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Over the Wall_オンデマンド版

Over the Wall_オンデマンド版
心の翼で世界を見よう

清田 洋一/原作・文 ミヤザキケンスケ/画 青谷優子/英文朗読

ISBN:978-4-487-81782-5
定価1,760円(本体1,600円+税10%)
発売年月日:2024年07月16日
ページ数:44
判型:A4変型

解説:
世界中を飛びまわるツバメのサミー。
彼には石巻に人間のヒロシという友達がいます。
石巻にはOver the Wallチームが作成した壁画のひとつがあり、その絵の中にいるクジラのウィニーから、サミーは世界中の壁画の中の友だちを紹介されます。
サミーは世界中を旅し、エクアドルではハチドリのタイニーと出会い、貧しさ故に罪を犯した悲しい囚人のエピソードを聞きます。
絵の中にある花の蜜を吸うことはできないけれど、その花々は、人々の心のなかに花を咲かせることができると伝えられます。
東ティモールでは、ワニのフェリックスと出会い、太陽の大切さ、太陽が人々に生命を与えていることを教わります。
命を守る象徴として、病院の壁に太陽が描かれていることを知りました。

次にサミーはウクライナへ飛びます。
そこにはカモメのキラがいて、ウクライナに伝わる昔話、旅人が落とした手袋の中でさまざまな動物たちが温まり、そのぬくもりが平和を作り出すという話を聞きます。
サミーは石巻に戻りウィニーと話します。
ウィニーから、石巻でもかつて大きな津波があったことを知らされ、自然も時に牙をむくことを知ります。
ヒロシはサミーから世界中の壁画の話を聞き、スケッチブックに花やハチドリやワニを描きます。
そこへ、ほかのツバメがやってきて、ウクライナで戦争が起こっていることを伝えます。
ウクライナの壁画は破損し、手袋の中の動物たちはいなくなったように見えます。
動物たちは途方に暮れ、ハチドリのタイニーはせめてものできることとして、ひとしずくの水を口に含み、戦火を消そうとします。
翼を持たないヒロシは自分には何もできない、と途方に暮れます。

しかしツバメのサミーがヒロシに投げかけた言葉とは――。



【本シリーズの特色】
・東京書籍の小学校英語教科書『NEW HORIZON Elementary』の編集委員が監修しています。
・各巻の題材は、子どもたちにとって身近なもの・ことを扱っています。英語以外の教科との連携も意識されています。
・QRコードから読み聞かせ音声を再生できます。(無料ストリーミング、ダウンロード可)

ことばの習得と「読み聞かせ」 アレン玉井光江 (青山学院大学文学部英米文学科 教授)

 読み聞かせは、多くの国々の家庭や学校で行われている活動です。そして疑うべくもなく、それは子どもの言語習得に大きく影響しています。本を読んでもらっているとき、子どもたちは耳を澄ませて言葉を聞き、目で言葉を追い、しっかり頭で考え、そして気に入った箇所があれば自然に復唱します。読み聞かせをしてもらいながら、子どもたちは次に起こる出来事や登場人物の気持ちを思い、想像力を養い、考える力を身につけていきます。豊かな意味のある文脈を通して言葉に触れ、楽しみながらことばを習得していきます。
 幼少期に読み聞かせをたくさんしてもらっていた子どもは、一人読みを頻繁にするように成長するという報告もあります。さらに読み聞かせは、子どもたちの言語発達を促すだけではなく、聞き手である児童が読み手である保護者や先生との信頼関係を強め、彼らの情緒発達にも良い影響を与えます。
 外国語の学習においても、意味のある文脈の中で言葉に触れ、それを育んでいくことが重要です。日本語での読み聞かせとは異なり、簡素化した文を使うとか、予めお話の内容を日本語で簡単に説明するとか、工夫が必要になります。そのように言語的な制限はあるものの、外国語での読み聞かせも子どもたちのことばや気持ちを豊かに育てるために大きな役割を果たします。読 み聞かせを成功させるには、日本語での読み聞かせと同様に、保護者や先生たちが絵本を通してどのようなやり取りをするのか、そのことばの質と量が大切だと思います。「これって何だろう?」「これからどうなるのかな?」「今〇〇はどこにいるんだっけ?」などお話に合わせて自然なやり取りができれば、きっと子どもたちの中に新しいことばの芽が育っていくことでしょう。

学校や家庭での指導のポイント 村松麻里 (金沢学院大学文学部教育学科 准教授)

 絵本とは、「絵の語り」と「ことばの語り」の二つが互いを補い合って成立するメディアであると言われています。そして、子どもたちは文章を読むだけでなく、絵を読むことがとても上手です。本書は、そうした「絵の語り」の力を借りながら、できるだけシンプルに無理のない英語の文章で子どもたちが読み聞かせやセルフリーディングを楽しめるように作られています。
 子どもは大好きな絵本を何度でも読みます。多少分からない英語が含まれていても大丈夫です。本書の英文には、小学校外国語の授業で扱う語彙や表現が豊富に含まれています。また、物語の鍵となるフレーズや音韻が繰り返し登場し、英語ならではのリズムや音を楽しめる擬音語や擬態語がたくさん織り込まれています。ですから、子どもたちはこの絵本を通して「あ!この言い方、知ってる!」「この言い方はこんな場面で使えるんだ!」「英語の音って口ずさむと楽しい!」に何度も出会えることでしょう。
 学校やご家庭で大人が本書を読んであげるときには、ぜひ子どもの目線で一緒になって絵をじっくりと読み、発見したことを話し合ってみてください。そして、同じフレーズや擬音語などのくり返しにも注目し、声に出したら楽しそうなところを、声音(こわね)を工夫しながら、一緒に口ずさんで味わってみてください。英語の発音に自信がなくても、子どもにとっては、大好きな先生や保護者の方のぬくもりある声で物語を語ってもらえることそのものが喜びと安心になります。小学生にとって親近感がもてる題材や他教科連携を意識したテーマで制作された絵本ですから、お話を読んだ後に子どもたちとお話を膨らませたり広げたりして、やりとりを楽しむこともおすすめします。
 大人と一緒に読むときは英語の音の楽しさや物語世界を共有しながら語らう、子ども一人で再読するときは新たな発見や冒険を味わう―そんな風に本書を何度でも楽しんでいただけたら幸いです。

著者情報

清田 洋一(きよた よういち)
明星大学教育学部教授。上智大学外国語学部英語学科卒業、東京大学総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程満期退学。 東京都都立高等学校教諭を経て現職。専門は、英語教育、英語教師教育、ミュージアム・ラーニング、アートと連携した英語教育。

著者情報

ミヤザキケンスケ(みやざき けんすけ)
1978年佐賀市生まれ。筑波大学修士課程芸術研究科を修了後渡英、Super Happyをテーマに制作。世界中で壁画を残す活動 “Over the Wall”を主宰し、ケニアのスラム街(2015)、東ティモールの国立病院(2016)、ウクライナでのUNHCRとの共同制作(2017)、エクアドルの女性刑務所(2018)等の活動を行う。

著者情報

青谷 優子(あおたに ゆうこ)
朗読家、元NHK国際放送アナウンサー。幼少期をロンドンで過ごし、上智大学卒業後、NHKに入局。NHK WORLDのメインアンカーを20年務める。並行して、英語で日本文学を紹介するラジオ朗読番組の演出・制作・出演を担当。2015年2月に独立し、英語での朗読リサイタルや、英語コミュニケーション講師として朗読メソッドを用いた独自のセミナー・ワークショップを開催。2022年早稲田大学大学院人間科学研究科にて修士号を取得。