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上代文藝に於ける散文性の研究

上代文藝に於ける散文性の研究

中西 進/著

ISBN:978-4-487-81309-4
本体価格3,300円
発売年月日:2019年10月21日
ページ数:440
判型:A5判

解説:
現代を代表する国文学者にして「令和」の考案者とされる中西進の卆寿記念出版。
中西万葉学、中西文学論、中西日本人論のすべての原点といえる、東大卒業論文を、90歳の原点として、令和の今、出版して世に問う。
400字×674枚の圧巻の手書き原稿がここによみがえる。
日本古代において、韻文と散文は如何に成立してきたのか。
卒業論文ながら極めて高い学術性は、現代の国文学者、国文学の学生らにとっても非常に有益な着眼点や論点を提供する。

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平安時代になると『源氏物語』にしろ『枕草子』にしろ堂々たる散文作品が登場するが、奈良時代には、なぜそれがないのか。もちろん「風土記」や「古事記」はあっても、それぞれ叙述目的は他にある。

 その一方で長歌という、後には消えてしまう歌はいっぱいあって、やれ二人の男が一人の女に恋したとか、橋の上を渡っていく美女を見かけたから恋をしてみたいとか、すなおに散文で述べればいいのに、いかにも窮屈そうに長歌でしか歌わないのはなぜだ。

 おかしい。もしかしたら古代日本人は「うた」以外には口が廻らなかったのか。

(「まえがき」より)

著者情報

中西進(なかにしすすむ)
1929(昭和4)年8月21日生まれ。
東京大学文学部卒業。同大学院修了。文学博士。
1963年刊行の『万葉集の比較文学的研究』により、読売文学賞、日本学士院賞受賞。
その後の研究活動で、和辻哲郎文化賞、大佛次郎賞、菊池寛賞などを受賞。
2013年、文化勲章受章。
筑波大学教授、国際日本文化研究センター教授、大阪女子大学学長、京都市立芸術大学学長などを歴任。
現在、京都市中央図書館長、富山県高志の国文学館館長などを務める。

主な著作に『中西進 著作集』(全36巻、四季社)、『日本人の愛したことば』『ことばのこころ』(以上、東京書籍)などがある。

コンテンツ

第一章 散文文芸の韻文文芸
 第一項 概説
 第二項 散文文芸
 第三項 韻文文芸

第二章 敍事の潮流
 第一項 比喩敍法
 第二項 物語歌謠
 第三項 唱和詩体
 第四項 歌物語形態
 第五項 説話文芸

第三章 抒情詩の流動
 第一項 純抒情の崩壊
 第二項 万葉第三期
 第三項 敍景歌
 第四項 物語歌
 第五項 観念歌
 第六項 連作表現