学習の科学に基づく最新の教え方
「スモールティーチング」で授業が変わる!
ISBN:978-4-487-81897-6
定価3,960円(本体3,600円+税10%)
発売年月日:2026年08月06日
ページ数:312
判型:A5
5分の小さな変更で、学習効果が最大化!
認知心理学や神経科学などの研究に基づいた「学習の科学」。膨大な時間やエネルギーを費やすことなく、小さな変更で授業の質や学習効果を飛躍的に高める授業方法を提案している。
これまでの教育改革はゼロからの再構築を求めていることが多いため、多忙を極める教員にとって実践は容易ではなかった。しかし、本書のスモールティーチングによって、教師たちは、授業の一部を変更するだけで学生たちの学習成績にポジティブな影響を与えることができる。このような戦略を著者は「スモールティーチング」と呼んでいる。
スモールティーチングはアメリカのプロ野球で生まれた堅実な戦術「スモールボール」に基づいている(低コストで大きな結果を得る戦略)。この方法は準備や採点に時間がかからないため、明日の朝の授業から試すことができる。また、数式を扱う授業、ライティング、対面講義、オンライン授業、ハイブリッド型にいたるまで、授業形態を問わず応用可能な普遍性を備えている。
「授業を全面的に作り直す時間はないけれど、学生たちの学習がより深くなるような授業にしたい!」と願うすべての教育関係者に対して、本書は強力な指針を示す。
序文―――日本語版刊行にあたって
大学院生の1年目の秋頃、はじめて講義を担当しました。非常勤講師として医療系の専門学校で心理学の講義を担当することになったのです。依頼してくださった先生の期待に応えたかったので必死で準備しました(1週間の約半分を講義準備に割いていました)。しかし、講義準備は難航しました。そして、授業準備から授業方法まで、数えきれないほどの失敗を重ねてきました。
1つ目の失敗は「授業の基準」です。誤解を恐れずに言うと、当時は「面白いか、面白くないか」だけが基準でした。「授業で笑った回数が多いほど記憶に残るだろう」と単純に思い続けていたので、バラエティ番組で面白かったトークの構成を文字に起こして眺めてみたり、司会が上手な芸能人の話し方を録画で何回も見直して分析してみたり、あらゆる方法で「面白さ」を追求しようとしていました。改めて思い出してみると、「講義」を作っているのか、「漫談」を作っているのか、迷走していたように思います。
2つ目の失敗は「『なぜ重要なのか』を伝えなかった」ことです。専門用語の解説やユニークな心理学実験の紹介に終始しており、「どのように役に立つのか」「明日から何をすれば良いのか」など、日常と講義内容をつなげて説明していませんでした。日常的な具体例も十分に紹介していなかったので、理解が追いつかなくなってしまったのでしょう。たくさんの学生たちを睡眠学習に導いてしまったこともあります(眠らせたかったわけではないのに!) とても気持ちよさそうに眠っているので、「心理学よりも睡眠学習をマスターさせてしまったのだろうか」と自信を喪失しかけた日もありました。
3つ目の失敗は「過去の経験に頼り過ぎた」ことです。非常勤講師1年目の頃は、「学部生・大学院生のときに受けた講義をベースにして作れば大丈夫だろう」と安易に考えていました。つまり、講義の最初から最後まで文字がぎっしり詰まったスライドを見せて説明していたのです(スライド文字詰め選手権が開催されていたら優勝していたことでしょう)。文字を詰め込んだスライドで難解な専門用語を淡々と解説する講義は学生にとって苦痛であり、「十分な学習効果は見込めない」とわかるまで長い時間がかかりました。
「このままではダメだ」とわかっていても、改善策がわからず、煩悶する日々でした。当時は「講義の作り方」を教わる機会や環境もなかったので、「自力で道を切り拓く」以外の選択肢はありませんでした。しかしながら、現在は「学習の科学(The science of learning)」があります。認知心理学や神経科学の発展により、効率的で効果的な授業方法や学習方法が確立され始めているのです。
私と同じような失敗経験を積む必要はありません。「学習の科学」の知見を参照すれば、私が長い時間をかけて得た知見を効率的に学ぶことができるのです。教育関係者でなくても、誰かに何かを教える立場になる機会があれば、ぜひ活用するべきです。近い将来、「学習の科学」は教育関係者にとって1つの指針になるでしょう。
「講義を全面的に作り直さないといけないのか?」と不安に思う方もいるかもしれません。どうか心配しないでください。本書が主張しているように、すべての授業をゼロから作り直す必要はありません。授業方法や授業形式を少しだけ変更すれば良いのです。本書が提案している「スモールティーチング」の原則を利用して、講義の「最初」や「最後」の数分を改善するところから始めてみましょう。苦行のような日々から得た教訓は、本書にすべて書いてありました。教育関係者であれば誰でも利用できる方法です。
教育関係者のみなさまに本書が届きますように!
