■アクティブラーニング室を設置 生徒のチャレンジを促す
中学校2年生は次年度、文部科学省全国学力・学習状況調査「英語・話すこと」等でCBT調査を受ける。また、東京都は2022年度より都内の公立中学校の3年生全員を対象に、情報端末を使って受ける中学校英語スピーキングテスト(ESAT―J)を開始。その結果を都立高校入試にも活用することから、授業冒頭、河内教諭はESAT―Jについて説明。ESAT―Jプレテストの問題と、その採点基準を生徒の情報端末に送った。本テストでは「Previewの動画内容を英語で要約し、相手に伝えることができる」ことを測定する。生徒は真剣に説明を聞き、問題を読んでいる。
■スピーキングテストの準備で動画要約に挑戦
授業はアクティブラーニング室で実施。要約した内容を1人1文ずつ担当してグループごとに発表
この日の授業では、ESAT―J等を想定して学習者用デジタル教科書で「Unit4 Preview」の動画を字幕付きで各自で視聴。その要約文を5文で作成することに挑戦した。
まず個人で要約文を作成し、その後グループで話し合って要約文を完成。1文ずつメンバーが担当して全体発表するという流れ。
生徒は各自の録音機能付きイヤホンを持っているが、この日はイヤホンなしで視聴。授業はアクティブラーニング室で行われた。昨年度、第二音楽室をリフォームした部屋で、大きな音声を出しても他教室への影響が少ない。移動できる椅子と勾玉型デスクで話し合いも行いやすそうだ。
要約文作成の際は、動画の内容をすべて英語で書き起こしてから重要だと思うところにラインを引いている生徒、日本語で考えてから英語にする生徒、最初から英語でまとめている生徒がいる。教科書の表現をそのまま使う生徒が多いが、意味を考えて別の表現を使っている生徒もいた。
どの生徒も、英語も日本語もタイピングが速い。生徒は前時、動画を各自で字幕なしで視聴し、動画がどのような内容かについて日本語でまとめており、その内容も共有できる。
■家庭で音読練習 録音して提出
動画の内容を5文で要約。個人で考えてからグループで話し合う
河内教諭は「動画を見て要約を作成することに初チャレンジした。次年度のESAT―Jまで1年余りある。その間繰り返し取り組み、バージョンアップしていきたい」と話す。同校は、評価システム「i―check」を導入しており、今回の授業では本調査分析結果を参考にしてグループ分けをし、グループ学習が円滑に進むように配慮している。
学習者用デジタル教科書については「導入当初は使い方がわからず、全員ログインするだけで時間がかかるなど様々な失敗もあったが、そこから得たものも多い。意識して授業の一部で使う、宿題で活用する等、活用範囲が広がっていった。現在は、単元が終わるたびに音読練習を各自で行い、録音して提出するようにしている。学習者用デジタル教科書は自分のペースで音読練習ができる点がメリット。さらに端末が1人1台あるため各自で録音できる。また、クラウド対応の授業支援ツールにより自宅から提出ができ、教員は生徒から届いた時点で確認できる。今後、動画を見て要約する活動を増やしていきたい」と語った。
■教員の6割がApple Teacherに認定
和田浩二校長
墨田区では昨年より既存の大型提示装置の再整備(更新)が始まり、本校では「モニター型電子黒板」を選択した。75インチあるので黒板とほぼ同じ高さで見やすく、迫力がある。
2021年度から東京都の情報教育研究校に指定されており、1人1台時代の創造的な学びをテーマに取り組んでいる。アクティブラーニング室も同年度に設置。教員も生徒もそこに行くのが楽しみになるように、柔らかな色彩の壁やカーペットに可動式の勾玉型デスク、椅子、ミニホワイトボードと75インチの電子黒板を設置。窓からはスカイツリーも見える。ライブ配信やテレビ会議もできるように教室後方は全面ホワイトボードで、クロマキーや高品質スピーカーも設置した。もともと第二音楽室として部活動中心に使っていたことからグランドピアノもある。
タイピングコンテストも年3回、学校独自で始めた。初年度は自由に行い、今年度はホームポジションを意識して取り組んでいる。多くの生徒が授業に支障なくタイピングできる。
教員も生徒もiPadが配備されていることから、夏休み中、教員はApple Teacher認定に挑戦。現在、管理職含め6割以上の教員が認定済だ。
学習者用デジタル教科書は、紙の教材を見直すなど学校予算を調整して2020年度から導入。今年度は教育アプリやデジタルドリルも学校予算や各種助成金等で導入した。iPadで使える教育アプリ活用のため1教員1アプリを担当して活用を支援している。
※執筆者の所属や役職は執筆時のものです