中学校 EduTown SDGs 2年
茨城県茨城大学教育学部附属中学校
■茨城大学教育学部附属中学校 授業レポート1(2024年3月19日)
2024年3月19日に茨城大学教育学部附属中学校を訪問し、奥谷大樹 先生が担当する2年4組のグローバル市民科(「総合的な学習の時間」に相当)で東京書籍株式会社のWebサイト「EduTown SDGs」と「SDGsスタートブック」を活用した授業を参観させていただきました。
2年生は6月からSDGsスタートブックを使って地球の未来を考える学習をし、夏休みにSDGsスタートブックの「みんなで取り組むSDGs」のページにあるように、自分に身近なSDGsに取り組んだそうです。自分たちにできる取り組みをSDGsの第一歩として、そこから問題意識を考えてきています。
この日は「グローバル市民科 encore SDGsリスタート」と題して、今年度のグローバル市民科の学びをふりかえって、3年生になる来年度のグローバル市民科で探究したいことを考えていく授業でした。
授業の最初に奥谷先生は、生徒たちが自分で実践したSDGsの取り組みとその意義を紹介し合う時間をとりました。
生徒たちは自分で取り組んだSDGsについての実践報告書をロイロノート・スクールで作っていて、各自のテーマ、テーマを選んだ理由、取り組んだ内容と実践記録、成果と感想などが書かれています。また、自分の取り組みを6つの観点(クラス共通の4つの観点「影響力」「楽しい」「満足感」「手軽」+自分で決める2つの観点)で自己評価したレーダーチャートもついています。こうして自分で観点を決めて評価をしていることで、実践の意義を考えやすくなると思います。
この実践報告書を使って、生徒たち一人ひとりが自分自身の実践した取り組みを教室内を歩き回って紹介し合います。クラスの中で、誰がどのSDGsの目標に取り組んだかは共有されているので、生徒たちは自分が取り組んでいない目標に取り組んだ生徒の話を聴きに行っていました。他の人の取り組みを聴いたら、自分のワークシートに要点をメモしていきます。
各自の取り組みを紹介し合った後で、奥谷先生は「誰も実践していない目標もありますね。なぜだろう?」と質問します。生徒たちからは「抽象的過ぎる」「貧困とか働きがいとかって、実行できないし、身近でないと思った」「規模がでかい。人や国の不平等をなくそう、とか中学生の僕らに何ができるだろう、と思う」と声があがっていました。
奥谷先生は、「アクションにするのが難しそうなものもありますよね。では、クラス内で出ていなかった目標についての課題や問題点は、SDGsスタートブックを読んでメモしていきましょう」と言います。
SDGsスタートブックは、17あるSDGsの目標それぞれを解説する「目標解説編」と、さまざまな企業のSDGsへの取り組みがわかる「事例編」で構成されています。目標解説編にも事例編にもQRコードが設定されていて、QRコードを使うと「EduTown SDGs」のWebサイトでもっと詳しい解説や映像教材を見ることができます。
生徒たちはSDGsスタートブックを読みながら、クラスで誰も取り組んでいなかった目標についても理解を深めていきます。その間、奥谷先生は教室を回って、生徒たちに声をかけたり、問いかけをしたり、ディスカッションをしていきます。
SDGsスタートブックを読んでみて、改めていちばんの課題だと思うことを各グループで話し合う時間をとります。その後で、生徒たちはロイロノート・スクールに来年度のグローバル市民科で探究したいことを書き込んでいきます。
提出箱にはクラス全員分の、来年度のグローバル市民科で探究したいこととその理由が書かれたカードが並んでいます。茨城大学教育学部附属中学校では、グローバル市民科だけでなく他の教科でも、「多様な人の意見に触れてほしい」ということでこうして提出箱を共有しているそうです。他の人がどんなことを探究しようと思っているのかを、その人の言葉で読んで知り、興味があればその人のところへ行って話をすることもできるのは、学校で学ぶことの大きな意義だと思いました。
※執筆者の所属や役職は執筆時のものです