授業の準備で困っている先生たちに本書が届きますように!
2026年7月
訳者 岡崎善弘
はじめに―――第2版
毎年12月が終わる頃、世界中の人々は自分の人生を変える決意をしているようです。1月1日は、新しく決めた習慣、心構え、良い人間として生きる方法、問題や依存症の克服などを始める最初の日です。私も1月1日から新しいことを始める1人であり、特別に大きな抱負は大好きです。私は決意が大好きなので、決意は新年だけに制限していません。私と長く暮らしてきた妻は、読書中に私が割り込んで何かを宣言しても軽く受け流すようになりました。「すごいアイデアがあるんだ! 私たちの人生を変えよう!」と伝えると、彼女はあきれたような目で私の提案を聞いて、うなずきながら微笑んだ後、再び読書に戻るのです。妻がこのように対応する理由は、私の大きな決意が長続きしないことを知っているからです。新しい決意ができると、私は妻を探し出して、次のように伝えるのです。「前回は馬鹿な決意だった。でも今回は本当に素晴らしいアイデアなんだ!」。
毎年12月や1月に新年の決意表明を特集している記事はとても多いので、大きな決意表明が好きな人は私だけではないようです。ほとんどの記事が同じことを指摘していました。つまり、決意を確実に実行したいのであれば、小さく始めると良いのです。大きな最終目標を心に描いているかもしれません。しかし、最終目標を達成したいのであれば、実行可能で管理しやすい戦略で努力を始める必要があります。2021年1月頃、決意に関する1つの記事が私をブライアン・J・フォッグ(スタンフォード大学の行動デザイン研究所の所長)の研究に導いてくれました。フォッグは、著書 『Tiny Habits: The Small Changes that Change Everything(2020)』(注1)の中で、次のように主張していました。「変化する可能性が最も高い方法は、想像できる限りの最も小さなステップから始めたときです」。たとえば、上半身の筋力をつけたい場合、コーヒーができる間に「2回の腕立て伏せをする計画」から始めるのです。とても小さくて管理しやすい計画に思えるので、私たちは習慣として続けることができるようになり、徐々に拡大して最終的に大きな目標に到達できるのです。フォッグによると、「日々のルーティンの中に『決意した行動』を結びつけることができれば、新しい習慣が定着しやすくなる」と主張していました(たとえば、「お茶を蒸らしている間に必ず腕立て伏せをする」など)。そして、望ましい行動を完了するたびに自分の達成を祝う(次の日も腕立て伏せを達成した自分を少しだけ褒める)ことによって、新しい習慣が根づいていくのです。フォッグの本を読んだあと、私はすっかり感化されてしまいました。すぐに妻を見つけて、「フォッグの本がとても面白かったこと」や「新年の決意を守って翌年の私たちの人生を変える素晴らしいアイデア」を伝えました。アイデアを聞いた妻は、「私は新年の決意なんてひとつも立てたくない」と言って、微笑みながら、再び読書に戻っていきました。
私の「小さくない」人生の決意は、長期的にほとんど実現しません。しかし、数年に1回くらいですが、とても大きな仕事(アイデアを本にすること)を達成することもあります。もちろん、いつも完璧に書き終えているわけではありません。決意しておきながら、最後まで書けなかった本もたくさんあります。しかし、「再び書き始めてみよう」と思えるようなアイデアを閃くことが時々あるのです。2014年1月頃、新年の決意が達成できなかったことが頭に残っていたのでしょう。日記に次のような言葉を書いていました。
JOSSEY-BASS(注2)に送る本の企画で良いアイデアが浮かびました。「5分間の介入」または「授業時間の端」。つまり、学習を最大化するために、従来型の授業の中で「短い介入」の導入を提案する本です。「短い介入」であれば、教員は自分の授業を最初から考え直す必要がなくなります。認知理論に基づいて5~15分の介入を導入するだけで、学生たちが積極的に参加できるようになり、学習の潜在能力を高めることができます。
短い日記が「種」となり、2016年春頃に初版が出版されました。そして、第2版の『Small Teaching: Everyday Lessons from the Science of Learning』(本書) につながったのです。最初から最後まで当初の構想通りに書けた本は他になかったように思います。日記の言葉は、完成した本書を正確に描写しており、そして、読者に伝えたかった内容を正確に反映することができました。つまり、学習科学の研究に基づいた「小さくて実践的な変更」を教員たちに紹介することが目的であり、学生たちの学習を向上させることが私の願いでした。
