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2026.01.22
北海道岩見沢市は、令和5年度から社会科副読本(以下、副読本)を紙の冊子からデジタル版(自治体サーバ版)へ移行しました。
岩見沢市立教育研究所 所長の砂川昌之さんと専任所員の廣瀬一仁さんに、デジタル化のメリットや制作への思い、東京書籍のサポート体制などについてお話を伺いました。副読本のデジタル化を検討している全国の自治体や教育関係者は必見です!
・デジタル社会科副読本『いわみざわ』URL:
https://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/soshiki/shidoshitsu/gakko_kyoiku/1/11528.html
岩見沢市の副読本は昭和34年に初めて作成以来、昭和60年からは5年ごとの学校貸与方式で発行されてきました。令和4年度末の改訂時期を前に、次年度以降のあり方を検討した結果、時代の流れなどの理由からデジタル化という選択肢が浮上しました。
また、同じ北海道内の鹿追町が東京書籍と協働でデジタル版の副読本を作成していたことも、デジタル化決定の大きな決め手となりました。
実は、岩見沢市ではGIGAスクール構想の発案よりも早い段階で市内の小・中学校全校へタブレット端末が配布されていたことも大きな要因です。
元々、岩見沢市の小学校社会科の教科書が東京書籍のものだったことに加え、鹿追町の事例(東京書籍制作)も大きな安心感につながりました。細かい要望や修正にも迅速に対応していただき、安心して制作を進めることができました。
主にコスト削減の側面と、情報をすぐにアップデートできる、つまり「鮮度を維持できる」というメリットがあります。従来の紙の副読本は改訂のために印刷代などのコストがかかります。トータルで見るとデジタル版のほうが安い。
また内容の差し替え作業のしやすさも大きなメリットです。情報が早く変化する現代において、紙の副読本では改訂期間まで修正を待たなくてはいけません。デジタル版なら、写真や統計グラフなどの更新が容易で、常に最新の情報を子どもたちに届けることができます。
この副読本はWebページでも公開しています。市内外、道内外問わず誰でも閲覧できるのもメリットのひとつかもしれません。
紙の副読本と同様に、市内の小学校の3・4年生の先生方を編集委員とする委員会を組織。東京書籍にも編集サポートに入っていただきながら、約1年をかけて本が完成しました。
編集委員会全体で「探究型の副読本を作る」ことを掲げ、そのためには「まずは自分たちが探究してみよう!」という共通認識を持ちました。会議では、先生方がまるで自由研究の発表のように各単元の紙面構成案を提案されていて(笑)。「あれもこれも載せたい」と編集作業が大変だったことも今となっては良い思い出です。先生方が単元構成の意図を深く理解することで、子どもたちへの指導に自信をもって臨めますし、その自信が子どもたちの理解や自信にもつながりますしね。
制作自体をゴールとするのではなく、「授業づくりを見据えた本づくり」を目指しました。授業での活用方法や、子どもたちが使う場面を具体的に想像しながら制作を進めた結果、岩見沢市が目指す「子どもたちの自発的な問いから始まる探究学習」を支える教材になったと実感しています。
また、「ただ作って終わり」ではなく、年に一度、岩見沢市の3・4年生以外の小学校の先生方も集まり、副読本を教材として扱った研究会を実施しています。
いわみざわ授業活用研修会の詳細はこちら
版権処理には苦労しましたね。紙媒体で使用していたものでも、デジタル版になると権利関係が複雑になるケースもあり、許諾の問い合わせ先がなかなか見つからないといったケースも。そのため、この副読本には先生方が自ら取材や撮影を行った写真や動画もあります。
例えば、これは洋菓子店の工場の様子で、岩見沢ではおなじみのお店なんですよ(下画像)。だからこそ、子どもたちは内容をより身近に感じ、興味をもって学習に取り組めます。身近にあるのに、普段は立ち入れない場所を動画教材として提供できるのは、デジタルならではの大きな魅力だと思います。
市内の全小学校の屋上からドローンで撮影した映像教材も自慢のコンテンツです。豪雪地帯なので、落雪や雪庇による事故防止の観点から学校の屋上に柵がなく、子どもたちは屋上に上がれません。この映像教材を活用すれば、地理的な学習で難しい部分をカバーできます。実際に授業で見せると「あ、わたしの家だ!」といって盛り上がるんです。
あとこれは、最後のページに「汽車(※)」の動輪が回り続けるアニメーションが見られるボタンで・・・
そう、各画面の表示の切り替えのローディングで表示されるのですが、この最後のページでは見るだけなんです(笑)。実は、これは「岩見沢の歴史を継承したい」という私の思いから、東京書籍にも少し無理をお願いして入れてもらったものなんです。
私は炭鉱と鉄道で発展したこの町の歴史と共に歩んできました。幼い頃には、よくこの汽車を見に行ったものです。昔に比べて人口減少や町にさみしさを感じるようになった今、この町の歴史や魅力を伝え、未来へと伝えていきたい、そう思ったんです。
(※:北海道では、電車も含めて「汽車」と呼ばれることが多いです。)
学校で学ぶ子どもたちには、岩見沢市の歴史と今を知り、自分の町に誇りを持ってほしいです。そして町の未来を考えられる子どもに育ってくれたらと思います。また、デジタル版としてWebページでも公開していますので、市内外、道内外の方々にも岩見沢市のことを知っていただければうれしいです。これを読んで、ぜひ岩見沢に遊びに来てください!
東京書籍の副読本サポートは、他自治体様にも安心してご依頼いただけるよう、以下のような特長があります。
「授業づくりを見据えた副読本」を作るなら、ぜひ東京書籍にご相談ください!
東京書籍 地域副読本サポートページ:https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/fukudokuhon/