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総合的な学習や探究学習で大活躍! 「SDGsスタートブック」のご紹介

2025.11.18

総合的な学習や探究学習で大活躍! 「SDGsスタートブック」のご紹介

東京書籍が発行している「SDGsスタートブック」は、小学生から高校生までを対象とした、SDGsについていちから学べる無料の学習冊子です。全国よりお申し込みいただいた学校の児童生徒一人ひとりにお届けしています。SDGs17の目標解説とそれらの目標達成に向けた身近な企業の取組事例が数多く掲載されているので、「総合的な学習[探究]の時間」における課題設定や調べ学習をする際の「プレ探究教材」としてもうってつけです。2020年度版から発行が始まり、毎年約2,000校にご採用いただいているSDGsスタートブック。制作を担当しているDX事業創出本部の沖田昂平さんに、その内容や活用方法、制作者としての思いなどを聞きました。
SDGsスタートブックのお申し込みはこちら

どのようなきっかけでSDGsスタートブックは制作されたのでしょうか。

SDGsが始まった2015年当初は、その言葉だけが一人歩きをしてしまい、その内容や意義が世の中に正しく理解されていない状況でした。そうした背景の中で、学校現場からも、環境や防災、まちづくり、福祉、国際理解といった、総合的な学習[探究]の時間でも多く扱われるテーマを内包するSDGsについて、子どもでもわかりやすく学べる教材を求める声が高まってきていました。そこで、SDGsについて解説映像やさまざまな切り口の学習コンテンツで学べるウェブサイト「EduTown SDGs」を、企業の協力を得て制作するプロジェクトが立ち上がりました。その後、「SDGsを通じて、子どもたち一人ひとりと社会をダイレクトにつなぐ架け橋となりたい」という思いから、ウェブサイトの”縮刷版”という位置づけで、全国の児童生徒一人ひとりに確実に届けられる冊子での提供を開始しました。今では積水化学工業株式会社様や味の素株式会社様など、合計11社の企業にアライアンス企業としてご協賛いただいています。

この冊子はどのように使われていますか?

主に「総合的な学習[探究]の時間」における授業の導入部分や、児童生徒が課題を設定する際の参考資料としてご活用いただいています。特に、巻末に掲載しているワークシートを活用していただくことで、子どもたち一人ひとりがいま起きている社会課題を「自分事化」しやすくなります。
例えば、p.52の「あなたのCO₂排出量はどれくらい?」では、自分が1年間に排出している二酸化炭素の量を計算できるようになっており、自分の生活を起点として、地球規模の社会課題と自分の関係性を考えることができるように工夫されています。ちなみに日本人の年間平均排出量は約7トンなのですが、びっくりしませんか?

それは驚きです! たしかにワークシートがあると授業をしやすいですよね。

SDGsスタートブックのアンケートでも、「世界で起こっている問題や社会課題に向き合わせたり、ゼロベースで子どもたちに話し合わせたりするのはハードルが高い」といった声を多数お寄せいただいています。なので、こうした課題に対応していけるよう、毎年少しずつではありますが、ワークシートの中身や数は改善しています。
例えば、p.56のワークシート「グループで話し合ってみよう!」では、SDGsへの関心を掘り下げたり、発表したり、他者の意見を聞いたりする活動を通じて、児童生徒が課題を発見するプロセスをサポートしています。
ほかにも社会課題と自分との接点を見つけるためのページを多数収録していますので、ぜひ一度試していただきたいですね。

そのほかにどのような活用ができますか?

