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(左から)株式会社りそなホールディングス グループ戦略部 サステナビリティ推進室 北條茉実さん、同室長 吉本圭吾さん、東京書籍 DX事業創出本部 本多夏夫さん
2026.09.18
東京書籍は2026年4月、りそな銀行の全面協賛・制作協力のもと、ゲーム感覚でお金について学べる金融経済教育学習サイト「EduTownフトコロジー」を公開しました。このサイトでは、オリジナルキャラクター「こっさん」のお世話をするゲームなどを通じてお金の仕組みを学ぶことができます。教育現場や自治体での導入・活用が広がり始めており、7月のページビューは27万を超えました。
今回は、りそなホールディングスの吉本圭吾さん、北條茉実さん、東京書籍の担当者 本多夏夫さんにインタビューを実施。なぜ教科書会社と銀行が協業してコンテンツを作ったのか。その背景には、両社に共通する「若い世代にこそ金融経済教育を届けたい」という想いがありました。
「EduTownフトコロジー」はこちら
東京書籍・本多さん(以下、本多):「フトコロジー」は、すべて無料で利用できる金融経済教育のWeb教材です。先の見えないVUCAと言われる時代の中で、若いうちから金融リテラシーを身につける重要性が高まっています。2022年度には高校家庭科で資産形成に関する内容も必修化されました。そうした中で、ゲームやエンタメの要素を取り入れた「ゲーミフィケーション」の手法で学びの間口を広げ、子どもたちが楽しみながらお金についてのリテラシーを高められる教材を目指して制作しました。
りそなホールディングス・吉本さん(以下、吉本):私たちが所属するサステナビリティ推進室は、持続可能な社会の実現に向けて、りそなグループ全体のサステナビリティに関わる取り組み全般を統括・推進している部署です。具体的には、気候変動などの環境課題や人権問題、貧困などの社会課題のために資金を活用する「サステナブルファイナンス」の推進のほか、会社全体での二酸化炭素排出量の削減などにも取り組んでいます。その中の一つの柱として、金融経済教育があり、子どもたちにお金についての正しい知識や考え方などを身につけ、自分の身を守る力を持ってほしいとの思いから、全国の小学校から大学までの学校での出張授業を実施しています。私自身は、若い世代へ正しいお金の知識や教育をどのように届けるかという戦略の企画や、外部連携も含めた全体の統括・マネジメントを担当しています。
りそなホールディングス・北條さん(以下、北條):私は主に現場での具体的な施策立案や運用実務を担当しています。全国の営業拠点の従業員と連携しながら、出張授業のプログラムの構成をはじめ、現場で円滑に授業を実施するための調整、コンテンツの企画・制作サポートもその一環として行っています。
吉本:直感的に「これだ!」と思いました。というのも、出張授業をやってはいるものの、一番届けたい学校現場とのつながりや接点があまりなく、どのように活動を広げていくべきか模索していたタイミングでした。
北條:これまでは、全国の営業拠点から出張授業などの形でアプローチすることはできても、接点は限られるため、児童や生徒の方々へ広く届けることはできていませんでした。今回、東京書籍さんが制作・公開するデジタル教材という形をご提案いただいて、私たちの知見をより多くの方々へ届けられるかもしれないと考えました。
吉本:どれだけ良いコンテンツを作っても、届けたい人に届かなければ意味がありません。私たちだけでは、教育現場で必要とされる教材のノウハウもないですし、学校現場へ広げていくのも難しい。その点、学校教育に立脚し、現場で本当に必要な授業を一番よく考えられている東京書籍さんとなら、届けたい人に届けられる、という確信がありました。それが一緒に制作をしていくことの最大の決め手になりました。
本多:私たちとしても、お金のプロであるりそな銀行さんが「協賛・制作協力」という形で関わってくださったからこそ、リアルな経済の動きや現場の視点を落とし込むことができ、教材としての質や説得力を高めることができました。
本多:「フトコロジー」には、2つのモードを用意しています。1つ目は「あそぶ」モードです。ゲーム『チキュウで暮らす』をプレイすることで、お金に関する仕組みを学びます。ユーザーは、オリジナルキャラクター「こっさん」(『こびとづかん』シリーズの作者、なばたとしたかさんに描いていただきました)のお世話をし、お金をやりくりします。ログインすることでデータが保存され、長期にわたってプレイができます。その中で、給料や保険、株といったお金にまつわるあれこれに触れ、お金に関する知識が自然と身につくようになっています。また、ゲーム内の株価が実際の東京証券取引所の株価データを反映して動く仕様になっているのもポイントです。
「あそぶ」モード
本多:「まなぶ」モードです。こちらは、主に学校の授業での活用を想定していて、5つのテーマ(使う/借りる/貯める・ふやす/備える/稼ぐ)ごとに、10〜15分程度でできるミニゲームやテキスト解説、お金に関わる職業人のインタビューを掲載しています。
