様々な考え方を発表し合ってから振り返りでタブレットドリルに取り組んだ
■正解するまで何度も挑戦
同校では教科担任制を導入しており、今井指導教諭は6年生の算数を担当している。この日の授業は、グラフの読み取りだ。1分で280メートル進む兄と200メートル進むゆいさんのグラフを比較し、どちらが速いか、なぜそう考えたのかを説明し合った。グラフを見て1分単位で比較した児童、5分単位で比較した児童、1000メートル進むのにそれぞれ何分かかっているのかで比較した児童がいる。
振り返りでは、タブレットドリルを活用。児童は授業前にGoogleWorkspaceにログイン済で、今井指導教諭が配信済のタブレットドリルのリンクからすぐにログインして該当の問題を解き始めた。一度解いて正解に至らなかった児童は他の児童にやり方を聞き、再度挑戦して正解していた。わからないことは友達に聞き、説明し合うことに慣れている様子だ。
問題を解き終わるとすぐに結果がわかる
管理ツールで正答率の高い問題がわかる
■休み時間や自宅でも積極的に取り組む
同校の6年生は週末、端末を持ち帰ってドリルを使った一週間の振り返りに取り組んでいる。
今井指導教諭は「該当する問題のリンクを児童に配布している。必要な問題を印刷不要で配信できるので、9月の休校の際もポスティング不要で問題を届けることができた。タブレットドリルは教科書の内容とリンクしているので様々な教科で使いやすく、通常授業では、朝学習や、授業の導入や振り返りに活用している」と話す。
朝学習では、児童は自分で選んで問題に取り組んでいるという。算数のほか、社会や理科、漢字練習などでの活用が多いようだ。
休み時間や自宅でも自由に活用できるため、テスト前に積極的に取り組んでいる児童もいる。
「問題をこなすほどメダルがたまるので、それを楽しみにしている児童は当初、メダル目当てで取り組んでいた。ところが平均点が教員にも見えることを伝えると、その後は真剣に問題に取り組むようになり、点数の伸びを嬉しそうに報告するようになった。見られている、ということも児童にとって励みになるようだ」と語った。
■夏休みの宿題もタブレットドリルで
管理ツール「タブレットマネージャー」については「誰がどの程度進んでいるのか、どこが間違っているのか、何回取り組んで正解したのかがわかるので、心配な児童の個別指導や、次の時間の授業づくりに活かすことができる」という。
今年の夏休みは、初めて、従来の紙の夏休み用ドリルを購入せず、タブレットドリルを活用した。
当初は不安もあったが、タブレットマネージャーを確認すれば、どの子がどこまで終わったのかがわかる。マル付けも不要で、夏休み明けの課題の確認が不要になった。
「保護者はどう考えるのか、紙のほうが良いのではないか等様々な不安もあったが、保護者は既に、塾などで、タブレット上でドリルに取り組むことに慣れていたようで、不満の声は届かなかった。児童も、自分の取り組んだ結果がすぐにわかり達成感があったようで、管理ツールからそれぞれの子供の頑張りがわかった。挑戦して良かったと感じている」と話した。
■1人1台情報端末の良さを活かす
前田賢一校長
同校では2月からタブレットドリルを試験的に活用し、4月から学校予算で導入している。導入の理由を前田校長に聞いた。
…・…・…
GIGAスクール構想による情報端末が配備され、その良さを活かすための教材が必要であると考えて導入した。
いつオンライン学習が必要になっても対応できる点も重視。タブレットドリルは自宅にインターネット環境がない家庭や、家庭からインターネットに接続したくない場合もオフラインで活用でき、学校に来てインターネットに接続すると同期して記録が残る(編集部注・WindowsOSの場合、タブレットドリルは各自の端末にインストールが可能)。
端末上でドリルに取り組むことで、子供のモチベーションが上がる。さらに、図表などの問題も見やすく、すぐに答え合わせができ、やり直しもできる。自ら進んで取り組む児童が増えた。
教員にとっては、記録が残り、そのデータを授業づくりに活用でき、印刷不要で配布できる。また、ICTに不慣れな教員が活用イメージを持ちやすい点もメリットだ。
※執筆者の所属や役職は執筆時のものです