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ICT サポート情報 指導者用デジタル教科書×学習者用端末
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 20年前からPC室を設置,中学校初となるHPを立ち上げ,メールを活用したコミュニケーション教育にいち早く取り組むなど情報教育に注力している千葉大学附属中学校(丸山研一校長)。県内初の1人1台学習者用情報端末(Windows)導入校としてその活用を3年間検証しており,今年度で一段落する。検証結果を踏まえ,現在,次年度以降の整備内容について検討中だ。中学校2年社会の授業では,指導者用デジタル教科書「新しい社会『歴史』」(東京書籍)と学習者用情報端末を活用していた。授業者は椎名和宏教諭。

■地図の紀年変化を比較 話題づくりで疑問喚起

「水路の形が違う」,「湖が消えた」,「田畑が増えている」——生徒は,情報端末に配布された1600年代前半と後半の千葉県の地図の変化を比べ,新田の開発が進んでいることに気付いていった。

この日は「江戸時代の百姓の生活の様子」から,産業の発達と幕府政治について考えた。授業が行われている社会科教室にはプロジェクターが常設されており,大型掛図もある。

百姓一揆の数を20年ごとに提示,1780年と1840年の増え方に驚く

百姓一揆の数を20年ごとに提示,1780年と1840年の増え方に驚く

ではなぜ,江戸時代に新田開発が進んだのか。「戦国時代が終わり,人口が増えた」,「技術が進んだ」などの意見が出ると,椎名教諭はデジタル教科書の絵図「農具の進歩」を拡大して提示。センバコキやコキバシなど,様々な道具が使われている。それらの実物写真も提示してそれぞれの道具の役割について説明を加え,利根川の流れを変えるなど,幕府が開発に力を入れていたこと,近畿地方の技術が広がったことなどを説明した。

では,技術の進歩が生活に与えた影響は何か。

デジタル教科書の「近世の交通と特産物」の図も示しながら,農作業以外のこともできるようになり,それにより綿や綿織物など様々な特産物が生まれ,商売が成立するようになったことを気づかせていく。

ここまでのまとめとして,椎名教諭は「農業の進歩」についての教科書の記述内容と,農作業の絵図を提示。教科書の説明内容を確認した。これは,デジタル教科書の機能「MY教科書エディタ」で編集したもの。付箋機能でキーワードが一部,隠されている。

1600年代前半と後半の地図の変化から江戸幕府の政策を理解する

1600年代前半と後半の地図の変化から江戸幕府の政策を理解する

次に「百姓一揆の数」の推移の表を提示。これを20年ごとに示すと,1780年と1840年の一揆の数の増え方に,生徒は「おぉ!」「すごい」と驚く。これにより百姓一揆がなぜ増えたのかについて興味を持たせ,これまでの学習内容を踏まえて考えワークシートにまとめていった。

■臨場感あふれる近代史の実写動画

椎名教諭はデジタル教科書の活用について,「年表や地図,絵などの資料を拡大提示して活用することが多い」と話す。「グラフの推移などを少しずつ提示して,生徒の反応を見ながらコミュニケーションを取っている。デジタル地図とも連携して授業を組み立てている」

MY教科書エディタについては「教科書では1つの事象について,記述が分かれている場合がある。それを編集・まとめて提示している」

事前の教材研究では「どこにどんなボタンがあり,どんなふうに絵や図が動くのかを事前に確認しておく」と語った。

江戸時代までは地図や年表,絵図などの資料拡大という活用が多いが,これから始まる近代史については「動画が使いやすい。第一次世界大戦の貴重な実写映像などがデジタル教科書に掲載されており,臨場感あふれる画面で興味関心をぐっと持たせることができる。また,帝国主義時代と大航海時代の地図や第一次世界大戦前後の地図を比較提示して考えることができるので,課題づくりや理解を深めることに役に立つ。機器が教科教室に常設されていることも活用しやすい理由の1つ」と述べた。

■学習者用端末を3年間検証

三宅健次 副校長

三宅健次 副校長

三宅副校長は学習者用端末について「学校指定の情報端末(保護者負担・5万円)を3年間検証してきた。これを踏まえて次年度の整備をどうするか検討している」と語る。1人1台を継続するのか,あるいは異なる整備とするのか。

「例えば学年40台の整備とすれば,グループ活用やクラス単位の1人1台活用ができる。効果的な授業展開ができる。一方で,完全1人1台環境のメリットは持ち帰り学習や反転学習ができること。堅牢な端末を5万円の範囲内で選択できるか否か,より円滑な運用方法など,様々な面から考えていきたい」

2月10日にはICT授業研究会で教育効果と学習者用端末の成果が公開される。

【掲載 2017/01/01付 教育家庭新聞】
※執筆者の所属や役職は執筆時のものです

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