ICT サポート情報 【実践事例】生徒一人ひとりの「気づき」をデータで支える~香南市立野市中学校におけるi-checkデータ活用~
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【実践事例】生徒一人ひとりの「気づき」をデータで支える~香南市立野市中学校におけるi-checkデータ活用~
春日裕之教頭

春日裕之教頭

香南市立野市中学校では、生徒の学級への適応状況や人間関係の課題などを早期に把握し、いじめや不登校といったリスクを未然に防ぐための取り組みを重視しています。
この目的のため、質問紙調査「i-check」のデータを校内研修や日々の指導に活用しています。

教頭の春日裕之先生は、「気になる生徒がいた場合には日常的に、i-checkデータをマイアセス上で確認し、生徒の状況を客観的に把握しています。このデータが、学級づくりや個別の生徒指導において非常に役立っていると実感しています」と語ります。

質問紙調査「i-check」はCBT化により、結果が即時にフィードバックされる利便性が生まれました。これにより、教員はタイムラグなく生徒の状況を把握し、迅速かつ効果的な指導を行うことが可能となっています。

質問紙調査「i-check」はCBT化により、結果が即時にフィードバックされる利便性が生まれました。これにより、教員はタイムラグなく生徒の状況を把握し、迅速かつ効果的な指導を行うことが可能となっています。

■データに基づくリスクマネジメントの実践:勘と経験から客観的な指導へ

i-check CBTの結果資料の中で最も重視しているのはリスクマネジメントページです。このページの活用を通じて、野市中学校では生徒指導を以下の具体的な活動に落とし込み、教員の「勘と経験」に頼りがちだった指導を客観的なデータに基づくものへと転換しています。

【リスクマネジメント票】*画像のデータはすべてダミーです

【リスクマネジメント票】*画像のデータはすべてダミーです。

リスクマネジメントでは、個人の心・体の安全に関わるカテゴリー(「いじめのサイン」「対人ストレス」「自己肯定感」「生活習慣」「家族のささえ」「友だちのささえ」「先生のささえ」)について、スコアが一定以下の子どもを把握できます。

(活用例1)学級内の人間関係を促進
「友だちのささえ」や「対人ストレス」の項目で人数の多かったクラスにおいては、その結果を単なる現状把握に留めず、具体的な支援活動へとつなげています。朝の活動や帰りの学級活動の時間を利用して、意図的に隣席の生徒同士がコミュニケーションを図る活動を実施することで、日常的な生徒同士の関わりを増やし、人間関係の構築を促進させました。

(活用例2)家庭との連携を強化
「家族のささえ」が少ない傾向が見られたクラスでは、学校から家庭へのアプローチを強化しました。頻繁に学級通信を発行したり、個別の家庭連絡をこまめに行ったりすることで、生徒の家庭内での対話を促すきっかけを提供しています。学校と家庭が連携し、生徒を多角的に支える体制を強化しています。

(活用例3)早期発見・継続的な個別対応
「いじめのサイン」「対人ストレス」「友だちのささえ」の3項目すべてに該当する生徒に対しては、特に慎重な対応を行っています。当該生徒のクラスメイトとの関わり方を継続的に観察し、記録するとともに、個別に面談を実施しています。生徒本人の口から、周囲との関係で負担や困難を感じている部分がないかを丁寧に聞き取り、一人ひとりにあわせた早期のサポートにつなげています。

「チーム学校」体制を強化:レーダーチャートによるクラス特性の把握と共有

データの閲覧・共有体制は、紙媒体からCBTへの移行により、その利便性が大きく向上しました。この利点を生かしつつ、野市中学校では共有方法に工夫を加えています。その一つが、レーダーチャートの活用です。クラス全体の状況を視覚的に捉えるため、クラスごとのレーダーチャートを確認し、管理職間で共有しています。

【レーダーチャート】*画像のデータはすべてダミーです

【レーダーチャート】*画像のデータはすべてダミーです。
各カテゴリ-毎に全国平均等と比較して学級の強みや課題を掴むことができます。

レーダーチャートの「先生のささえ」「友だちのささえ」「対人ストレス」「いじめのサイン」などを確認する際、その情報は生徒への対応のみに留まりません。生徒の状況を把握することは、結果として、負担感を抱えた学級担任がいないかを確認するための重要な指標となっています。学級担任の心理的な負担を組織的に察知し、サポートする体制を整備することで、管理職を含めた学校・学年全体で取り組むことが可能になりました。

今後の取り組みとして、生徒のi-checkの分析をさらに深化させ、気になるサインが見られた生徒に対しては、速やかに専門職であるスクールカウンセラー(SC)との連携を図る計画を進めており、チーム学校としての支援の質を高めていきます。

■今後の展望:AI活用とシステムのさらなる深化に期待

野市中学校の春日先生は、i-checkのさらなる機能改善と、未来の教育実践に向けた期待を寄せています。

1.データ活用の深化

今後は、学力調査と質問調査のクロス集計分析を深めることで、学力の背景にある学習意欲の要因や、表面化していない潜在的な心理的リスクを持つ生徒(学力と生活態度にギャップがある生徒)を特定し、その要因に応じたきめ細やかな個別支援が可能になると考えています。

2.AIによる学級経営支援

将来的なAI分析による学級経営支援に期待を寄せており、特に経験の浅い若手教師にとって、AIからのデータに基づく客観的な助言は、学級運営や生徒指導を行う上で非常に有用なツールになると見込んでいます。

春日先生は、「i-checkを活用したシステムが、若い先生方の学級経営を支援し、具体的な成功事例や助言を提供してくれることを期待しています。」と締めくくりました。


※執筆者の所属や役職は執筆時のものです
(2025年12月時点)

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