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(左)ユニバーサル ミュージック合同株式会社の寺嶋真悟さん(右)東京書籍株式会社 英語編集部中学英語の編集長の城戸彩子さん
2026.07.01
2026年4月、東京書籍とユニバーサル ミュージックが英語教育分野での新たな協業をスタートさせました。東京書籍の中学校英語教科書『NEW HORIZON』とユニバーサル ミュージックの英語教育プロジェクト「English Lab.」 が連携し、洋楽曲を活用した学習教材を学校の先生向けに無料で提供しています。 今回は、本プロジェクトに携わるユニバーサル ミュージックの寺嶋真悟さんと、東京書籍 英語編集部中学英語の編集長 城戸彩子さんにインタビューを実施。「洋楽と英語のすばらしさや楽しさを届けたい」「楽曲の背景にある文化や歴史にも触れてほしい」——お二人の言葉からは、単なる教材提供にとどまらない、子どもたちに向けた想いがあふれていました。
「UM English Lab.」の詳細はこちら
寺嶋さん(以下、寺嶋):弊社の教育プロジェクト「English Lab.」において、東京書籍様の中学校英語教科書『NEW HORIZON』と連携した無料の連携副教材を作成しました。 『NEW HORIZON』に掲載されている洋楽曲のうち、弊社管理の楽曲について、楽曲の背景や歌詞理解をさらに深められるような内容になっています。東京書籍様の英語教育情報サイト「NEW HORIZON 英語の広場」からもアクセスできるようリンクが貼られています。
寺嶋:「UM English Lab.」は、弊社で展開している英語教育プロジェクトです。本プロジェクトでは「洋楽で教育を、おもしろくする」のテーマのもと、楽しく英語を学べる教材の提供や出前授業を行っています。今回の教材は、先生の授業準備の負担を減らしながら、子どもたちが楽しく学習できることが大きな特徴です。そのまま活用できるPowerPointやWord形式の歌詞カード・解説がパッケージで提供されているほか、カタカナを見るだけでネイティブのような英語の発音が可能になる「Nipponglish(ニッポングリッシュ)」の音訳歌詞を採用。これにより、生徒は音楽を通じて英語のリズムや自然な表現を無理なく習得できる構成となっています。
城戸さん(以下、城戸):小中高等学校の授業では、英語の歌を授業の冒頭で、児童・生徒の動機付けとして取り入れる先生が多くいらっしゃいます。本教材は、そうした授業の冒頭部分でも手軽に活用できると思います。また、教科書掲載曲を題材として、探求的な学習を行うこともできるようになっています。
教科書に掲載された楽曲を題材とした、英語と探究の教材スライド(PowerPoint形式)
生徒用ワークシート(Word形式)
ネイティブライクな発音習得をサポートする「音訳」(Word形式)
城戸:楽曲の世界へ子どもを引き込むための効果的な問いかけが用意されています。先生方にとっては、授業での「新しい教材の選択肢」が増えるというメリットがあります。子どもたちにとっても、ワークシートとして「紙で手元に残る」ことで楽曲への愛着が湧き、いつでも見返して歌える良さがあります。
寺嶋:私が教材を活用して出前授業を行った際、最初は英語の発音に自信が持てない様子で洋楽を歌う声が小さかった生徒たちがいました。でも「Nipponglish」の表記を使うことで発音がスムーズになり、次第に自信を持って楽しそうに歌う姿が見られたことがありました。このような「洋楽が歌えた!」という成功体験こそが、英語を楽しく学べることにつながっていくのだと思います。
寺嶋:実は、根底には私たち音楽業界が抱く「若者の洋楽離れへの危機感」がありました。コロナ禍で海外アーティストが来日できなくなったことや、ネットのアルゴリズムの進化によって自分の好きなジャンルに近い音楽ばかりが流れる環境になり、新しい音楽との「偶然の出会い」が減ってしまったんです。