「まなぶ」モード
職業人インタビュー(吉本さん)
本多:活用しやすいように、サイト上で、指導案やワークシート、授業用スライドのデータを公開しています。編集可能なWordやPPT形式でも提供しているので、お使いいただく学校・クラスの実態に合わせ、アレンジしてお使いいただけます。
ワークシート(中学校家庭科 「使う」編)
北條:出張授業へ伺うと、子どもたちはすごく興味を持って話を聞いてくれます。その一方で、これまではどうしても一回限りの授業で終わってしまう、という悩みもありました。「フトコロジー」のように日常的に触れ続けられるデジタル教材ができたことで、授業が終わった後も、子どもたちが継続して学びを深めていけるようになったと感じています。
吉本:学校現場からは「株や投資について教えてほしい」というニーズも高まっているのですが、限られた授業時間でゼロから教えるのは簡単ではありません。「フトコロジー」に盛り込まれている、ゲーム内の株価が実際の東京証券取引所の株価データと連動するという仕組みは、そうした現場のニーズに寄り添った良いポイントだと思っています。
吉本:世の中にある一般的な投資ゲームの多くは、運の良し悪しで結果が決まってしまうものが少なくありません。しかし本物の株式投資はそうではなく、「なぜ上がったのか・なぜ下がったのか」という背景に必ず社会の動向や原因が存在します。ゲーム内の株価が実際の株価と連動すると、子どもたちが世の中の動きに関心を持ち、「なぜだろう?」と考えて自分なりに「判断」するプロセスを学べるようになるはずです。
北條:そうやって社会の動きを捉えて判断する力を身につけることは、将来子どもたちが社会に出たときに自分の身を守る一番の力になります。私たちサステナビリティ推進室のミッションは、お客様ご自身が人生を主体的に豊かにしていくサポートをすることです。単に知識を教えるだけでなく、自分らしい未来を選択・判断できる力を育む「フトコロジー」のこうした仕掛けは、まさに私たちが大切にしたい金融経済教育のあり方そのものでもあります。
ゲーム内の株価は東京証券取引所の株価データと連動
本多:「フトコロジー」では「ウェルビーイング」を評価軸として導入しています。設計段階で「ただお金をたくさん稼げば評価が高くなる、というゲームでは良くないよね」とは最初から考えており、監修の先生からのご助言で、「ウェルビーイング」の視点を導入しました。人生、必ずしもお金があればあるほど幸せ、というわけではなく、自分にとって何が必要で、どうお金を使うと満たされるのかは人それぞれなはずです。そのため、単に資産を増やすだけでなく、「ウェルビーイング」の数値が高まることでゲーム内の評価が上がる、という仕組みを取り入れました。これは他の金融経済教育教材にはあまりないものではないかと自負しています。
北條:これには私たちもとても共感しました。お金には、日々の生活を支えるための「生存のライフライン」という側面と、「将来の選択肢を広げて自分らしく人生を豊かにしていくための手段」という側面の2つが存在します。ただ知識を丸暗記したりお金を増やしたりすることだけを目指すのではなく、後者の意味でお金と付き合う感覚を育むことこそ、まさに金融リテラシーの本質だと感じています。
本多:無料でゲームができて、その中で自然とお金に関する知識が身につくので、ぜひこっさんのお世話をしてみてください! 「フトコロジー」が、「人生におけるお金」について深く考えるきっかけになれば嬉しいです。
北條:学生の間は、お金の問題に真剣に向き合う機会は少ないかもしれません。でも、学校を卒業した途端に、誰もが社会的な自立と経済的な判断を求められます。クレジットカードやローン、資産形成など、金融サービスは正しく使えば人生をより豊かに、選択肢を広げてくれる素晴らしい手段です。社会に出てからお金で困ったり失敗したりしないよう、ぜひ「フトコロジー」を通じて金融リテラシーを育んでいってほしいと願っています。
本多:資本主義社会を生きていく上で、お金は誰もが避けて通れないものです。「フトコロジー」や、フトコロジーを活用した授業を通じて、子どもたちの「お金」に対する見方や考え方が深まったり、自分の人生でどうお金をやりくりするか、考えてみてもらうきっかけになったりすれば、これほど嬉しいことはありません。学びのハードルを下げるにあたってゲーミフィケーションは有効だと思いますので、ぜひご活用いただければ幸いです。
吉本:人生は選択の連続で、かつ選択とお金は切っても切り離せない関係にあります。だからこそ、より良い選択をしていくには、お金についての判断力が必要になると思っています。「フトコロジー」には、子どもたちが主体的に考えて判断できるよう、さまざまな工夫が凝らされています。先生方の指導法やアイデアと組み合わせながら、ご活用いただければ嬉しいです。
※肩書きや数値はすべて取材日(2026年8月6日)時点のものです。
「EduTownフトコロジー」はこちら https://futocology.edutown.jp/