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 校庭のあちこちで,保護者と児童がスマホ等を笑顔でのぞきこんでいる。校庭に設置された複数の手作り看板にタブレット端末やスマホ等をかざすと,写真や解説文がスマホ等に表示された。学習の成果として児童がまとめたものだ。児童は表示画面を見せながら,それぞれの内容を説明する――横浜市立南本宿小学校(石川英雄校長・神奈川県)5年2組の児童は,総合的な学習の時間「かがやき」2年間の成果を,スマホやタブレット端末を使った「スタンプラリー」として企画。テーマは「未来へつなげ!南本小に残るふるさとの自然」だ。

■学習支援室を開設 日常を取り戻す場に

図書館には,石川校長や地域の自治会長,保護者などが集まっている。ARアプリ「マチアルキ」(東京書籍)の使い方とスタンプラリーの回り方について児童が説明した後,校庭などに案内。ARアプリを使ったスタンプラリーが始まった。

スマホが看板を認識すると児童が制作したコンテンツが現れた

スマホが看板を認識すると児童が制作したコンテンツが現れた

「マチアルキ」はAR(拡張現実)を使った発信・発表活動ができるアプリだ。

デジタルカメラやタブレット端末等で撮影した動画・静止画やプレゼンテーションを,任意の場所にスマートフォンやタブレット端末をかざすことで起動,視聴できるというもの。企画・取材・制作・発表という一連の活動で活用でき,スタンプラリーなど各種機能もある。

参加者は,児童が制作した看板にスマホ等をかざし,それぞれの場所で解説コンテンツを視聴。

児童に案内されながらスマホを片手に校庭の様々な場所でスタンプラリーをする保護者

児童に案内されながらスマホを片手に校庭の
様々な場所でスタンプラリーをする保護者

内容は「ビオトープ」「植物」「鳥」「昆虫」「水の章」など11テーマ13種類だ。「鳥」は,校庭に設置したバードテーブルに訪れる野鳥について,「昆虫」は,同校の校庭で見られる昆虫についての説明。児童自ら制作にかかわった,校庭の「ビオトープ」や,チョウの飛び交う学校を目指して行った「葉ボタンガーデン」,校内水族館づくりなど4年時の取組も紹介。13種類のスタンプをコンプリートすると,クラス全員の写真が現れた。

保護者は「昨日,娘から,野草の『スベリヒユ』についてまとめたから見てね,と言われており,楽しみにしてきた」「2年間の取組を見ることができた。顔つきにも身体の大きさにも変化が見られ,心身ともに成長している様子がわかった」と話す。

児童は「とっても大変だったけど達成感がある」と語った。「PC上で編集したものが意図通りにタブレットで表示されない」「データが消失した」など様々なトラブルを乗り越えて完成したという。

看板にスマホやタブレットをかざして読み込み,児童が制作した説明を視聴

看板にスマホやタブレットをかざして読み込み,児童が制作した説明を視聴

スタンプラリーを制覇すると,クラス写真が現れるようにした

スタンプラリーを制覇すると,クラス写真が現れるようにした

■情報収集は情報端末制作はPC室で行う

子供たちは5年時に「かがやき」の時間のテーマを話し合った際,「4年の取組をもっと周知したい」と意見が一致した。4年時には学校創立40周年を迎えたこともあり,南本宿小学校の豊かな自然などの「良さ」を周囲に知らせる取組に着手しており,「かがやき」の時間で取り組んでいる。当時の取組は改めて校庭や周囲の自然環境を見直すきっかけになり,様々な活動に発展したという。

発表データの編集作業はPC室のPCを使い,写真上に吹き出しをつけて説明を加えていった。情報端末(iPad)は情報収集や写真撮影,発表データのプレビューや動作確認などで活用した。

新年度入学予定の保育園児向けに「動画」による説明も追加。園児は「動画」を熱心に視聴していたという。

■学校を深く知ることで子供の居場所をつくる

授業者の朝倉慶顕主幹教諭は「この日は児童主体で活動が進むことを目指した。活発に話し合い,協力して課題を乗り越えることができた」と語る。

横浜市では全校に教育用情報端末(iPad)を11台,画像転送装置を6台整備している。同校では日本財団の助成金などで,さらに情報端末6台を追加で用意。

学習成果のまとめにARアプリを活用したことについては,「昨年度,児童はリーフレット作りで学びの成果をまとめたが,もっと詳しく紹介したいという思いを持っていた。そこにタブレット端末やデジタルを活かせないかと考えていたところ,横浜市小学校情報・視聴覚教育研究会のメンバーからARアプリ『マチアルキ』を紹介された」という。「ARアプリと情報端末は,児童の主体性や協働を加速する組み合わせ。情報端末の活用度が明らかに増え,有用性が増した。今年度は5年生を中心に活用したが,3年生くらいから取り組めそうだ」

児童の成長について,「この取組を始めてから2年間で大きく成長した。児童は活動を通じて情報収集の重要性を理解,共に地域や学校をより深く知り,それを発信することのやりがいや楽しさを感じており,愛着のある居場所としての学校づくりにつながっている。自己肯定感も高まっているようだ」と話した。

【掲載 2018/05/07付 教育家庭新聞】
※執筆者の所属や役職は執筆時のものです

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