■自信をもって発音できるように
全員一斉に読んでから音読練習を4分間×2回繰り返した
野村教諭は音読のポイントとしてアクセントやイントネーション、リンキング等を説明してから情報端末を使って大型提示装置にデジタル教科書を提示。音声に従って全員で一文ずつリピートした。後半、生徒の声は徐々に小さくなっていく。野村教諭は「今日の練習でどれくらい上達するのか楽しみ」と生徒に声がけをした。
■本文練習内容は4種類から選択
練習内容は「ショート」「ミドル」「ロング」「パーフェクト」の4コースを生徒に示し、各自で選択する。「ショート」は英検3級、「ミドル」は英検準2級の2次試験で出題される問題文の分量相当としている。「パーフェクト」は1ページ全文である。
練習の前に、各自のデジタル教科書の本文音声再生の設定を行った。
デジタル教科書では、設定を変更することで様々な練習ができる。
野村教諭は「クリックすると一定間隔をあけながら英語の音声が一文ずつ聞こえる」リピーティングモードを推奨。生徒は各自の端末に向かって4分間、練習を始めた。全員がイヤホンを使っており他の生徒の音声は気にならないようだ。
■録音を交換して評価し合う
4分間練習の後、次は「リンキング」「母音・子音」に注意して練習する。「We」「re」「Let us」等の発音のポイントを伝えてから2回目の4分間練習を行った。今回はリピーティングに加えオーバーラッピングモードの選択も推奨。生徒は1回目よりも集中して取り組んでいる。
次に、各自の発音を情報端末上のデジタルノート(MetaMoJi ClassRoom)上に録音。2分間で複数回録音して聞き返すなどし、その最終版を、ペアで情報端末を交換して聞き合った。ペアになった生徒の発音で良いと思った点は緑、改善した方が良いと思った点は赤で書き込み、情報端末を返却して口頭でコメントし合った。
それらのコメントを踏まえ、再度個人練習を3分間実施。最終録音を野村教諭にオンラインで提出した。
■レポート課題も準備
本単元の最後には「自分が選んだ絶滅危惧種について英語でレポートをまとめ、交流し合う」ことを設定している。生徒はそのレポート準備として、教科書本文からレポート作成に使うことができそうなフレーズをピックアップ。スクリーンショットで、デジタルノート上のフォルダ「教科書から使える表現」に保存。野村教諭は「教科書の本文には良い表現がたくさんある。日本語を翻訳ソフトで訳すよりも良い文章を作成できる」と声掛けした。
最後に全員一斉で一文ずつリーディング。最初よりも自信をもって発音している様子が見られた。
■長年欲しいと思っていた機能
録音された発音を聴いて良い点と改善すべき点をマークし、ペアで交流
野村教諭はデジタル教科書について「長年欲しいと思っていた機能が手に入った。わからないところ、自信のないところは1人ひとり異なる。デジタル教科書はいつでも自分のタイミングで正しい発音を聞き返すことができる」と話す。
授業内で音読練習を重点的に行った理由について「デジタル教科書の設定を変えることで様々な練習ができる。端末の家庭持ち帰りの際に、その特性を知って自ら選択して学べるようにしたい。6月から開始してまだ3か月余りだが授業冒頭と最後では明らかに発音が英語らしくなっている。英語らしい発音ができることは自信につながり、さらにリスニング力の向上も期待できる」という。この日はほぼ1時間音読練習を行ったが、通常は約10分間の練習時間を継続的に設けている。
また、録音した音声を聞き合いアドバイスし合うことで、コミュニケーション活動につなげている。相手の発音や読み方についてコメントするためには、自分なりの評価基準が必要だ。これまで曖昧だった部分を意識化でき、自分の振り返りにも役立つという。音声や動画は蓄積しており、ポートフォリオとしても役立つと考えている。
2学期以降の活動については「シャドウイングやディベート、プレゼンテーションと段階を踏んで発展させていきたい」と語った。
■生徒の活動が増えた
勝村和之校長
1人1台端末活用は浸透しており、特に休校明けの2021年2学期から授業そのものが変わったと感じる。教職員も、様々なICTツール活用に積極的。本校の「愛宕スタイル」にICTツールが加わることでバージョンアップが図られていると感じる。
全生徒が端末を持つことで、これまでできなかったことができるようになり、個別最適な学びにつながりやすくなった。端末操作も子供たちは教え合いながらすぐにできるようになった。興味関心を持つことが最も重要であると感じている。
今日の授業では、1人ひとりの音読練習を学習者用デジタル教科書により授業内で行い、それぞれのペースで練習し、確実に上達が見られた。
守谷市内の全中学校では、1人1台端末を活用して海外在住者が講師となるリアルタイムのオンライン英会話レッスンを昨年度は2年生、今年度は中学校全学年の授業で行っている。デジタルノートと学習者用デジタル教科書を効果的に組み合わせて英語力の向上を図っていく。
※執筆者の所属や役職は執筆時のものです