ウェブサイト「EduTown SDGs」と組み合わせることでより学びを広げ、深めることができます。各目標の解説ページや企業の取組事例ページに掲載されている二次元コードを読み取ることで、動画コンテンツや冊子よりも詳細な解説記事で学ぶことができます。また、東京書籍が発行する小・中学校の指導者用デジタル教科書には、ウェブサイトにリンクしている「EduTownボタン」が付いています。このボタンは、各教科の学習内容と関連するウェブサイトの内容をつなげる役割を持っています。例えば、小学校社会科5年下巻の「さまざまな森林の働き」の単元に付いているボタンを押すと、住友林業株式会社様の「森林保全」の取組を紹介する解説記事が表示されます。記事では、住友林業で働く方々がさまざまな役割を果たす森林の働きを守るために、日本の森林が抱える問題の解決に向けてどのような取り組みを行っているかを紹介しています。こうした実社会の具体的な事例を授業の中で提示することで、教科で学んだことが自分たちの生活とどのようにつながっているのか、また、社会に出たときにどのように役立つのかが可視化され、子どもたちの学ぶ意義や意欲を引き出すことにつながります。

ご使用いただいている学校からはどのような声が届いていますか?

先ほどお伝えしたように、「社会課題を自分事として捉えられるようになる」という部分でたいへんご評価いただいています。SDGsで取り上げられる事例の多くは、地球規模や遠い国の話として捉えられがちで、児童生徒が自分事として課題をキャッチしにくかったりします。そこで、子どもたちが普段の生活で目にしている商品や、名前を聞いたことのある企業の活動の身近な事例を紹介することで、社会課題がグッと自分事となり、そこからSDGsについて改めて考えるきっかけができると感想をいただくことも多いですね。

具体的な例を教えていただけますか?

例えば、株式会社ファーストリテイリング様の事例では、全国のユニクロ・ジーユーの店舗で「まだ着られる服」を回収するボックスを設置していることや、服の素材をリサイクルするための取り組みを紹介しています。これらの店舗は子どもたちの生活圏内にある身近な場所であるため、「見たことがある!」という反応が得られやすく、自分たちでも取り組める社会課題解決のためのアクションとして効果的であるという評価をいただいています。

最後に、担当者イチオシページやおすすめ箇所はありますか?

今年度版から新たに設けたp.62の「もっと知りたい! SDGs 企業による学習プログラムの紹介コーナー」はイチオシです。というのも、このページは私が企画したということもあるのですが(笑)、担当になった2年前に、協賛企業各社が独自に制作しているSDGs学習につながる体験活動や学習コンテンツが学校現場になかなか知られていない、届いていないという実情を知り、非常にもったいないと感じたことがきっかけでした。これらは、SDGsスタートブックの学びの延長線にあるもので、学校活動とも親和性が高く、体験機会の創出やキャリア教育にもつながるものです。なので、SDGsスタートブックとこれらの学習コンテンツを行き来してもらうことで相乗効果が生まれ、より豊かな学びの好循環につながれば嬉しいなと考えました。結果的に、学校と企業の双方からご好評の声をいただいており、企画した甲斐があったと思っています。

これからの展望などをお聞かせください!

まず、今年度配布分もまだ若干の余裕がありますので、ご興味のある先生はぜひ、フォームより申し込んでいただければうれしいです。
今後は、もっと多くの学校で使っていただけるよう、SDGsスタートブックをご活用いただいている全国の学校の実践事例のご紹介や指導者用資料の制作、学校・教育委員会向けの研修会などを実施していきたいと考えています。また、全国の学校で行われている総合的・探究的な学習の活動に対して、協賛企業からご講評をいただいたり、活動に生かせる取組事例をご紹介いただける交流の機会をつくっていきたいと思っています。今後も、学校と社会をつなぐために全力で取り組んでいきますので、応援のほどよろしくお願いいたします!

SDGsスタートブックサンプル版:
https://sdgs.edutown.jp/assets/pdf/startbook_sample_2025.pdf

SDGsスタートブックのお申し込みはこちら:
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScFliKt8KlX6_SZ3fxpJ-ET49_9BlJ1A2SfkJzssSo5iKVHCw/viewform

EduTown SDGs:
https://sdgs.edutown.jp/

EduTown SDGsで紹介されている企業の出張授業はこちら:
https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/shutchojyugyo/