本書のアイデアがこれほど温かく受け入れられたことは、私の人生で最大の驚きの1つでした。本書の発行部数は、他の著書すべてを合わせた発行部数を超えており、各学期で新しい読者層を得ているようです。世界中の大学や短大のキャンパスで「本書のアイデアを講演やワークショップで紹介してほしい」という招待を何百件も受け取りました。また、私は「Chronicle of Higher Education」にスモールティーチング戦略の連載記事を書いたのですが、連載記事は、私がこれまで書いた中で最も広く読まれた記事となりました。「授業の最初の5分間を効果的に使って教える方法」に焦点を当てたコラムは特に人気があります。授業時間の最初の数分間に秘められた可能性に気づいた読者が現れるたびに、ソーシャルメディア上で記事が共有されており、今でもよく見かけます。2019年の秋頃、続編として『Small Teaching Online』を出版しました。FD(教員能力開発)の専門家であるフラワー・ダービーが主著であり、長年のオンライン教育の研究と実践を積み重ねてきた経験があったので、スモールティーチング戦略をオンライン授業に適用することができました。本書の第2版の制作を始める頃、シリーズ第3弾の『Small Teaching for Elementary and Middle-School Educators』(小学校・中学校教員向けスモールティーチング)の計画を最終段階まで進めていました。
スモールティーチングの方法は、教員や教育機関に対して「2つの魅力」が伝わるように設計しました。1つ目の魅力は「少ない負担」です。ほとんどの教員は仕事や私生活でたくさんのイベントを抱えているので(複数の授業の担当、委員会活動、専門分野の研究、非常勤のキャンパス通勤、子育て、親の介護、社会正義の擁護、パンデミックを生き延びることなど)、実行可能な形式で「教え方と学習方法」を改善する道を提供したいと考えていました。教員たちは「教え方と学習方法」に関する文献を丁寧に読みたいと思っていても、読書する時間や体力が残っていないのです。したがって、本書では、大きな負担(準備や評価に必要な時間)をかけずに実践できるように配慮しました。私の希望は、『Small Teaching』を読んだ教員や、新学期が始まる3日前に私のワークショップに参加した教員が、新しい教育戦略(1~2個)を授業に導入できるようにすることでした。さらに、学期の第5週目や第10週目に本書のアイデアを見つけた教員でも、「学生たちと一緒に試す価値がある新しい方法」が発見できるようにしたかったのです。
2つ目の魅力は「効果」です。すぐに実践できる教育戦略は、学生たちの「知識の定着・学習・成績」にパワフルでポジティブに影響します。私の教育経験を通して、小さな変更でも大きく変化する様子を目の当たりにしてきました(たとえば、停滞していた授業に活力が戻ったり、学生たちの参加姿勢が大きく変わったりしたのです)。Chapter4で紹介する「コネクションノート」は、私の授業の中でも最新の良い事例です。わずかな授業時間で書けるので、毎年担当している文学概論を大きく変化させることができました(最小限の採点で済むノートを導入しました)。「コネクションノート」という手段で、学生たちは「自分の生活」と「授業で読む19 世紀のイギリスの詩」の間に、とても深いつながりを作ることができるようになっていたのです。授業評価では、「コネクションノート」が学習で最も役立ったツールの1つとして挙がるほどです。
ポジティブな効果を保証する条件として、スモールティーチング戦略は、高等教育の研究の中で出会った原理や理論と一致している必要がありました。原理を各Chapterの土台にした結果、スモールティーチングを体系的に提案できるようになりました。本書の第2版を作りたいと思った大きな理由の1つは、最近の5年間で、私自身の原理に対する考え方の変化が関係しています。考え方の変化は、最も本質的な変更箇所(Part2とPart3の全面的な改訂と再構成)が説明してくれるでしょう。
