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YouTubeでこっそり解説!「教科書のトリセツ」

右:ナビゲーターの草原先生、左:動画撮影にご協力いただいている研究員の宇ノ木啓太様(博士課程後期大学院生・元公立中学校教員)

2026.04.10

YouTubeでこっそり解説!「教科書のトリセツ」

東京書籍では、2025年12月5日より、「新編 新しい社会 地理『こっそり教える 教科書のトリセツ』」をYouTubeにて、月2回ペースで配信しています。
この動画では、本教科書の編集委員である広島大学教授の草原和博先生がナビゲーターを務め、教科書の活用法や教材の狙いなどを約5分間に凝縮して解説。番組タイトル名にもあるように「こっそり」伝えることをコンセプトに、授業準備に課題を抱える先生方に寄り添いたいという思いから本企画はスタートしました。
この番組を企画制作した社会編集部の大竹裕さんに、「こっそり」に込めた意味や番組への思いについて詳しく聞きました。

番組の詳細はこちら

――まずは番組の内容について教えてください。

文字通り教科書の内容を解説する番組ではありますが、「教科書を使って単元ベースの授業を展開するヒントを解説する」ことに主眼を置いた番組です。中学校地理の教科書には多くの写真や図版が掲載されていて、一つひとつに深い意図が込められています。ただ、紙の教科書の紙面だけではその全てを伝えきれません。編集委員である草原和博先生が「この資料にはこんな見方もあります」「このような問いかけをすると、もっと単元を意識した授業になりますよ」といった実践的なヒントを1本5分程度の動画に凝縮してお届けしています。

――なぜこうした番組を始められたのでしょうか?

日々の授業改善に取り組む先生方の不安を解消したいと考えたからです。教育現場では「主体的・対話的で深い学び」の実現のために、授業に対話的な活動を取り入れるなどして、先生方は日々奮闘されています。しかし、そのような活動を取り入れると限られた授業時間の中で「教科書の資料をどう扱えばいいのか」と悩む場面も出てきます。また、先生方は日々お忙しくされており、教材研究に充てる時間を十分に確保できないという声もよくお聞きします。そのような不安を抱える先生方に寄り添いたかったんです。

――現場の今の声に応えたのですね。

そうですね。ただし、このトリセツが教え方の押しつけにならないように、「こっそり」お届けすることを番組のコンセプトとしています。紙の教科書や教師用指導書だけでは十分に伝えきれない教科書活用のコツを、いつでもこっそり引き出せるツールとして活用していただければと思っています。

番組の魅力を話してくれた大竹さん

実はこの企画は、コロナ禍以降、教科書の意図を直接お伝えする機会が減少する中、昨年3月に草原先生からYouTubeでの動画配信のご提案をいただいたものなんですよ。

――執筆者からの提案だったのですね。

草原先生は、以前から動画による発信に積極的に取り組まれていました。先生から提案を受けたときは「YouTubeの配信なんて私にできるのだろうか・・・」と不安もありましたが、「草原先生の熱意と、現場で悩む先生方のために一歩踏み出そう」という決意のもと、中国支社の社員をはじめ、あらゆる部署の方のご協力を得てこのプロジェクトが始動しました。私にとって動画の編集は初めてのことでしたので、社内の詳しい方に伝授してもらいました。

――なるほど。

YouTubeには数え切れないほどのコンテンツがあふれ、教育系の動画もたくさんあります。その中で「トリセツ」は、主に中学校の社会科の先生方を対象に短い時間で視聴できる点が特長です。また、あえて作り込みすぎない動画の素朴さも魅力の一つだと考えています。派手さはありませんが、先生方の間に静かに広がり、長く親しまれる番組になることを目指しています。

撮影現場である研究室では、中国支社の社員とも協力しながら番組を作っています。

――草原先生はどのような方ですか?

社会科教育への情熱に燃えている先生ですね。編集委員会においても中心的な存在で、非常に真面目でありつつもユーモアのある斬新なアイデアを提案されるような、とても魅力的な方です。

――草原先生との最近のエピソードがあれば教えてください。

撮影現場で草原先生の緊張をどうにかほぐそうと、私が「カメラの向こうに中学生がいるイメージでお願いします!」とお伝えしたところ、草原先生に「これをご覧になるのは先生方ですよね?」と真顔で返されてしまい、逆効果だったと焦ったこともありましたが(笑)、そんな実直さも動画から感じ取れるのではないでしょうか。

――(笑)。この番組の制作を通して、何か新しい発見はありましたか?

第2回の「南アメリカ州」回で、草原先生が「この単元は緑色と茶色の写真が基調になっています」と解説されたのですが、これは「緑は環境の保全、茶色は開発の痕跡を表すと考えられる」とのこと。長年地理を担当してきた私でも「そのような意図が隠されていたのか」と驚きました。先生ご自身も動画制作の過程で気づかれたそうです。私たちに気づきがあったように、動画を見てくださる先生方にもきっと新しい発見があると思います。

――この番組を通じて全国の先生たちに一番伝えたいことを教えてください。

教科書に込められた意図や思いといった潜在的価値を伝えたいですね。動画の最後で草原先生が「『トリセツ』をもとに創意工夫し、先生オリジナルの授業を創りあげてくださいね」と呼びかけているように、私たちはこの番組で画一的な教え方を広めたいわけではありません。先生方の「自分ならこう教えよう!」というオリジナル授業を創りあげるヒントになることを願っています。「トリセツ」をご覧になった先生の授業で、子どもたちの生き生きとした探究心が生まれ、一人ひとりの深い学びにつながっていくとしたら、これ以上うれしいことはないですね。

――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします!

「トリセツ」は、短い時間でいつでも手軽にご視聴いただけるYouTube番組です。紙の教科書や教師用指導書では伝えきれない問いのアイデアをたくさん紹介していますので、明日の授業に生かせる新しいヒントを見つけていただけるはずです。ぜひご視聴ください!

ナビゲーターの草原先生と動画撮影にご協力いただいている宇ノ木様からメッセージをいただきました!

(写真中央)草原先生(写真左)宇ノ木様

草原先生より

これまで編集委員として長年教科書制作に携わってきましたが、「どうやったら教科書を使う先生方に資料の狙いや意図、使い方が伝わるだろうか」という思いをずっと抱えていました。そこで、今の時代に合った形で発信したいと考え、YouTubeでの動画配信を編集部に提案しました。特にこだわったのは「5分程度」という、長すぎず短すぎない時間です。視聴された先生方からは「導入の切り口が良い」「発展的な問いが面白い」といった声をいただいています。このように番組の受け止めは先生方によってさまざまで、お一人お一人の授業に合わせて活用されていることを実感しています。この番組が、先生方の授業づくりのヒントになれば大変うれしく思います。

宇ノ木様より

動画の編集者、社会科教育の研究者、そして一視聴者という三つの立場でこの番組に関わっています。動画編集者としては、視聴者の先生方の印象に残るような字幕の言葉選びを意識しています。研究者としては、これからの社会科で重要となる「単元をどうデザインするか」という視点から、授業づくりにつながるヒントを、動画を通じて分かりやすく提供できていると考えています。また、視聴者としての立場からも、「5分」という尺は内容を集中して把握するのに最適な長さだと感じています。