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世界は女性が変えてきた 夢をつないだ84人の勇者たち

世界は女性が変えてきた 夢をつないだ84人の勇者たち

ケイト・ホッジス/著

ISBN:978-4-487-81354-4
本体価格2,400円
発売年月日:2020年08月29日
ページ数:192
判型:

解説:
自分の人生を切り拓き、さまざまな職業に就き我が道を突き進んで世界を変えた84人の勇者とも呼ぶべき女性先駆者の生きざまを紹介。デザイナー、科学者、起業家、作家、女優、政治家、ミュージシャン、女性解放運動家、フェミニズム活動家など幅広く、今までに誰もやらなかったことを行い、それぞれが生きた時代の寵児として名を馳せ、女性という枠や家庭に縛られる事なく各ジャンルで新しい革命を起こしたりブレイクスルーを見出した人物を選定。時代も18世紀から現代までを押さえ、美しくハイセンスなイラストとともに描く。個人を事典的に解説するのではなく、別の女性たちとの関連やつながり、誰かしらが皆つながっていることがわかるように工夫された構成になっており、歴史的・社会的な背景も視覚的に理解できる良書である。

はじめに

すべての偉大な女性の背後には、別の偉大な女性が存在する。本書には、素晴らしい女性たちの物語がいくつも収められている。下着に情報を隠していたスパイ、Wi-Fi にも使用されている技術を発明した女優。投獄され、強制的に食事を流し込まれた女性参政権運動家、何百人もの奴隷たちを解放した、自身も奴隷だった女性─。彼女たちは、1人で戦っていたわけではない。友人、仲間、指導者らの力を借り、つながりのある過去の女性の偉人たちにヒントを得ていたのだ。
これから紹介する女性たちは、親密な仲から緩やかな結びつきまで、様々な形でつながっている。親友や恋人同士、仕事仲間の場合もあれば、互いに影響し合い、同じ運動に身を投じ、同じ賞を授与された場合などもある。ただし本書はシスターフッド(女性たちや姉妹関係の連帯や友情、絆)を祝福するもので、男性との恋愛関係を通じたつながりを語るのは極力避けるようにした。
インディラ・ガンディー、エレノア・ルーズベルト、ヴィクトリア女王といった世界的に有名な女性が登場するが、読者の中には、彼女たちのことは知っていても、ほかの女性たちとのつながりまで知らない人もいるかもしれない。イギリスの全寮制の学校でホームシックにかかっていたインディラを作家のアイリス・マードックが慰め、お堅いエレノアはロングドレスでアメリア・イアハートの操縦する飛行機に乗り込んで旅に出かけ、ヴィクトリア女王は先鋭的な作家であるハリエット・ビーチャー・ストウと秘密裏に会ったりしていたのだ。