本書の初版では「自己説明」のChapterを設けており、「学習者が学習課題に取り組んでいるとき、考えていることを話させる(書かせる)ことを求めると、理解が深まる」という方法を紹介していました。過去5年間にわたって本書のワークショップや講義を続けた結果、自己説明の章がスキル重視の環境(舞台芸術や臨床実習など)で学生たちを教える教員に強く響くことに気づきました。一方で、スキルを重視する環境以外の教員たちは、自分の授業に自己説明をどのように取り入れたら良いのかわからず、苦労していました。自己説明の方法と効果の理由を考えていたとき、自己説明は一般的な「説明」として捉え直せることに気づきました。そして、本章の2つのモデルは、自己説明の領域を超えて、一般的な「説明」のモデルとして提案しました。したがって、初版で「自己説明(self-explanation)」と書いていた章のタイトルは「説明(Explaining)」に直しました。たとえば、学生たちに自分の学習を声に出して説明させるモデルを提案しています。声に出して説明する方法は、自分だけでなく、教室内の仲間や教室外の聴き手が対象になっています。Part2の3つの章は、とても論理的な順番で授業方法を説明しています。授業内容を教室の外の生活と結びつけたり、新しい知識やスキルをさまざまな状況で適用する練習をしたり、理解したことを他者に説明したりすると、学生たちの学習はさらに深まります。もちろん、最後の「他者に説明する」は、私たち教員が授業でいつも実践していることを別の表現に変えているだけなので、「教える」という実践が理解を深めていることは良く知っているはずです。同じことが学生にも当てはまるのです。
初版のPart3は「成長(growing)」に関するChapterを設けており、キャロル・ドゥエックの成長マインドセットの研究に基づいて執筆していました。ドゥエックや多くの研究者たちは、「『自分の知能は固定されていない。成長・拡張できる』と信じていると学習能力が高まる」ことを発見しています。成長マインドセットの理論は学問の枠を超えて広く普及・議論されており、さまざまな教育で応用されている方法は本書で紹介した戦略よりも話題性があったので、成長マインドセットの理論が広く浸透した結果、反発も生まれました。つまり、「成長マインドセットは万能薬ではない」と警告する人々が現れたのです。固定的なマインドセットは、学生たちが学校で努力しているときに必ず出会う問題の1つに過ぎないのです。教育だけでは解決できない社会的・経済的な障壁(政治や経済の問題)で解決する努力も必要になるでしょう。しかし、このような問題を考慮しても、ドゥエックの理論や理論の応用に大きな教育的価値があると考えており、教員はマインドセットの理論を知っておくべきでしょう。
同時に、数年にわたって考え続けた結果、マインドセットの章で本当に伝えたかったことは、「学生が『教室に居場所がある』と感じることができるようにする方法」だったと気づきました。学生たちは、どのような経験を持っていたとしても、「学習者として所属して良い存在」であり、教室の外でどのような問題を抱えていたとしても、私たちのコミュニティの大切なメンバーとして所属しているべき存在なのです。このような観点から理解すると、成長マインドセットは必要な章です。つまり、固定マインドセットを持つ学生たちは、「自分の知的能力は限界があるので、大学や高校の教室に居てはいけない存在なのではないだろうか」と恐れる可能性があります。そこで、Chapter7のタイトルは「成長(Growing)」から「所属する(Belonging)」に変更して、所属意識を高める戦略も追加しました。各戦略は、資源(assets)に基づいた教育理論を参照しています。私たちは、欠如の視点(学生に欠けている部分を授業で埋めようとする考え方)を通して学生を見てしまうことがあります。しかし、学生たちは、知識、スキル、多様な人生経験、文化的知識に至るまで、さまざまな資源(assets)を教室にたくさん持ち込んでいるのです。2020年の世界的なパンデミックによって「教室のコミュニティ意識」の重要性が明確になったこともあり、所属感を提供できる教育戦略であれば、「学生たちのコミュニティも効果的に育成することができる」と考えるようになりました。
Chapter6とChapter7の大幅な改訂は、最も重要な変更点です。しかし、読み進めていると、他の変更点も見つけることができるでしょう。たとえば、各Chapterの順番、本書で紹介している研究の拡充、スモールティーチング戦略の追加などです。章のタイトルを「拡張」から「学習する」に変更したChapter9では、「教員として成長を続けるために必要な最新の参考資料」を紹介しています。紹介した参考資料を読んで本書のモデルを越えてください。それぞれの授業環境や学生コミュニティに合ったスモールティーチング戦略の開発に挑戦してくれることを願っています。
