東京書籍

すべての人々に健やかな知的生活を

東京書籍

サイクリストのためのストレングスとコンディショニング

サイクリストのためのストレングスとコンディショニング
競技と日常生活の質を高める自転車以外のトレーニング

フィル・バート/著 マーティン・エヴァンス/著 西薗良太/監訳

ISBN:978-4-487-81364-3
本体価格2,800円
発売年月日:2020年07月03日
ページ数:176
判型:B5変型判

解説:
家で、ひとりでもできる。
「新しい生活様式」にも対応しうる新時代のバイク・トレーニング。
「オフバイクトレーニング」。バイクに乗らずに行うボディコンディショニングは、レベルを問わずサイクリストのパフォーマンスを向上させるのに間違いなく効果的です。

監修者はじめに

元プロロードレーサーの西薗良太と申します。2011〜17年の間で選手をやっていました。引退後は大学院に進学し、現在では研究者として働いている身ですが、現役時代はどうやったら海外の選手たちの圧倒的な力に伍することができるのか? どうやったら自分の力を最大限引き出すことができるのか? ということを考え続けてきました。
その中の原体験として、2012〜13年頃でのストレングス・コンディショニング(S&C)トレーニングの利用があります。プロ2年目頃にパワーがつき、走行距離も急増して身体の不調が増えてきました。今思うと怪我寸前、そして実際に軽度の故障を抱えていた私は、現ハムスタースピンの福田昌弘氏他から示唆を受け、S&Cトレーニングの重要性に気づき、アドバイスを受けながら色々と取り組むようになりました。その際に、日本語の文献で参考にできるものはなく、英語のWebや書籍などから断片的に情報をかき集める必要があったのが思い出されます。
過去10年間でサイクリストは闇雲に乗ればよいという考え方はずいぶんと後退しました。それはパワーメーターなどを利用したトレーニング方法の考え方が英語圏から広く浸透し、その実施ノウハウがアマチュアレベルにも蓄積されてきたからだと思います。そして今回本書の翻訳を公開することで、そういった考え方の中に、オフバイクS&Cトレーニング──自転車に乗らずに行うS&Cトレーニング──を日本語で付け加えようとしています。いうなればこの本は、私が2012年頃に探していた技術へのショートカットです。
『ロードバイク スキルアップトレーニング』福田昌弘・著(日東書院本社 2018)にその可能性は既に示されていますが、2010年頃からこの手法の源流となっていたブリティッシュサイクリングのS&Cコーチのフィル・バートとマーティン・エヴァンス両氏は、奇しくも同じ2018年に、彼らが連盟内で使っていたS&Cトレーニングのフレームワークについて詳細に説明した本書の原書を出版しました。より教科書的で彼らが基づいている考え方に言及がある本書には、邦訳出版の価値があるものと考え、最先端のトピックをオムニバス的にまとめた『世界最高のサイクリストたちのロードバイク・トレーニング』(東京書籍)に続いて監訳を手掛けました。
オリンピック延期にまでなったコロナ禍の中、今後外出が難しくなるシチュエーションというのもまた出てくるのかもしれません。また、悪天候や怪我の際など自転車競技者が自転車に乗れない状況は案外とあります。
そんなときにも本書は役に立つでしょう。
日本で自転車競技に取り組む選手や指導者、そして健康のために身体を鍛える全ての皆様に本書がお役に立てれば幸いです。

2020年5月 コロナで静かな東京にて
西薗良太

著者情報

フィル バート(ふぃる ばーと)
1999年に理学療法士の資格を取得して以来、さまざまなスポーツの分野で、世界最高のアスリートたちを支え続ける。2006年からブリティッシュ・サイクリングで、主任理学療法士に就任。大胆かつ最先端の手法を用いて2008年の北京オリンピック、2012年のロンドンオリンピック、2016年のリオオリンピックでチームを指揮。また、バイクフィッティングの世界的権威であり、リトゥール・ワールド・ボード・アドバイザーズやサイクルフィット・シンポジウム組織委員会に名を連ね、SASやイングランドプレミアリーグといった一流スポーツ組織でもアドバイザーを務める。2018年にはブリティッシュ・サイクリングを退職し、philburtinnovation.co.ukを開設。サイクリストを対象とした怪我の診断とその治療、バイクフィッティング、空力性能の評価、サドルチェックといった幅広いサービスを提供し、独自の革新的な商品開発にも力を注ぐ。世界的な著名人として講演を行うかたわら、自身でも最大限自転車に乗っている。

著者情報

マーティン・エヴァンス
2003年にスポーツおよび運動科学の学士号を首席で取得した後、コーチング科学のポストグラデュエートコースを優秀な成績で修了。イングランドスポーツ研究所(EIS)では上級ストレングス&コンディショニングコーチとして、また同研究所内のブリティッシュ・サイクリングでは主任ストレングス&コンディショニングコーチとして勤務。このとき彼が考案したストレングス&コンディショニングの戦略は、グレート・ブリテン・サイクリング・チームの全選手の強化プログラムに採用された。また、彼自身も主要なスタッフとして金メダルを目指す選手たちを支え、2012年のロンドンおよび2016年のリオオリンピック&パラリンピックに挑んだ。現在はイングランドサッカー協会のウィメンズ・フィジカル・パフォーマンス主任を務め、すべての女子代表チームのコンディショニング戦略を監督。またEISでも勤務を続け、さまざまな分野のスポーツ科学に精通する医療スタッフとして活動。自転車やサッカー以外にも、世界レベルでの水泳、トライアスロン、ラグビーなど、多様なスポーツ界で選手を指導している。

著者情報

西薗良太(ニシゾノ リョウタ)
1987年鹿児島県生まれ。鹿児島第一高校を経て、東京大学に進学。全日本大学対抗選手権(インカレ)の自転車競技・個人ロードレース及び個人タイムトライアルを制し、学生ロード二冠を達成。2011年、東京大学工学部計数工学科システム情報専攻を卒業し、シマノレーシングに加入、日本初の東大卒のプロロードレース選手として話題になる。ヒルクライムでの強さを誇ったが、理詰めでフォームや戦略を組み立てていくタイムトライアルも得意としており、全日本選手権を3度制覇するなど、世界トップレベルの実績を残し、2017年シーズン終了とともに引退。