よりよい結果を得るためには、次のような点にご留意いただくとよいようです。
 •できるだけ新しく購入した、粉末の細かい金属を使用する。
 •ステンレス皿はあらかじめ加熱・冷却をしておく。
 •可能ならば、金属粉は加熱する前にデシケーターなどを用いて乾燥させておく。
 •金属はステンレス皿全体になるべく薄く広げて加熱する。
 •銅粉の場合は表面が薄くコーティングされている場合があるので、あらかじめ薄い塩酸で洗浄・乾燥させておく。
 •可能ならば、40メッシュのステンレス金網を、ステンレス皿の上にのせて加熱する。
 ただし、これらのことに細心の注意を払って実験しても、その日の湿度や気温などにも影響されてきれいな結果が得られない場合があります。教科書ではこのようなことにも配慮して次のように構成しております。
 p.68-69の実験7は、金属の酸化による質量増加が一定量を超えない(限界がある)ことや、反応する金属の質量と結びつく酸素の質量は一定の割合になることを見いだすことを目的としました。その際、実験7の結果が理論値からはなれてしまった場合でも、p.70-71のご指導に支障を来さないように、p.71表1では結果例として理論値を掲載しました。
 編集委員会でも難しい実験であると認識していますが、定量的な実験が減っている中で少しでも生徒が定量的なデータの扱いに触れることができればと考えて掲載した実験です。理論値からはなれてしまう場合には、増加量が理論値よりも低く出ることが多いようです。生徒の理解度に応じて、その理由について考察させていただけると幸いです。
「養分」と「肥料分」の明確な定義はあるのですか。
 「養分」という言葉を中学理科で使う場合、主に「有機養分」と「無機養分」の2種類があげられます。中学理科では、「有機養分」は光合成生産物や食事によってとりこまれた有機物、「無機養分」は無機塩類など、主に分解者によってつくられた土中の成分のことを想定しています。弊社教科書を遡ってみると、昭和59年度版教科書では、有機養分のことを「栄養分」、無機養分のことを「養分」と表現していました。しかし、日常的に使われる「養分」と「栄養分」は、ほとんど同義で使われることから、混乱が生じるというご意見がありました。そこで、昭和62年度版教科書では、「有機養分」と「無機養分」という言葉を使用しました。しかし、こちらも、1年生の段階で、有機・無機の言葉の定義を行うことが難しいというご意見が多かったことから、平成4年度版教科書からは、根から吸収される無機養分を「肥料分」、主に光合成の同化産物であり、動物が食物を通じて体内にとり入れる有機養分を「養分」と表記しています。令和7年度版教科書では、2年p.124の側注(★1、★2)に、「肥料分」と「養分」の定義を掲載しています。生物学的にも、栄養学的にも、「養分」「栄養分」「栄養素」などの定義は明確ではなく、それぞれの文献のなかで定義されているのが現状です。
平成28年版教科書から「麦芽糖」という新しい用語が出てきた理由を教えてください。
 平成24年版教科書では「麦芽糖」を「ブドウ糖2分子のもの」と表現していましたが、頻出するため、文章全体がまわりくどくなり内容が理解しづらいというご意見をいただきました。編集委員会としても、「麦芽糖」という用語を出した方がわかりやすいと判断しました。
モノグリセリドとは何ですか。
 平成18年度版教科書までは、「脂肪はリパーゼによって、グリセリンと脂肪酸(3つ)に分解される。」としてきましたが、詳しくは以下のようになります。
 脂肪は、グリセリンに3つの脂肪酸が結合しており、脂肪酸の長さによって、体内での消化・吸収の過程が異なります。
 一般的な油の構成脂肪酸は長鎖脂肪酸で、これは、リパーゼで分解すると両端の脂肪酸が取れ、モノグリセリドと脂肪酸(2つ)になります。そして、柔毛で吸収されたあと再び脂肪の集合体となってリンパ管に入ります。
 一方、体内で脂肪が付きにくいとされている油の構成脂肪酸は中鎖脂肪酸で、これは、リパーゼで分解すると脂肪酸が3つとも取れ、グリセリンと脂肪酸(3つ)になります。そして、柔毛の血管に吸収され、肝臓へと運ばれます。
 脂肪の消化・吸収は、脂肪の種類によって異なりますが、教科書では一般的な油の消化・吸収をとり上げるため、平成24年度版教科書からは、「脂肪はリパーゼによって、モノグリセリドと脂肪酸に分解される。」としています。
第1章の節の配列を「気象の観測→大気圧と圧力→気圧と風→水蒸気の変化と湿度」から、「圧力と大気圧→気圧と風→気象の観測→水蒸気の変化と湿度」へと変更したのはなぜですか。
