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書籍編集の現場から

コンピュータ、どうやってつくったんですか

コンピュータ、どうやってつくったんですか?
はじめて学ぶ コンピュータの歴史としくみ

川添愛/著 本体価格1,700円(税別)
 Amazonの「この商品をチェックした人は、この商品もチェックしています」に導かれ、何気なくページを開いた一冊が、本書の著者である川添愛先生の『白と黒のとびら――オートマトンと形式言語をめぐる冒険』(東京大学出版会)でした。
 その本は、科学の理論をファンタジーに仕立て、最後まで専門用語の出てこない、楽しい本でした。コンピュータの本を読んだのは初めてでしたが、「オートマトン理論」という、情報科学の基礎について、おぼろげながらその輪郭をつかむことができ、今まで素通りしてきた「コンピュータ」について、ふと興味が湧きました。
 そもそもコンピュータは、どうやって0と1だけで複雑な計算ができるのか? 一気に読み終えた勢いで、川添先生に感想をお送りしたところ、ご返信をいただきました。これが『コンピュータ、どうやってつくったんですか?』の端緒となりました。
 本書は、言語学者である川添先生が津田塾大学で教えた授業を元にしています。私たちはコンピュータを毎日当たり前に使っていますが、「どうして0と1の組み合わせでコンピュータは動くのか?」ということはよくわからず、一般向けにそれを書いた書籍も見つかりませんでした。あの呪文のようなプログラムを、コンピュータはどう解釈しているのでしょうか。
 その答えは、明日役に立つ情報ではないかもしれませんが、素朴な疑問を明らかにし、知る楽しさを味わえる本が読みたいと思い、企画に至りました。
 発行後、昨年10月に川添先生の講演会を書泉グランデにて開きました。参加者から、「どうやって物語は生まれるのか」という質問を多数いただき、先生は次のように答えられました。「物語づくりは、カンカンカンと、鉱脈を掘り当てるために、ひたすら金槌を打つような感じです。書き進めて、手応えがなかったら引き返し、別の場所を探ってみます。みごと掘り当てたら、次にそこへやって来る人たちのために、それまで来た道をならして完成です」。
 何かひとつのことを究めている人は誰もがきっと物語を書ける可能性を秘めている、と先生はラジオでおっしゃっていました。「究める」という言葉には、いろいろな解釈があると思いますが、私は、始めたら最後までやり抜くこと、道のないところに道をつくることではないかと、この時に思いました。

東京書籍 書籍編集部
2019年1月
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