THE ELEMENTS 元素の図鑑
ISBN:978-4-487-81890-7
定価6,930円(本体6,300円+税10%)
発売年月日:2026年07月23日
ページ数:288
判型:B5変形
これまでにない、全く新しい視点で描かれた元素の周期表図鑑へようこそ。この図鑑では、人間がどのように元素を見つけてきたか、その歴史をたどりながら、科学や化学のドラマを物語のように楽しめます。
今ではおなじみの「周期表」ですが、実は原子の中身が詳しくわかる前の1800年代に生まれました。新しい元素が見つかるたびに表は書き換えられ、中には命がけの発見もありました。例えば、爆発しやすいフッ素の研究では、多くの科学者が怪我をしたり命を落としたりしたため、彼らは「フッ素の殉教者」と呼ばれています。そして今この瞬間も、科学者たちは最新の装置を使って、未知の元素を探し続けています。118番までの元素に続く新しい仲間が、粒子加速器の中での一瞬の輝きとして見つかりはじめており、周期表は今も成長し続けているのです。
本書では、ページをめくるたびに現れる美しい写真が、見慣れたはずの元素の意外な素顔を教えてくれます。わかりやすい図解やイラストが、目に見えない原子の仕組みや、不思議な性質の理由を解き明かします。
「金はなぜあんなに薄く伸びるの?」「ダイヤモンドはどうして世界一硬いの?」「ビスマスが浮いて見えるのはなぜ?」「コバルトから生まれるあの鮮やかな青の秘密は?」といった疑問に、楽しく答えてくれます。
科学が好きな方はもちろん、どなたでも思わず見入ってしまうほどスタイリッシュで美しい一冊です。
この宇宙にあるすべての物質が隠し持っている秘密を、あなたも一緒に覗いてみませんか?
全118の元素を圧倒的なクオリティで魅せる! 『THE ELEMENTS 元素の図鑑』紹介動画
日本語版読者への序文 ―――すべての「星の子」たちに捧ぐ
本書は、元素を人間との関わりの順、つまり発見順に並べ、できるだけその元素だけからできた単体の写真を大きく掲載し、発見史のみならず、とくに各原子の電子軌道の配列や原子核を示し、その物理的・化学的性質を説明した図鑑である。
元素はその発見史や用途を知るだけでもためになる。しかし、それだけではなく、元素の物理的・化学的性質の奥底にあるミクロな世界にも目を向けたい。
ひとつは、化学反応でやり取りする電子だ。もうひとつは、放射性元素が放射線(代表的な放射線であるα線、β線、γ線)を出して壊れる性質や能力(放射能)と、核融合のような核反応の中心になる原子核だ。電子や原子核のことは多くの人には難しい部分があると思う。私にもなかなか理解できないところがある。本書を手に取ったみなさんも、今の段階ではスルーしてもよい。図などを眺めて、そんな奥底があることを知っているだけでもよいと思う。
私は、ときどき、化学や元素の入門講座をする。そこには元素大好きの大人や子どもたちがたくさん集まってくる。昆虫少年少女などがいるように、最近は元素少年少女に数多く出会うのだ。
「この茶色のびんには純粋なカルシウムが入っている。カルシウムは何色か?」
「乾燥空気中で3番目に多い気体は何か?」
「普通の温度で液体の金属は水銀だが、その次に融けやすくて体温で融ける金属は?」
などと質問をすると、そんな子どもたちがぱっと答えてくれる。
本書のカルシウムの項には純カルシウムの写真がある。乾燥空気中で3番目、0.93%も含まれている気体が発見されたのは1894年のことで、続々と発見されたこの元素のグループは周期表で1つの「族」になった。手の平に硬い銀色の固まりをおいておくと、融けて銀色の液体になるその金属元素の化合物は、青色LEDの材料となって身近にある。
天然にある元素で約90種類。人工元素を含めて現在118種類の元素が周期表に並んでいる。元素の大部分は金属元素だ。カルシウムはその金属元素の1つ。カルシウムを白色だと思った人は身近にある炭酸カルシウム(石灰岩、貝殻、卵殻などの主成分)、リン酸カルシウム(骨の主成分)など、カルシウムの化合物の色を思い浮かべたに違いない。
元素は単体だけではなく、化合物にその成分元素として入りこんでいる。単体は1種類の元素からなり、化合物は2種類以上の元素からなる物質である。骨はカルシウムとリンと酸素の化合物だが、おもな成分元素がカルシウムなので、その代表として骨の成分を「カルシウム」と呼んでいるので注意が必要だ。
人工的方法(核反応)によって作り出される元素を人工元素という。本格的に人工元素が作られたのは原子番号93番元素以降だ。113番元素は日本の理化学研究所(理研)の森田浩介博士のチームが2004年7月に最初の1つ目を合成し、2005年に2つ目、2013年に3つ目を合成、113番元素としての裏付けもしっかりと実証した。2016年11月に正式にニホニウム(Nh)という名称が決まった。新元素の合成としてアジア初の快挙だ。
今も新しい元素の合成が続けられている。原子や素粒子の未知の世界への探究の面白さがそんな努力を支えているのだろう。
地球も、人間をはじめとする生物も、宇宙で生まれて、地球をつくった元素でつくられている。人は星くずからできた「星の子」なのだ。
人類は、古代ギリシアの時代から「世界は何からできているか?」という問いに対して、こうして元素の世界を明らかにしつつある。あなたも私も、そんな知的能力をもった「星の子」たちの仲間なのだ。
『THE ELEMENTS 元素の図鑑』
日本語版監修者
左巻健男