寺嶋:どうすればもっと多くの人に洋楽を聴いてもらえるか模索していたとき、最近の洋楽曲を授業に取り入れている、ある元高校教師の方の取り組みを知りました。その方へコンタクトを取って話をする中で、学校の教室こそが新しい音楽と出会う場になる可能性に気づいたんです。そこから教材化を進め、2025年3月に提供を開始。次に、この教材をどう広げていけばよいのかを模索していたとき、私が学生時代から知っていて馴染みのあった『NEW HORIZON』を発行している東京書籍様にお声がけをさせていただこうと思ったんです。
城戸:私たちとしても今回の協業は非常に画期的でしたし、お話があった時は率直にうれしかったです。というのも、教科書には紙面スペースの制限があり、楽曲を掲載しても背景などの詳しい情報は扱いきれなかったという事情があったからです。本教材によって、洋楽を通じて英語学習に楽しく取り組んでもらいたいという長年の想いが、一つの理想的な形になって叶ったと感じています。
城戸:そうですね。まさに「子どもたちに洋楽と英語のすばらしさや楽しさを届けたい」という方向性が一致したのだと思います。洋楽を教材化する技術や視点も大変参考になりましたし、普段なかなか関わることのできない異業種の方々とのコラボレーションで、編集部一同ワクワクしながら取り組んでいます。
寺嶋:洋楽には、英語の勉強だけではなく、その楽曲が生まれた国の「社会・文化的背景」もあわせて学び、興味を広げられること良さがあります。例えば、出前授業でボブ・マーリーの楽曲を扱った際、彼の故郷であるジャマイカの歴史や内戦といった社会情勢も伝えたら、生徒がとても興味を持ってくれて。
寺嶋:ボブ・マーリーが白人の父と黒人の母の間に生まれ、子どもの頃にはいじめを受けながらも大人になって音楽で国民的英雄になったこと。そして内戦に巻き込まれて銃撃され、一度はイギリスへ亡命したものの「果たしてそれでよいのか」と悩んだ末に、母国に戻り、平和を願う何十万人もが集まる「ワン・ラブ・ピース・コンサート」を開いたこと。このコンサートでボブ・マーリーは、コンサートに来ていた対立する二つの政党の党首をステージに上げさせ、手を結ばせたんですよ!
寺嶋:このように、ただ楽曲を聴くだけではなく、その背景までも知ることで、生徒たちは単なるメロディとしてではなく、アーティストが曲に込めたメッセージや価値観の違いなども理解してくれるんです。そうすると生徒はより洋楽に、そして英語に興味を持ってくれると思うんです。
城戸:そのほかにも、たとえばテイラー・スウィフトの「You Need To Calm Down」を聴いて同じ気持ちで悩んでいる子が励まされたといったこともありますよね。何が響くかは人それぞれですが、それが何であってもいい。もっと単純に、「海外ってかっこいいな」と興味を持ってくれるだけでもよいかもしれません。洋楽による英語学習を通して、子どもたちの感性に響く何かや新たな興味を持つきっかけとなる体験を届けられたらうれしいなと思っています。
寺嶋:本当にその通りですね。今はAIで自動翻訳ができてしまう時代ですが、英語を学び、言語の周りにあるカルチャーを通してその背景まで理解し、リスペクトすることの大切さは変わりません。英語学習における洋楽が一つの入り口になって、子どもたちの世界が広がってくれたらうれしいですね。
寺嶋:まずは「UM English Lab.」の中の歌詞カード1枚からでも気軽に使ってみていただきたいです。先生方の授業準備の負担を少しでも減らしつつ、生徒に洋楽という新たな視点を伝えていただくことで、英語をもっと好きになる子どもが増えてくれることを願っています
城戸:『NEW HORIZON』は常に新しい挑戦をしていきます。今回の協業も、先生方や子どもたちに新しい体験を届けるための挑戦です。この教材で学ぶことが「英語って楽しい!」「かっこいい!」と感じるきっかけになってくれたらうれしいです。
教材の紹介やダウンロードはこちら
●「NEW HORIZON 英語の広場」
●「UM English Lab.」