(左)東京書籍 英語編集部 中学英語編集長 城戸彩子さん、(右)『NEW HORIZON』編集委員の豊嶋正貴先生
2026.09.25
今年、創刊60周年を迎えた東京書籍の中学校英語教科書『NEW HORIZON English Course』(以下、『NEW HORIZON』)。日本の英語教育とともに歩んできた同シリーズは、2026年10月31日に記念イベント「NEW HORIZON EXPO」を開催します。今回は、同教科書の編集委員を務める豊嶋正貴先生と東京書籍 英語編集部 中学英語編集長の城戸彩子さんにインタビューを実施。イベントの見どころや登壇するトークショーの必聴ポイント、60年の歴史の中で受け継がれてきた英語教育への想い、そしてこれからの『NEW HORIZON』が目指す姿まで、たっぷりとお話を伺いました。
城戸さん(以下、城戸):『NEW HORIZON』の創刊60周年を記念し、日頃から教科書を使ってくださっている生徒さんや先生方、かつて『NEW HORIZON』で学んだすべての皆さまへ感謝をお伝えするイベントとして企画しました。「NEW HORIZONの世界を、遊び尽くそう!」をテーマに、会場の1階と2階に分けて内容を展開します。1階の展示・体験エリアでは、初版本をはじめとする歴代の教科書(17回の改訂分)を実際に手にとって見ていただけるほか、エレン・ベーカー先生や人気キャラクターとの記念撮影ができるフォトスポット、この日限りのグッズ販売などを行います。
城戸:2階はスペシャルイベント会場になっていて、東京書籍が配信しているPodcast番組「おしゃべりな小学校英語」の特別版トークショーや教科書の編集代表の先生と文法解説動画の人気講師のスチュアート・オーさんとの一日限りのコラボレーション、教科書の題材として登場する英語落語家、ダイアン吉日さんなどのステージ企画を予定しています。そして、今私の隣にいらっしゃる豊嶋先生による特別講演もあるんですよ!
豊嶋さん(以下、豊嶋):「生成AI時代における英語教育」をテーマにお話しする予定です。最近は生成AIの利活用について比較的後ろ向きな話題も多いですよね。でも私は、AIをもっとポジティブなものとして捉えていて。例えるなら、映画『アイアンマン』のパワードスーツのような存在です。スーツを着ることで今まで飛べなかった空を飛べたり、持てなかった重いものを持てるようになるのと同じで、AIは子どもたちの「できなかった」を「できた!」に変え、驚きや感動を生み出してくれるツールだと思います。
豊嶋:そうなんです! 当日はそんなAIの可能性をお伝えしつつ、「AI時代に子どもたちの学びをどう作っていけばよいのか」についてもお話しします。AIを使えば簡単に文章が作れてしまう時代だからこそ、生徒自身が「自分の言葉で伝えたい・書きたい」と心から思えるような授業づくりの視点をお渡ししたいと思っています。聴いた後には「これからの教育ってどれだけの可能性に満ち溢れているんだろう⁉」とワクワクしながら帰っていただけるような内容を考えています。
城戸:1階展示コーナーの中でも、60年の歩みを辿る教科書の歴史展示は必見です。展示は「航海」になぞらえていて、出航(創刊)の時代から始まり、社会の要望や時代の変化とともに『NEW HORIZON』がどのように進んできたかを見ることができます。
豊嶋:同じく1階展示コーナーの、「教科書制作裏話」もぜひ見てほしいです。数ある候補から選び抜かれた教科書の題材には、必ずメッセージがあります。例えば2年生で親しんだ『はらぺこあおむし』が3年生最後の著者メッセージへ繋がる学年を跨いだ伏線回収など、題材の深みや込めた想いに、ぜひ触れてみてください。
城戸:「HORIZON(地平線・水平線)」という言葉には、中学生に夢を与え、人は果てしない可能性を持っているんだという願いが込められているんです。そして、「HORIZON」ではなく、そこに「NEW(新しい)」がついていることにも大きな意味があります。英語という言葉を学ぶことで、子どもたちの中に「新しい考え方」や、どこまでも広がる「広い視野(NEW HORIZON)」を育んでほしい。そんな子どもたちの未来や可能性に対する当時の編集部の想いが、このタイトルに込められています。そんな想いは今の編集部にも間違いなく受け継がれていると思います。
豊嶋:『NEW HORIZON』の歴史には、英語教育界の高名な先生方が関わってこられました。私もその歴史の流れの中に身を置かせていただく中で、「先生方が大事にしてきたバトンをしっかり受け取って、次の世代へつながなければいけない」という強い使命感を感じています。
城戸:私自身、中学生の頃に『NEW HORIZON』で英語を学びました。当時の文章やストーリーを今でも覚えていますし、今こうして編集者として携わっていることにも深い縁を感じています。
豊嶋:私は中学生の時に暗唱した英語の音が今でもイメージとともに頭の中で再生されます。教科書って、単に勉強して終わりではなく、ずっと人の心に残って人生に寄り添っていくものだと思うんです。最近もそれを実感する出来事がありました。ある美術館の展覧会で、高校生くらいの人が『NEW HORIZON』に掲載された題材の作者のメッセージを目にしてこう言ったんです。「中学の教科書にあった英語だ!」。教科書の学びが生徒の心に残っていて、それがふと思い出された瞬間に立ち会えて、胸が熱くなりました……。そんな心に火をともすことのできる教科書づくりに関われていることを誇りに思います。親子で同じ題材を見て「お父さんもこれ勉強したよ!」「私も!」なんて会話が生まれたら最高ですね。そうやって世代を超えて人と人とをつなぐ存在になれることこそが、60年という歴史を重ねてきた『NEW HORIZON』の本当の価値なのだと思います。
城戸:『NEW HORIZON』は、時代の変化に合わせてその内容も変わってきました。近年ではICTやデジタル教材との連動はもちろん、教科書の内容に合わせて生成AIを効果的に活用するための情報発信や、多様性の包摂といった課題にも積極的に取り組んでいます。ですが、根底にある想いは変わりません。教科書を通して異文化理解やコミュニケーションの楽しさを伝え、子どもたちが知らなかった世界に触れるきっかけでありたいと考えています。子どもたちの探究心や「英語って面白い!」「世界ってかっこいい!」という気持ちから、自らの選択肢や可能性を広げていけるようなワクワクする教科書をこれからも作り続けていきます。
豊嶋:おっしゃる通りですね。どれだけ技術やAIが進化しても変わらない本質というものがあると思います。私たちの仕事は「英語」教育であり、英語「教育」をしているんだという視点を大事にしていきたいですね。単に言語の知識を教えるだけでなく、教科書を通して相手を思いやる心や多様な視点を育むこと。先生方が「子どもたちに成長してほしい」という想いを伝えられる教科書として、これからも『NEW HORIZON』は進化していきます。
城戸:60年前からバトンのように受け継がれ、現在、そしてこの先も続いていく『NEW HORIZON』の歴史を体感しに来てください!
豊嶋:現在進行形で『NEW HORIZON』を使ってくれている生徒さんや先生方はもちろん、かつて使ってくれていた方々も含め、『NEW HORIZON』でつながるすべての人と出会いを楽しみにしています。当日は会場におりますので、ぜひ気兼ねなくお声をかけてくださいね!
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