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SDGsの目でみる天気の図鑑

SDGsの目でみる天気の図鑑

稲葉茂勝/著者 木原実/監修 こどもくらぶ/編者

ISBN:978-4-487-81635-4
定価3,080円(本体2,800円+税10%)
発売年月日:2022年08月29日
ページ数:96
判型:A4判

解説:
SDGsを軸に、「天気」「気象」「気候」、その3つの意味と違いを教科横断的に解説!
身近な天気も、地球規模の気候変動も、しっかり理解できる「目でみる」絵図鑑。

はじめに

 真冬だというのに春のような暖かさが続いたり、はげしい雨が続いて大水害に見まわれたり、超大型の台風が上陸したり……。テレビでは「これまでに経験したことのないような猛烈な風が吹く」などと、くりかえし注意がうながされたりしています。近年日本でも多くの人が異常気象をはだで感じるようになっています。
 しかし、こうした気象について「異常気象かどうかはわからない。なぜなら人類が天気を科学的に調べだしたのはわずか100年くらい前のことで、1000年前はどうだったかわからないからだ」という人たちがいます。
 それでも、すべての人類が一丸となって気候の変動を止めていかなければ、地球は、世界は、人類はやっていけなく(持続不可能に)なってしまうと、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」がうたわれました。

   一方、異常気象も気候変動も、地球がどんどんあたたまっていること(地球温暖化)によって起きている、しかも、地球温暖化は、人類が輩出してきた二酸化炭素が原因でもあると考えられるようになりました。ところが、それについても「寒冷期と温暖期をくりかえしてきた長い地球の歴史から見れば、自然のサイクルだと見るほうが科学的だ」などという人がいます。
 しかし、そうした意見に対しても、気象学者の真鍋叔郎(まなべしゅくろう)さんが50年以上も前に「二酸化炭素が増えれば地球の気温が上昇し、地球温暖化につながる」という研究を発表したことがきっかけとなり、世界中で研究が進み、二酸化炭素が地球温暖化を引き起こしていると認められるにいたりました(真鍋さんは、2021年のノーベル物理学賞を受賞。すると、地球温暖化の自然サイクル説を主張する人も目立たなくなりました)。
 では、わたしたちが天気を気にするのはどんなときでしょうか? もちろん身近に洪水の心配があれば、また、「これまでに経験したことがないような猛烈な風が吹く」などといわれれば、「天気は大丈夫か?」「いつから雨がふるの?」「風は、どのくらい強くふくの?」などと、気にする人もいるでしょう。それでも、みんなが日常生活で気にするのは、次のようなときではないでしょうか?

・雨がふりそうだけど、傘をもっていくほうがいいかな?
・寒くなるみたいだけれど、コートいるかしら?

 この本を手に取ってくださった方にお願いします。「天気」「気象」「気候」の3つの言葉の意味と、それぞれの違いをしっかり理解してください、と。

「天気」…地表近くの大気のなかで、起こる気象現象のこと。晴れたりくもったり雨がふったり、また雷などは、みな地表から10kmhどの範囲で起こっている。

「気象」…地球を取りまく大気全体のなかで起こるさまざまな現象。地球を取りまく大気は、地表から「対流圏」「成層圏」「中間圏」「熱圏」の4つがあり、まとめて「大気圏」という。

「気候」…地球上のある地域で1年を周期としてくりかえす大気の状態のこと。「関東平野の気候」とか「地中海の気候」などという。気温や湿度、降水量などが気候の構成要素とされている。「気候変動」とはその名のとおり、気候を構成する気温などが変化することをさす。

 なお、この「目でみるシリーズ」には、姉妹本が6冊あります。
『目でみる単位の図鑑』
『目でみる1㎜の図鑑』
『目でみる算数の図鑑』
『目でみる地下の図鑑』
『目でみる水面下の図鑑』
『目でみるアスリートの図鑑』
 これらの既刊本は、それぞれのテーマを独特な切り口で切りとった図鑑ですが、類書の多い「天気・気象」のジャンルのものをこのシリーズに投入するのは、これまでにも増して覚悟のいることでした。でも、まもなく生涯作品数が1500冊になろうとするぼくは、長い編集経験を生かして、仲間といっしょにオリジナリティーを追求しようと頑張りました。果たしてうまくいったでしょうか?
 蛇足になることを覚悟して、もう一言。ぼくがこの本をつくろうと思ったのは、ある具体的な出来事があったからです。それは、ぼくがスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんの記事を書き、その縁で『グレタ ひとりぼっちの挑戦』という映画パンフレットにコラムを書かせてもらったこと。その映画のなか、国連で演説したグレタさんに向かって、アメリカの前大統領トランプ氏が、大人気なく、くってかかっています。グレタさんが「地球温暖化を止めなければならない。人類は二酸化炭素の排出をやめなければならない」と演説したのに対し、「地球温暖化なんてうそだ!」と。
 じつは、トランプ氏は、先に記した「地球温暖化をもたらしたのは、人類が輩出してきた二酸化炭素が原因」に対し、真っ向から反対していた人たちの代表的な存在です。ぼくはこのことがあって、身近な天気も地球規模の気候変動もしっかり理解できるような「目でみる」本をつくれないかと考えたのでした。

子どもジャーナリスト
SDGs子ども大学運動実行委員長
稲葉茂勝

著者情報

稲葉茂勝(イナバシゲカツ)

著者情報

木原実(キハラミノル)

著者情報

こどもくらぶ(コドモクラブ)
こどもくらぶは、あそび・教育・福祉分野で、子どもに関する書籍を企画・編集している。おもな作品に『日本の工業』『知ろう! 防ごう! 自然災害』(以上、岩崎書店)、『歴史ビジュアル実物大図鑑』『はたらくじどう車スーパーずかん』『ポプラディア大図鑑 WONDA 鉄道』(以上、ポプラ社)、『信じられない現実の大図鑑』『0歳からのえいご絵ずかん』『小学生の英語絵ずかん』『目でみる単位の図鑑』『目でみる算数の図鑑』『目でみる1mmの図鑑』(以上、東京書籍)、など、毎年100タイトルほどの児童書を企画、編集している。

コンテンツ

巻頭特集
気候変動とSDGs
(1)持続可能な開発目標
(2)気候変動
(3)SDGs目標13

PART1
いろんな「目」でみる天気
(1)空
(2)雲
(3)空からふってくるもの
(4)風
(5)雷・豪雨・竜巻

PART2
いろいろな気象
(1)天気と気象
(2)温帯低気圧と前線
(3)熱帯低気圧
(4)地球をめぐる大気の流れ
(5)大気と温度
(6)天気・気象・気候
(7)「湿度」

PART3
気候が変わる!
(1)気候の4大要素
(2)気候区分
(3)海流が気候に影響
(4)日本の気候
(5)気候変動から気候危機へ
(6)気候変動への対策

PART4
巻末特集
(1)天気をあらわす言葉・漢字
(2)気象観測と天気予報
(3)お天気いろいろランキング
(4)用語解説