 単元3は気象について学習をする単元であるため、まずは気象観測をしてほしいという思いから、令和3年度版教科書では第1節を気象観測としていましたが、気象要素について学習したうえで気象観測を行った方が、気象観測をより探究的に学習できるのではないかと考え、令和7年度版教科書では、第3節を気象観測としました。それに伴って、令和3年度版教科書において第2節、第3節で学習していた内容が、1節ずつくり下がり、第1節が「圧力と大気圧」となりました。また、令和3年度版教科書では、大気圧を学習してから、圧力について学習する流れとなっていましたが、令和7年度版教科書では、圧力を学習してから、大気圧を学習する流れに変更しています。これによって、鉛筆を両端からおしたときの力の感じ方のちがいや、スキー板の有無による雪へのしずみ方のちがいのように、身のまわりの物を導入の題材とすることができるようになりました。
直列回路、並列回路を流れる電流や電圧の実験で豆電球を使用するのはなぜですか。
 回路を流れる電流や電圧の実験では、電気が流れていることが見て直感的にわかるようにするために豆電球にしました。一方で、オームの法則を見いだす実験では、抵抗器や電熱線を用いる方法にしています。豆電球に電流を流すと、フィラメントの温度変化で測定する値が安定せず、規則性を見いだしにくいためです。
3年p.48-49実験6「電流をとり出すために必要な条件」で、うすい塩酸中に銅板と亜鉛板を入れた際、銅板からだけでなく、亜鉛板からも泡(水素)が発生するのはなぜですか。
 この実験の亜鉛板(-極)では、電池の反応として起こる「Zn → Zn2+ + 2e」の反応とは別に、金属と酸による反応「Zn + 2H+ → Zn2+ + H2 」が起こっています (Zn → Zn2+ + 2e と 2H+ + 2e → H2 の反応)。金属と酸によるこの反応は、導線をつないでいない状態でも起こり、電池のしくみとは無関係です。(亜鉛板から水素が発生する現象については、教科書p.50「電池の中で起こっている化学変化」内でも側注★2で解説しています。)水素の発生によって実験がうまくいかない場合でも、生徒が混乱しないように、電池本来のしくみとは無関係であることを伝えるようにしてください。
「卵(らん)」と「卵子(らんし)」はどうちがうのですか。
 文部科学省発行の学術用語集におきましては、医学編、動物学編ともに「卵(らん)」が採用されており、「卵子」の「子」については省略可能なものとして記載してあります。これに従い、弊社の中学校・高等学校の教科書・教材では、「卵(らん)」に統一しております。
 広く生物学全般では、「卵(らん)」が大型雌性配偶子の正式名称のようです。医学や獣医・畜産の現場では、古くから慣例的に雌性配偶子を「卵子」と呼んできました。この流れから、ヒトの生殖・発生を扱う保健体育の教科書では、『学校保健・健康教育用語辞典』(大修館書店)に従い、「(ヒトの)卵子」と記述されております。また、小学校理科のヒトの誕生を学習する場面でも、「(ヒトの)卵子」という記述がございますが、これは同じ単元で扱う「ヒメダカの卵(たまご)」と区別するためです。
弾性エネルギーという用語を定義したのはなぜですか。
 位置エネルギーは基準からの位置によって決まるもので、重力による位置エネルギーや弾性力による位置エネルギーがあります。中学校では、重力による位置エネルギーを単に位置エネルギーとして扱っているので、弾性力による位置エネルギーについても単に弾性エネルギーという表現を採用しました。
3年p.164「調べて考察しよう A 運動エネルギーの大きさについて調べよう」のこつを教えて下さい。
 この実験設定の意図は、エネルギーと仕事への導入実験として、生徒の興味・関心を大切にしたいということです。そのため、実験結果からきちんとした理論通りのグラフがかけるというものではありませんが、「質量が同じ場合、速いものの方がエネルギーは大きい」「速さが同じ場合、質量が重いもの方がエネルギーは大きい」ことを、定性的に理解させるという学習指導要領の意図は実現できる実験だと考えております。
 以下、そうした前提にたってお答えいたします。
 ・速度計をうまく通すために:速度計をうまく通すには、はじくキャップをなるべく速度計に近づける必要があります。はじくキャップをできるだけ速度計に近づけて置くことで、速度計の中を通らないという事例は、少なくできると思います。また、速度計と当てられる先頭のキャップとの間隔もなるべく小さくしてください。そうすることで、先頭のキャップに当たりにくいということも起こりにくくなります。
 ・速度計が反応しない:速度計のセンサーの位置については、こちらで追試を行った際には、センサーの位置が多少低かったこともあり、センサーが反応しないということはほとんど生じませんでした。センサーの位置が高い場合の対処法としては、粘土を詰めたキャップに空のキャップを重ねて高さを出すことが最も簡単な方法かと思います。
 ・はじき方の強弱を変えるのが難しい:「強くはじく」「弱くはじく」ことをはっきり使い分けることは、難しい部分があります。そこで、実験の手順においては、ある程度はじき方の強弱を意識させる程度とし、グラフ用紙にプロットすることによってはじいたキャップの速さと動いたキャップの個数の関係について定性的につかませるようにしてください。
