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教科書・指導書・教材の訂正・変更のお知らせ

小学校 書写

水書用筆等を使った指導を行うには、どんな用具を準備したらよいですか。
 まず「水書用紙」が必要です。水書用紙は、水で濡らした筆などで書くと色が変わる加工がしてあり、乾くと元に戻ります。「新編 新しい書写」では、1・2年の教科書巻末にそれぞれ水書用紙を付けています。点画の始筆から送筆、終筆という一連の動きを練習して運筆能力を向上させることを目的としていますので、児童が書きやすい大きさで自由に何度も練習できるように、水書用紙は無地にしています。1・2年の教師用指導書には、教科書の水書用紙と同じものを予備として付けています。
 「水書用筆」には、小筆のように水をつけて使うタイプと本体に水を入れるタイプがあります。どちらも通常の小筆よりも穂先が短く、弾力性に富んでいるので、低学年の児童でも扱いやすくなっています。絵筆などで代用することもできますが、鉛筆と同じ持ち方ができるように、軸の太さや穂先の長さに注意して選びましょう。なお、初めて使用するとき、水書用筆の穂先にのりがついていることがあります。そのまま使用すると、水書用紙にあとが残ることがありますので、のりを水で洗い流してからご使用ください。
水書用筆等を使った指導を、通常の授業にどのように取り入れるとよいですか。
 1・2年で点画の書き方を学習するとき、鉛筆で書く練習の前後に水書用筆等で書く活動を取り入れるとよいでしょう。穂先に弾力性のある水書用筆を用いると、点画の始筆から送筆、終筆(とめ、はらい、はね)の線の太さや筆圧の変化を体感しやすくなります。水書用筆で書くときの動きを繰り返し練習することで、鉛筆でも適切な運筆や筆圧の調整ができるようになっていきます。水書用筆は鉛筆と同じ持ち方をするように指導しましょう。
 令和6年度「新編 新しい書写」では、1年P10、2年P14に水書用筆等を使った学習場面を示していますが、この箇所に限らず、必要に応じて学習の中に適宜取り入れていきましょう。なお、字形の評価は鉛筆で書いたもので行うとよいでしょう。
平仮名で「はね」があるのは「か」だけであると聞いたことがあります。「い」や「こ」の1画目の終筆部分は「はね」ではないのでしょうか。
 漢字と同じように、平仮名の終筆にも「止め」「はね」「払い」があります。字源に即して厳密に区別する場合、平仮名で「はね」となるのは「か」の1画目のみです。(「か」の字源は「加」)
 「い」の1画目や「こ」の1画目などは、次の画へとつながる筆脈から生まれたもので、「はね出し」とよばれ、「か」の「はね」とは少し性質が異なります。(「い」の字源は「以」、「こ」の字源は「己」)「はね出し」の部分は、次の画へつなげるような気持ちで書くことが大切で、それが字形を整えることにもつながります。また、この「はね出し」は、必ずしも目に見える形で現れなくてもよいとされます。
このように、「はね」と「はね出し」には少し違いがありますが、小学校においては児童の発達段階を考慮し、同様に扱っても問題ありません。
「な」の結びは横長に書くのでしょうか、それとも三角形に書くのでしょうか。
 令和6年度「新編 新しい書写」では、平仮名「な」の結びの形を横長結びで示しています。(以前は「な」の結びの形を三角結びで示していましたが、平成23年度用「新しい書写」から横長結びに改めました。)
 字源から考えると、平仮名の「な」は漢字の「奈」から派生したので、三角結びが適していると考えられます。また、字源をもとに考えると、「ほ・ま・ね」についても、同様に結びの形は三角結びで示すことが適切となります。ですが、「新編 新しい書写」編集委員会では、文字習得時の児童の発達段階を考慮し、文字として間違いや矛盾を起こさない限りにおいては、似ている部分は同じ形で示し、児童が文字を類型的に整理して捉えられることを重視しました。つまり、字源から三角結びが妥当と思われる「ほ」などの平仮名も、「は」など形の似ている文字がある場合は、「ほ」と「は」を同じ横長結びの形で学習させることをより重視したのです。そこで、「な」についても、形の似ている「ほ・ま」などと結びの形を統一し、横長の結びで示すこととしました。
 また、中学校「新編 新しい書写」では、さまざまな字形を捉えられる生徒の発達段階や、行書に調和する仮名の学習においては、漢字の字源と関連付けて扱うほうが分かりやすいという考え方から、「な・ほ・ま・ね」の結びは三角結びで示しています。
3年以上のローマ字表にある字形や筆順は、どのように決められたものですか。
 ローマ字の字形については、読みやすさと書きやすさの観点から、文字の識別がしやすく、書くときの自然な腕の動きに沿った形にしました。また、筆順は、なるべく少ない回数で、効率的に整えて書けるように設定しています。字形・筆順ともに、英語教科書や国語教科書と整合性を図っています。なお、ローマ字の字形や筆順について、公的に定められたものはありません。