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ICT サポート情報 「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」から見える課題 2ページ目
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課題2.ICT活用指導力

また,同調査における教員のICT活用指導力については,資料3のように推移しています。いずれの項目も上昇していますが,B項目「授業中にICTを活用して指導する能力」とC項目「児童生徒のICT活用を指導する能力」が,他に比べて低くなっています。この2つの項目については,調査の小項目の回答結果を見ていくことで,課題をとらえることができます。

資料4のとおり,Bの小項目「興味・関心を高める」ための活用は,73.5%と他に比べて高いのですが,「課題を明確につかませる」「思考や理解を深める」「知識定着を図る」などが60%台と低くなっています。確かな学力の育成に当たって重要なポイントとなる観点で,まだ十分に自信をもつことができない様子が伺えます。

C項目「児童生徒のICT活用を指導する能力」は,昨年度から0.8ポイントの増加にとどまっています。小項目で見ると「インターネットなどを活用した情報収集」は,72.7%と他と比べて高いのですが,「文章や図表にまとめる」は63.1%,「発表や表現」については59.7%と低くなっており,ICTを活用して考えを整理してまとめたり,伝えたりするところに課題があると言えます。

「OECD国際教員指導環境調査(TALIS)」においても,「生徒がICTを用いた活動をよく行う」と回答した教員の割合が全参加国(34か国・地域)中最下位という結果が出ており,教員が児童生徒のICT活用を指導する力を高めていくことが課題となります。

【資料3】教員のICT活用指導力の推移(平成26年3月現在)

【資料4】教員のICT活用指導力の状況(平成26年3月現在)
課題解決への取り組み

児童生徒のICT活用については,これからの教育において重要とされる,課題の発見と解決に向けた児童生徒自身の主体的・協働的な学び(いわゆるアクティブラーニング)を効果的に実現する上でも重要なことです。移動可能な端末や教材の整備など,児童生徒が様々な場面で活用するに十分なICT環境の整備と共に,情報活用能力育成の視点からも,効果的な活用・実践が進んでいくことが望まれます。

国としては,このような状況を踏まえ,平成26年度は「ICTを活用した教育の推進に資する実証事業」を行い,現在その成果を取りまとめているところです。さらに,平成27年度は,ICTの活用を推進する自治体を応援する事業「ICTを活用した教育推進自治体応援事業」に取り組むこととしています。この事業では,教員のICT活用指導力の向上を図るための研修プログラムの策定や,ICTを活用した授業のカリキュラム策定に取り組む自治体への支援を行うほか,ICT環境の整備・充実を図る取組を支援するため,「ICT活用教育アドバイザー」の自治体への派遣を行います。

未来を担う子供たちの,新たな学びを見据え,教育環境の整備・充実と共に,教員の指導力向上方策の構築が促進されるよう支援していきます。

菅原 弘一 (文部科学省 生涯学習政策局 情報教育課 専門職)

宮城教育大学教育学部卒業。宮城県・仙台市小学校教諭,仙台市教育委員会指導主事,仙台市立吉成小学校教頭,文部科学省生涯学習政策局参事官付専門職を経て,現職。現在は,専門職としてICTを活用した教育の推進などを担当。

※平成27年3月掲載
※執筆者の所属や役職は執筆時のものです
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