 ・動いたキャップの判断基準:統一した判断基準を作成して、その基準を徹底すれば、定性的にエネルギーの性質をつかむ程度の結果は十分得られます。例えば、「枠から半分以上はみ出たら動いたと判断する」「枠から少しでもはみ出たら動いたと判断する」といった基準などです。教師用指導書にもその部分の注意点をまとめていますので、ご参照ください。
 ・何度も測定するのは時間がかかる:各班の結果をまとめることで、試行回数を減らすこともできるかと思います。
章の配列を「身近な天体(太陽など)→天体の運動→宇宙の広がり」としているのはなぜですか。
 単元導入において、身近な天体を継続的に観察する機会を設け、生徒の興味・関心を高めながら学習に入ることができるように、身近な天体である太陽や月の表面の学習から始まる構成にしました。また、天文の学習では観察者の視点と宇宙から見た視点の移動をスムーズに行うことが重要であることからも、まずはこれまでに慣れてきた観察者の視点から学習を始めてから宇宙からの視点を導入していくようにしています。
太陽はどちら周りに自転しているのでしょうか。 また、「太陽黒点観察」で太陽投影板にのせた記録用紙にうつる太陽の像の方位がよくわからないので教えてください。
 まず初めに、天球上では「天体が動いていく方向がその天体の西」となります。他の天体同様、太陽の方位も動いていく方向が西です。これは地上にいる観測者を原点とした座標系で考えられているためです。そのため、実際の太陽の自転の方向は地球と同じ向きですが、太陽の方位が前述のように表されるので、「太陽は東から西に向かって自転する」という表現になります。
 次に、黒点観察についてですが、ケプラー望遠鏡を通して太陽投影板に映し出された太陽の像は、対物レンズで作られた実像を、接眼レンズでもう一度実像として映し出した像です。そのため投影板の裏側から見たときには、上下左右が2回反転した結果、肉眼で見たときと同じ向きに映し出されます。これを投影板の表側で紙に描き写しているので、左右だけ反転したようになり、記録用紙上では右側が東、上側が北になります。
月、金星のモデル実習の方法を変更したのはなぜですか。
 令和3年度版教科書の月、金星のモデル実習については、以下の観点で再度検討しました。
①月の満ち欠けのしくみをふまえて、金星の満ち欠けのしくみを考えるという学習の結びつきがあるか。
②モデルを見る位置や角度によって結果が変わらないか。
③金星が内惑星であることについて、モデル実習を行う前におさえておく必要はないか。
④地平線シートの使い方は、わかりやすいか。
上記の観点をふまえて、令和7年度版教科書では以下のような対応を行いました。
①に対する対応
・節の順番を以下のように変更した。
 令和3年度版教科書 ⇒ 令和7年度版教科書
 第1節「月の満ち欠け」 ⇒ 第1節「月の満ち欠け」
 第2節「日食と月食」 ⇒ 第2節「金星の見え方」
 第3節「金星の見え方」 ⇒ 第3節「日食と月食」
・月の満ち欠けのモデル実習で使用した地平線シートを金星の満ち欠けのモデル実習でも使用することで、月のモデルの考え方を金星でも適用して考えられるようにした。
②に対する対応
・観察ミラーを使用することで、視点を一定にできるようにした。
③に対する対応
・金星が内惑星であることを、モデル実習を行う前に扱う展開とした。(令和7年度版教科書p.224の11行め)
・月と金星の満ち欠けの共通点と相違点を、モデル実習を行う前におさえることで(令和7年度版教科書p.224表1)、モデル実習で何を再現できれば金星の満ち欠けを正しくモデルで表現できたといえるのかという観点を明確にした。
④に対する対応
・地平線シートの使い方(令和7年度版教科書p.221)を掲載した。
以上が月、金星のモデル実習の方法を変更した理由になります。
「分解者」の定義はいつから、どのように変更になったのですか。
 平成24年度版教科書では「消費者のなかで、生物の死がいや動物の排出物などの有機物を養分としてとり入れ、無機物に分解する生物を、分解者という」と定義していました。しかし、このような包含関係で表現すると、本節での主な学習内容である「生態系における役割」をとらえづらくなるという意見がありました。 そこで平成28年度版教科書からは「生態系には、植物や動物の死がいや動物の排出物といった有機物を、完全に無機物に分解する過程にかかわっている一群の生物がいる。これらの生物は分解者とよばれる」という表現にして、消費者と分解者を明確に分けることで役割をとらえやすくしました。そのうえで、側注に「分解者は消費者にふくまれるという見方をすることができる」という補足を加えています。
分解者には、ヤスデやミミズなどの小動物もふくまれるのですか。
 一般的に、分解者の定義には狭義と広義のものがあります。前者は菌類、細菌類のみが該当し、後者にはミミズやヤスデなどの腐食性の土壌動物もふくみます。どちらを採用するかは、辞典や専門書、研究者によっても異なっています。中学校理科教科書では、平成24年度から、文部科学省の検定意見により広義の定義を採用しております。