知名度はそこまで高くなくても、驚くべき人生を送った女性たちも登場する。コンセプチュアルなアート表現などを通してジェンダーの境界線をあいまいにし、ナチスに捕らえられながらも危ないところで死刑を免れた芸術家のクロード・カーアン。『ティファニーで朝食を』の主人公ホリー・ゴライトリーのモデルとされる、大酒飲みで孤独なコラムニストのメーヴ・ブレナン。スペイン内戦下の女性や子どもたちの姿を、静かで鋭い視点で捉えた写真家カティ・オルナ。彼女の作品は、恋人で写真家のロバート・キャパが同内戦の前線で撮影した作品よりも、鮮烈な印象を放っている。彼女たちのそんな物語に光を当てることができたのは、誠に幸運である。
本書で紹介するのは、19世紀以降の様々な分野で活躍しながら、さらにほかの女性とつながりが認められる女性たちだ。中国の海賊である鄭一嫂(ていいっそう)やノルウェーの猟師ヴァンニ・ヴォルスターなども取り上げたかったが、彼女たちは孤独な生活を送っていたため、他者との交流の記録は見つけられなかった。
女性たちについて調べていると、その多くの功績が、同僚や身内によって消されたり、貶められたりしていたことに気づく。ファニー・メンデルスゾーンは、彼女の楽曲が弟の名前で発表されていなかったら、もっと早くに偉大な作曲家として知られるようになっていただろう。物理学者リーゼ・マイトナーは、その深い知識が女性であるがゆえに無視されなければ、ノーベル物理学賞に輝いていたかもしれない。
書いていて苦痛に感じる物語もあった。アンネ・フランクの話は数えきれないほど読み返しているが、いまだに心打たれ、涙なしに原稿を書くことができなかった。衝撃的な物語もあった。メルセデス・デ・アコスタとコレットの奔放で貪欲な性欲には心底驚かされたものだ。
サラ・パップワースの魅力あふれる独創的なイラストは、物語に負けることなく生き生きと女性たちを蘇らせてくれた。ページをめくるとストーリーが鮮やかに浮かび上がり、彼女たちの姿、そして彼女たちがどんな世界に生きていたかが伝わってくる。
本書を書くにあたって、登場する音楽家たちのプレイリストを作ってみた。ニーナ・シモンのパフォーマンスは大地を揺り動かすほどの力を保ち続けているし、パティ・スミスは今でも世界中のアーティストに影響を与えている。マヘリア・ジャクソンの歌声を耳にすれば、たちまち生きる力が湧き上がってくる。このプレイリストはSpotify でチェックできる。
「六次の隔り」というように、世界中の人間がつながっている。シスターフッドも果てしなく広がっており、とても1冊の本に収めることができなかった。紹介したくてもできない女性も大勢いた。デリア・ダービシャーもプッシー・ライオットもビョークも載せられなかったし、ヴィタ・サックヴィル=ウエストもトニ・モリソンもエレナ・フェッランテも諦めなければならなかった。ベリル・バートンもタヴィ・ゲヴィンソンもヴィヴィアン・マイヤーもパティ・ハーストも無理だった。アレキサンドリーヌ・ティニも登場させられなかったし、マリー・ラヴォーを紹介したくてもページが足りなかった。リサ・シンプソンだって泣く泣く断念した。それでも本書に登場する女性たちの物語はどれも驚くものばかりで、書きながらたくさんの刺激と感動をもらった。同じような体験をしてもらえたらうれしい。

