全校の2~6年で「コグトレオンライン」を活用。
自分の得意不得意が明らかになりメタ認知につながる
■大量印刷不要ですぐに取り組める
「がんばりノート」で成果を確認できる
2年生は情報端末で「コグトレオンライン」を行っていた。教員は全員にイヤホンを配布。これは学校予算で導入したものだ。
準備ができた児童から、トレーニング「記号さがし」や「最初とポン」などを開始。操作もスムーズだ。「記号さがし」は、指定された記号を探し、その数を数えるトレーニング。「最初とポン」は、読み上げられる2~3文の短い文章のそれぞれの最初の言葉を覚え、かつ指定された種類の単語(動物や果物など)が出てきたら「ポンボタン」を押すもので、「記憶力」「注意力」を鍛える内容だ。
3年生は、「どこに何があった?」「順位決定戦」「スタンプ」等から各自で選択して取り組んでいる。「どこに何があった?」は、マス目に配置された数字やひらがなの位置を10秒間で覚えて再現するもの。「順位決定戦」は、いくつかの表彰台の順位から全体の順位を考える内容。「スタンプ」は、スタンプを押したときの絵を想像して選択肢から解答するものだ。
「がんばりノート」を確認してモチベーションを高めている児童もいる。「がんばりノート」では、月ごとに「コグトレに取り組んだ回数」「花丸の数」等が分かり、前月の結果と比較することもできる。児童同士で花丸の数を競い合っている様子もみられる。
4年生の教室では「集中力アップ!」「きく力がつく!」「みる力がつく!」と板書されていた。コグトレオンラインのトレーニングによりどのような力がつくのかが分かるようにするためだ。児童は、目標タイムを決めて取り組んでいた。「形さがし」でレベル3に挑戦している児童は不正解だった問題について、やさしいレベルに戻って再度挑戦していた。
■トレーニングの継続で日常学習に好影響 北村好子教諭
コグトレオンライン導入の初年度は、今週の目当てを決めたり、星の数(レベル)を指定したりなど様々な取組が見られた。書くことが苦手な子にとって、オンラインによるトレーニングは気軽にゲーム感覚でできる点が紙と大きく異なると感じている。紙のみで取り組んでいる1年生も、次の年からオンラインで取り組めることを楽しみにしている。
1年間の成果を検証するためアンケート調査を行ったところ、週1回程度取り組んでいるクラスが最も多く、週3回取り組んだクラスもある。
トレーニングによる効果については「集中力が増した」「苦手な分野に挑戦する姿が見られるようになった」「トレーニングを繰り返すことで理解力が増したようで、以前よりも短時間で通常の課題を終えることができる」など成果を感じた教員が多い。採点が自動でできるので個人で取り組みやすい点もメリットだ。
取り組むタイミングとしては「モジュール」「朝学習」「総合的な学習の時間や特別活動」「テスト解答後」等。すき間時間に積極的に取り組み花丸を貯めている児童もいる。
通常学級の担任の負担については「ない34%」「あまりない64%」という結果で、「支援学級担当の杉田教諭が設定してくれたのでとても助かった」という声があった。
■支援学級
トレーニングを毎週自動で配信
支援学級には2人の児童が来室。担当の杉田亮教諭はその日の学習の流れを説明してから、1人に対してそろばんの学習を開始した。その間、もう1人の児童は情報端末に配信されている「今週のコグトレ」から「形さがし」を開始。
「今週のコグトレ」とは教員が取り組ませたいトレーニング分野と難易度を選び、毎週自動でトレーニングを配信できる機能だ。児童はさらにヘッドフォンを装着して「最初とポン」に、その後「さがし算」に取り組んで答え合わせをし、間違えた場合もどんどん次の問題に挑戦していた。
その後は2人そろってそろばん学習や教科プリントの宿題直し等に取り組み、すべての予定が終わった後のリラックスタイムでは、コグトレオンラインに各自のペースで取り組んでいた。
得意・苦手分野をメタ認知できる 杉田亮教諭(支援学級担当)
すきま時間に取り組んでいた
支援学級では、一方と1対1で関わっている際のもう1人の児童の待ち時間やすき間時間、リラックスタイムにコグトレオンラインに取り組んでいる。コグトレオンラインは自分が得意なところや苦手なところがはっきりわかり、メタ認知につながる点が良い。二重丸や花丸に魅力を感じて意欲がわく児童もいる。
「今週のコグトレ」では、それぞれの児童で鍛えたい力に関連するトレーニング内容を設定しておき、それが終わった児童は自由に好きなジャンルに取り組んで良いこととしている。
■印刷・配布・採点不要で担任の負担感が減った
植村京子校長
紙のコグトレに全学年で取り組んでいたときは、印刷や配布、採点のために多くの時間が必要で、教員の負担が大きすぎるのではないか、と感じることもあった。コグトレオンラインでは印刷・配布・採点が不要で、児童の成果も一覧で見ることができ、担任の負担が軽減できると考え、すぐに導入することとした。手間なく取り組めるため、すき間時間などに気軽に取り組みやすくなった。
支援学級の担当が中心となって工夫・改善して進めている。
成果を共有しながら今後も柔軟に取り組んでいきたい。
※執筆者の所属や役職は執筆時のものです