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ICT サポート情報 【学習者用デジタル教科書:小学校算数】小学校算数・学習者用デジタル教科書+デジタルドリルで家庭と学校の学びがつながった~島原市立第四小学校
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【学習者用デジタル教科書:小学校算数】小学校算数・学習者用デジタル教科書+デジタルドリルで家庭と学校の学びがつながった~島原市立第四小学校
GIGAスクール構想による1人1台端末を活用していない学校が一定数あることが問題として指摘されている。2021年9月から市のGIGA推進校である島原市立第四小学校(大槻浩二校長・長崎県)では端末(Chromebook)と共に学習者用デジタル教科書やドリル等各種教材、クラウドツールを学校全体で積極的に活用しており、大槻校長も同校GIGA担当の佐仲健太教諭も「すべての教員が積極的に活用している」と話す。運用のポイントを聞いた。
宿題としたタブレットドリルの問題の正答率を確認し、正答率が低かった問題を解説してから再度取り組んだ

宿題としたタブレットドリルの問題の正答率を確認し、正答率が低かった問題を解説してから再度取り組んだ

■計算も端末上で見返す

「もとにする量」「くらべられる量」に線を引いてから式を考えノートに記入した

「もとにする量」「くらべられる量」に線を引いてから式を考えノートに記入した

自動採点後、間違えた問題の計算ウインドウを出して計算ミスの有無を確認した

自動採点後、間違えた問題の計算ウインドウを出して計算ミスの有無を確認した

5年生算数「割合と百分率」の授業では冒頭、前日に家庭学習として出題した「問題データベースタブレットドリル」(東京書籍)の算数科問題について正答率を大型提示装置に表示して全員で確認。「もとにする量」「くらべられる量」と割合の公式を確認してから正答率が低かった問題を全員で解き直した。

その後は学習者用デジタル教科書を使用。問題文を大型提示装置に提示して全員で声を出して読み、かつ各自のデジタル教科書上に「もとにする量」「くらべられる量」に線を引いている。全員でそれぞれについて確認してから、各自でノートに式を立てて答えを求めていった。画面上に公式や図を記入して考える児童もいる。

教科書問題2問について全員で取り組んだ後は、残り3問に各自で挑戦。すべて終わった児童はタブレットドリルでさらに習熟を図った。メモ用ウインドウを問題文に重ねられるため、問題文上に大胆に計算をしている児童が多い。解答の際はメモ用ウインドウを端末画面上から隠して記入。タブレットドリルは端末上ですぐに採点ができるので、採点後、間違った問題については、メモ用ウインドウを再度画面上に戻し、計算ミスをしていないかどうか確認していた。

■正答率を確認してからポイントを解説できる

授業後、児童は「タブレットドリルは難しい問題もあるので挑戦するのが楽しい。教科書の問題を早く終えようと頑張るようになった」と話した。

授業者の入江智絵教諭は「端末と学習者用デジタル教科書、タブレットドリルで授業の進め方や学びの流れが変わった」と話す。まず、導入前は問題文を板書していたが、今は学習者用デジタル教科書で問題文を拡大提示できるため、思考の時間をしっかり確保できるようになった。これは児童も同様で、問題文をノートに記載せずに学習者用デジタル教科書上に線を引いて考え、計算をし、ノートには式と答えを書いていた。

タブレットドリルは家庭学習を中心に行っており、問題ごとの正解率を確認して定着していない部分について次の授業で解説。授業は学習者用デジタル教科書を中心に行うが、教科書の問題が終わった児童はタブレットドリルに取り組んでいる。同校のGIGA担当である佐仲健太教諭は「教員全体にGIGA端末活用を広げるため、春休みや夏休みに時間を確保して皆の事例を広げている。ICT活用に積極的な教員ばかりで進めやすい」と話した。

■端末導入きっかけにドリル教材5教科導入

島原市ではタブレットドリルを小中学校に各5教科導入している。導入の経緯について、島原市教育委員会の林田一成指導主事は「もともと問題データベース(東京書籍)を導入していたが、端末導入時、これを活用できるドリル教材を導入したいと考え、2021年11月から『問題データベース タブレットドリル』の活用を試験的に始め、2022年4月から正式に導入、本格的に活用を始めた」と話す。

導入当初はタブレットドリルマネージャーでの管理等、活用の仕方について学校間で差があったが、市のGIGA研修会等で第四小学校の活用事例を情報提供したところ、全市的に活用が進むようになってきているという。市教委では第四小学校からの情報提供をもとに各種マニュアルや配布文書等を全校に届けている。「ネットワークも問題なく接続できており、今後ますますタブレットドリルの活用を進め、基礎学力の定着の一助として欲しい」と話した。

■負担感減らす工夫を継続

大槻浩二校長

大槻浩二校長

2021年2月の1人1台端末配備後、活用を個人任せではなく組織で取り組むためにも全教職員が負担感を感じにくい仕組みとしたいと考え、まず本校HP上に児童専用ページと教員専用ページを設けて授業に活用できる教材を集約。すぐにアクセスできるようにした。専任のGIGA担当も決めて教員研修を進めた。

スムーズな活用のためには児童のスキル面の向上も必要だ。すぐに週1回のGIGAタイムを創設し、いつオンライン授業になっても良いようにビデオ会議アプリを用いた仮想授業や授業で活用する各種アプリの操作を練習。

本校には新たな教育課題や端末などのICTツール、環境に積極的にチャレンジしようという雰囲気があり、端末の家庭持ち帰りやすき間時間の自由な活用を推進。児童は学習者用デジタル教科書やドリル教材、電子書籍・新聞など様々なものを活用している。

端末持ち帰りについては家庭の協力が大きい。本校では99%の家庭が既にWi―Fi環境を整えている。当初は7~8割程度であったが、端末を活用した授業やハイブリッド授業の様子を積極的に情報発信することで一気に整った。感染症の予防等で学校を休まなければならない児童の保護者からは「ハイブリッド型授業で参加したい」と言われるほど浸透。「命と学びの保障」につながっている。

これまでは「端末に慣れる」ことを主な目標としていたが、活用が浸透したことから、今後は児童が様々な学習方法を選択できるようにする。並行してICT化による校務の効率化にも着手している。

校内の体制作りは管理職の仕事である。

【掲載 2023/3/6付 教育家庭新聞 教育マルチメディア号】
※執筆者の所属や役職は執筆時のものです

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