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意識としての自己

意識としての自己
梶田叡一 自己意識論集Ⅲ

梶田 叡一/著

ISBN:978-4-487-81398-8
定価3,300円(本体3,000円+税10%)
発売年月日:2020年11月24日
ページ数:280頁
判型:46

解説:
日本の教育学の泰斗として知られる著者が、学生時代から一貫して取り組んできた「自己意識論」を集大成としてまとめた論集の第3巻。
自己意識の問題は、アイデンティティ、自己概念、自己イメージ、自尊感情などの形で論じられ、現代の心理学・社会学・教育学などにおいて、最も重要な課題の一つとされてきた。

本書では、アイデンティティの確立について、三つの段階を提示している。
第一段階は、家族や友人を通しての原初的な存在の確認。
第二段階は、職業やジェンダーなど社会的ラベリングによる位置づけ。
「世間」が重い意味を持つ日本のアイデンティティ論は、従来、この第二段階で終わりがちであった。
しかし、もうひとつ、第三段階を考えなくてはならないと著者は主張する。
志向する自己像を投影した、他者への宣言としてのアイデンティティである。

さらには、晩年の良寛のような「私なんて何者であってもええやないか」という超アイデンティティの境地にも思いをめぐらす。
個々人の意識世界のあり方について、「自分自身を生きていく」ためのものにしていこうとする様相を、さまざまな角度から論じている。
また、アイデンティティを論じる上で欠くことのできない、宗教および宗教教育についても、日本文化の特性と自己意識の観点から深く論じていく。

著者情報

梶田叡一(かじたえいいち)
1941年(昭和16年) 4月 3日、松江市生れ。隣の米子市で幼稚園・小学校・中学校・高等学校を卒え、京都大学文学部哲学科(心理学専攻)卒業。文学博士[1971年]。
国立教育研究所主任研究官、日本女子大学文学部助教授、大阪大学人間科学部教授、京都大学高等教育教授システム開発センター長、京都ノートルダム女子大学長、兵庫教育大学長、環太平洋大学長、奈良学園大学長を歴任。
現在は桃山学院教育大学長。併任として、[学]聖ウルスラ学院(仙台)理事長、日本語検定委員会理事長。
これまでに、教育改革国民会議(総理大臣の私的諮問機関)委員[2000年]、第4期・第5期中央教育審議会[2007~2011年]副会長(教育制度分科会長・初等中等教育分科会長・教育課程部会長・教員養成部会長)、教職大学院協会初代会長[2008~2010年]等を歴任。
また、大阪府私学審議会会長、大阪府箕面市教育委員長・総合計画審議会会長、鳥取県県政顧問、島根大学経営協議会委員・学長選考会議議長、[学]松徳学院(松江)理事長等も歴任。
主な著作に、『生き生きした学校教育を創る』『教育評価』有斐閣、『真の個性教育とは』国土社、『教育における評価の理論(全3巻)』『<いのち>の教育のために』金子書房、『教師力の再興』文溪堂、『和魂ルネッサンス』あすとろ出版、『不干斎ハビアンの思想』創元社、等がある。

コンテンツ

プロローグ  リマのカタコンブにて…… 5
Ⅰ−〈私〉とは
第1章 〈私〉というこだわり…… 14
第2章 公理系としての〈私〉…… 34
第3章 固有の世界としての〈私〉…… 48
Ⅱ−人々とともに
第4章 社会的主体としての〈私〉…… 62
第5章 〈我の世界〉と〈我々の世界〉と…… 84
第6章 マルチなアイデンティティと新たな統合の道と…… 99
第7章 〈公〉も〈私〉も大事にするということ…… 116
Ⅲ−〈いのち〉として
第8章 自己幻想からの脱却と〈いのち〉の自覚…… 124
Ⅳ−〈私〉を問い直す
附章1 〈私〉をめぐる六つの問い――大阪大学大学院生との対話…… 138
附章2 アイデンティティの形成と探求をめぐって――問題提起と討論…… 152
Ⅴ−宗教による目覚め
附章3 個我的自己意識からの脱却と宗教――心の教育のために…… 202
附章4 日本の伝統的美質である宗教多元主義の尊重復興を…… 223
附章5 偽善とは何か――自分自身を生きるということ…… 230
附章6 宗教教育の再興…… 246
エピローグ  メメント・モリから(一九九八年) …… 259