他の変更も検討していたのですが、最終的に採用しませんでした。Introductionで説明しているように、「スモールティーチング」という概念は、アメリカのプロ野球とアマチュアのソフトボールの2つから着想を得ています。しかし、第2版では「別の方法でスモールティーチングの概念を説明できないだろうか」と長い時間をかけて検討していたのです。検討した理由は2つあります。第1の理由は、読者層です。本書は「グローバルな読者層に届けたい」と思っていたので、アメリカのスポーツを使った比喩は、野球に馴染みがない国際的な読者に響かない可能性がありました。このような問題が私の前に現れた瞬間は、翻訳者と話していたときでした。翻訳者は、「スモールティーチングの概念」の表現に苦労していたのです。第2の理由は、説得力です。多くの大学教員はスポーツにほとんど関心を持っておらず、授業方法と野球の類似点に説得力を感じない可能性がありました。私は世界中のスポーツに情熱を持っているタイプではないのですが、いくつかのスポーツの大きな試合は楽しんで観ており、友人や同僚とスポーツの話も楽しんでいます。一方で、私の同僚の1人は、廊下でスポーツボールの話題が出てくると、反転して自分のオフィスに戻ってしまうのです。
スポーツに関心がない同僚のような読者が「スモールティーチング」の概念とつながる機会を失ってほしくありません。しかし、2014年の夏に観戦した娘のソフトボールの試合や、2014年の秋にワールドシリーズの試合を見た経験が本を書くきっかけになったことは否定できません(2014年1月に書いた日記の内容を本にするきっかけになりました)。2つの観戦経験は、「小さな変化が大きな影響をもたらす」ことを示してくれたのです。そして、本書を完成させるまで書き続ける意欲を与え続けてくれました。したがって、Introductionでは、初版で紹介していた「スモールティーチング」の概念の説明を第2版でも同じように掲載しました。もちろん、スポーツボールの試合に関する記述も残しているのですが、記憶はすでに薄れているかもしれません(ただし、カンザスシティ・ロイヤルズのファンであれば記憶に残っているかもしれません)。そして、初版を読んだ方は、Chapter1の「予想」の最初のストーリーが変更されていることに気づくでしょう。スポーツの試合の結果予測が学習に与える影響は削除しました。そして、妻のオンラインの幼稚園クラスの話の方がChapter1の概念を効果的に紹介することができるだけでなく、教育・学習の中にしっかりと位置づけることができると思ったのです。
最初の記事から初版や第2版に至るまで、本書の核心的な信念は変わっていません。核心的な信念とは、「授業を設計したり、教室で実践したり、学生とコミュニケーションする際の小さな決定に注意を向けること」であり、「小さな変更で教え方と学習方法の質が大きく向上する」という考え方です。私は、このような方法が教員と学生の生活を変える効果があることを実際に目にしてきました。そして、みなさんも同じように実践してくれることを願っています。
ジェームズ・M.ラング(JAMES・M.LANG)
注1) 日本語版は『習慣超大全 スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法』ダイヤモンド社、2021年。
注2)本書の原書である『Small Teaching : Everyday Lessons from the Science of Leaning』が出版されたアメリカの出版社。
コンテンツ
Chapter 1 予想する Predicting
Chapter 2 思い出す Retrieving
Chapter 3 混ぜ合わせる Interleaving
Part 2 理解 Understanding
Chapter 4 つなげる Connecting
Chapter 5 練習する Practicing
Chapter 6 説明する Explaining
Part 3 インスピレーション Inspiration
Chapter 7 所属する Belonging
Chapter 8 モチベーションを引き出す Motivating
Chapter 9 学習する Learning