著者 ケイト・ホッジス

著者情報

ケイト・ホッジス(ケイト・ホッジス)
ウェスト・ミンスター大学でジャーナリズムを学ぶ。卒業後、20年に渡り、数々の大手出版社で雑誌記者として活躍し、多数の新聞メディアにも記事を執筆。

著者情報

サラ・パップワース(サラ・パップワース)
twitterのフォロワー数を数多く誇り幅広く活躍するイギリスの人気イラストレーター。

著者情報

西川知佐(にしかわちさ)

コンテンツ

序文:ルーシー・マンガン
はじめに:ケイト・ホッジス

マヌエラ・サエンス ペルー(エクアドル)/政治家
アニータ・ガバルディ(ブラジル)/革命家の妻
アンニャ・マニャーニ(イタリア)/俳優
エディット・ピアフ(フランス)/シャンソン歌手
パティ・スミス(アメリカ)/ミュージシャン
メリル・ストリープ(アメリカ)/俳優
エメリン・パンクハースト(イギリス)/女性参政権活動家
シルヴィア・パンクハースト(イギリス)/女性参政権活動家
ルイーズ・ミシェル(フランス)/革命家
アンナ・ジャクラール(ロシア)/革命家
ソフィア・コワレフスカヤ(ロシア)/数学者
ジョージ・エリオット(イギリス)/作家
エリザベス・ギャレット=アンダーソン(イギリス)/医師
メアリー・サマヴィル(スコットランド)/メアリー・サマヴィル
エイダ・ラブラス(イギリス)/数学者
フローレンス・ナイチンゲール(イギリス)/看護師
エリザベス・ブラックウェル(イギリス)/医師
スーザン・B・アンソニー(アメリカ)/社会活動家
ハリエット・タブマン(アメリカ)/奴隷解放活動家、女性解放活動家
ソジャーナ・トゥルース(アメリカ)/奴隷解放活動家
ハリエット・ビーチャー・ストウ(アメリカ)/作家
ヴィクトリア女王/イギリス女王
ファニー・メンデルスゾーン(ドイツ)/作曲家、ピアニスト
クララ・ヴィーク=シューマン(ドイツ)/作曲家、ピアニスト
キャサリン・ヘプバーン(アメリカ)/俳優
ジプシー・ローズ・リー(アメリカ)/ストリッパー
ヘディ・ラマー(オーストリア)/俳優、発明家
ジョーン・クラーク(イギリス)/暗号解読者
エイミー・ジョンソン(イギリス)/飛行士
エレーン・デュトリュー(ベルギー)/飛行士、自転車レーサー
マリー・マーヴィング(フランス)/アスリート、飛行士
マリーズ・イルズ(フランス)/飛行士
アメリア・イアハート(アメリカ)/飛行士
エレノア・ルーズベルト(アメリカ)/大統領夫人、活動家
マリー・マッティングリー・メロニー(アメリカ)/ジャーナリスト
マリ・キュリー(ポーランド)/物理学者、化学者
呉健雄(中国)物理学者/物理学者
リーゼ・マイトナー(オーストリア)/物理学者
グレタ・ガルボ(スェーデン)/スウェーデン
メルセデス・デ・アコスタ(アメリカ)/詩人、作家
イサドラ・ダンカン(アメリカ)/ダンサー
ガートルード・スタイン(アメリカ)/作家、美術収集者
シルヴィア・ビーチ(アメリカ)/書店主、出版者
クロード・カーアン(フランス)/芸術家、写真家
ガラ・ダリ(ロシア)/サルバトーレ・ダリの妻、実業家
エルザ・スキャパレッリ(イタリア)/ファッション・デザイナー
ミウッチャ・プラダ(イタリア)/ファッション・デザイナー
ジル・サンダー(ドイツ)/ファッション・デザイナー
ココ・シャネル(フランス)/ファション・デザイナー
コレット(フランス)/作家
シモーヌ・ド・ボーヴォワール(フランス)/哲学者、作家
アイリス・マードック(アイルランド)/哲学者、作家
インディラ・ガンディー(インド)/政治家、首相
マリア・モンテッソーリ(イタリア)/医師、教育家
アンネ・フランク(ドイツ)/『アンネの日記』作者
マララ・ユスフザイ(パキスタン)/人権活動家
ミシェル・オバマ(アメリカ)/元大統領夫人、弁護士
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ(ナイジェリア)/作家
ビヨンセ(アメリカ)/シンガーシングライター
ジョセフィン・ベイカー(アメリカ)/歌手、ダンサー
オードリー・ヘップバーン(ベルギー)/俳優
メーヴ・ブレナン(アイルランド)/ジャーナリスト、短編作家
ドロシー・パーカー(アメリカ)/詩人、短編作家
ニシェル・ニコルズ(アメリカ)/俳優、歌手
メイ・ジェミソン(アメリカ)/宇宙飛行士、医師
ベッシー・コールマン(アメリカ)/飛行士
マヘリア・ジャクソン(アメリカ)/ゴスペル歌手
ニーナ・シモン(アメリカ)/歌手、ピアニスト
アンジェラ・デイヴィス(アメリカ)/政治活動家、著作家
グロリア・スタイネム(アメリカ)/ジャーナリスト、フェミニズム活動家
ビリー・ジーン・キング(アメリカ)/テニス選手
オプラ・ウィンフリー(アメリカ)/司会者、実業家
エマ・ワトソン(フランス)/俳優
ミスティ・コープランド(アメリカ)/バレエダンサー
アレッサンドラ・フェリ(イタリア)/バレエダンサー
ヴァージニア・ウルフ(イギリス)/作家
ジョージア・オーキフ(アメリカ)/画家
フリーダ・カーロ(メキシコ)/画家
タマラ・ロホ(スペイン)/バレエダンサー
ピナ・バウシュ(ドイツ)/舞踏家、振付師
アンジェラ・カーター(イギリス)/作家
レオノーラ・キャリントン(イギリス)/画家、作家
レメディオス・バロ(スペイン)/画家
カティ・オルナ(ハンガリー)/写真家