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小学校 道徳

指導内容の重点化は,学校の教育目標や児童の実態などから独自性をもって検討されるものですが,「新しい道徳」ではどのような基準で重点内容項目を取り上げていますか。
 「新しい道徳」では,学習指導要領総則の道徳教育に関する配慮事項で示されている項目に加え,これまでの道徳教育の状況調査を踏まえ,全学年を通しての重点内容項目と学年段階を考慮した重点内容項目を次のように取り上げています。なお,重点内容項目には2~3教材を配置しています。
〔全学年を通しての重点内容項目〕
 ・節度,節制/親切,思いやり/規則の尊重/生命の尊さ/自然愛護
〔低学年段階を考慮した重点内容項目〕
 ・善悪の判断,自律,自由と責任/礼儀
〔中学年段階を考慮した重点内容項目〕
 ・善悪の判断,自律,自由と責任/希望と勇気,努力と強い意志/友情,信頼/勤労,公共の精神
〔高学年段階を考慮した重点内容項目〕
 ・希望と勇気,努力と強い意志/友情,信頼/勤労,公共の精神/よりよい学校生活,集団生活の充実/伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度/国際理解,国際親善
「新しい道徳」の巻頭部分には,「目次」と「これから一年間で学ぶこと」の二つの目次がありますが,授業ではどのように使い分ければよいのでしょうか。
 各学年の巻頭の「目次」は,教材を指導時期順に並べたものです。「新しい道徳」では,子どもたちの生活実態や学校行事などに合わせて効果的な学習ができるように教材を指導時期順に配列しています。例えば,2年生の第1教材として節度,節制をねらいとした「1 じぶんでオッケー」を配して,基本的な生活習慣を身につけること,節度をもって節制を心がけた生活を送ることに関することを,新学期に合わせて授業できるようにしています。4年生では,セミの羽化を題材に感動,畏敬の念をねらいにした「12 一ぴきのセミに『ありがとう』」を7月に配しています。
 また,この目次では,「印の意味」として,「出会う・ふれ合う」などのテーマをもたせた教材の説明を掲載しております。子どもたちに教科書の扱い方をお話される際にご活用ください。
 もう一つの目次にあたる「これから一年間で学ぶこと」は,四つの視点と内容項目別に教材を分類したものになっています。この目次の教材名には,その教材で扱う内容項目を,子どもにも分かりやすい言葉で示した「学習のテーマ」をつけています。これによって子どもたちは,何を学ぶのかを見通しをもって学習することができます。子どもたちに道徳授業での学習内容を説明される際に,お使いください。なお,1年生では,学年段階を考慮して巻末に掲載しています。
 そして,先生方にとっては,年間指導計画を作成する際に,内容項目をもとに指導の重点化を考えることができます。また,学習指導要領では各学年段階の内容項目をその学年においてすべて取り上げることとされています。したがって,各教育委員会などで作成された教材をご指導される場合は,複数ある内容項目の教材と差し替えてください。
各教材につけられている「設問」は,1-2学年と3-6学年で形式が異なっています。これはどのような意図からでしょうか。また,3-6学年の「考えるステップ」は,どのように扱えばよいのでしょうか。
 「新しい道徳」では,全学年において教材名の横に,その教材で扱う内容項目を子どもに分かりやすい言葉で示した「学習のテーマ」をつけています。これにより,子どもが見通しをもって学習に臨むことができます。そして,各教材には,育てたい道徳性を踏まえた設問をつけています。
 1-2学年では,教材名の下部にその授業を通して考えることを投げかける設問を取り上げています。
 3-6学年では,教材の末尾に二つの設問を設けています。第1の設問は,教材を活用して道徳的価値の意義や内容について追求し,理解を深めるためのものです。第2の設問は,教材から離れて子ども自身がこれからの生き方についての考えを深め,実践化につなげるものです。
 また,3-6学年にある「考えるステップ」は,問題解決的な学習に対応した教材「問題を見つけて考える」につけた設問です。この教材では,扉ページを設けて,子どもたちが「はっ」とする言葉で問題意識を引き出し,教材名の下部に設けた「考えながら読もう」で,教材を通して考えるポイントを投げかけて問題を焦点化しています。その上で,学習する道徳的価値や教材の特性を考慮した話し合いの手引きとして「考えるステップ」を示し,話し合いの視点を明確にしています。
道徳の読み物教材と国語の読み物教材との違いは,どこにあるのでしょうか。
 道徳の授業では,「教材を読んだあとが大事である」といわれています。これは,道徳と国語の授業のねらいの違いによるものです。
 国語の授業形態にはいろいろありますが,その中心となるのが教材の読解です。ここでは,教材本文を読むことで子どもたちが,作者の意図や記述内容を理解することをねらいとしています。なお,音読を中心とした授業であっても,登場人物の心情や考えを理解することは授業の中で行われます。
 一方,道徳の授業では教材本文を読んだあとに,話し合いによって子どもたちが自分の考えをまとめることが重要となります。したがって,作家の作品を道徳教材として取り上げる場合,本文に子どもたちに考えてほしい内容が記述されている場合は,作家のご理解のもとに,その箇所を削除するなど道徳の読み物教材としての改作を行って掲載しています。
 このことは,「特別の教科 道徳」がめざす,「読む道徳(読み取り道徳)から考え,議論する道徳へ」につながるものとなります。
表紙を見るとこれは何だろうと,つい目を凝らしてしまうイラストが描かれていますが,それぞれにどんな仕掛けが盛り込まれていますか。
 「考え,議論する道徳」に向けて,物事を多面的・多角的に考えるということを,子どもたちにもイメージできるように,ちょっと不思議な世界を表紙に表わしました。
 次に各学年の表紙をご紹介しますので,子どもたちといっしょに楽しんでいただければと思います。
 1年:カラフルなフルーツの世界で仲よく遊ぶ,子どもたちと動物たち。雨粒はスイカの種,傘はりんごやみかん,ボートはバナナでできているようです。
 2年:子どもたちが,チーズの家で,動物たちといっしょに楽しく過ごしています。大きな穴が窓や出入り口,そして魚の泳ぐ水槽になっています。
 3年:ゆったりと海を泳ぐ,ピンクの巨大なハコフグ。子どもたちが明るい心で日々を送ることのできる,カラフルな島と潜水艦になっています。
 4年:豊かな自然に満ちた森の中で遊ぶ,子どもたち。その森は,ハリネズミの体でした。絵を逆さにすると,空にそびえる山にも見えてきます。
 5年:これから暮らす未来の世界を,希望を持って描きだしてゆく子どもたち。現実と,まだつくられていない非現実が,画面の中で交錯します。
 6年:夜空の向こうの明日をめざして,彼らは歩きだします。夜と朝。静的な内面世界と,動的な社会。さまざまな対比が込められています。