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地政学世界地図

地政学世界地図

バティスト・コルナバス/著 神田順子/監訳

ISBN:978-4-487-81337-7
定価2,420円(本体2,200円+税10%)
発売年月日:2020年08月31日
ページ数:
判型:

解説:
フランスの歴史教師にして、人気YouTuberが、いま世界で起きている33の主要な国際問題について、地政学の観点で簡潔に解説。
地図と平易な文章で書かれた、フランス・ラルース社による地政学入門。

「監訳者あとがき」より

この本の著者、バティスト・コルナバスは30代前半のフランス人である。アルザスの中学で歴史と地理を教えるかたわら、学校教育と異なる視点で歴史と地理にアプローチすることを目的に、YouTuberとしても活躍している。コルナバスは当初、自身のYouTubeチャンネル「Parlons Y-stoire」に“生徒のための補習授業”という性格を持たせていたが、内容は次第に変化した。かくしてコルナバスのチャンネルは今や、現在の世界で起きているさまざまな問題(混迷が続く中東、紛争が絶えないパレスティナ、ロシアによるクリミア併合、緊張をはらむ朝鮮半島等々)の歴史的・地政学的背景を探求する場となった。「ダイヤモンドも石油も金も採れない国だから国際社会から無視され」、教科書にも出てこないエリトリアの過酷な独裁体制もそうしたテーマの一つである。このように内容はかなり濃いが、ユーモアを交えた軽妙な語り口を特徴としている。なお、チャンネル登録者の年代で最も多いのは20~30代だそうだ。
YouTubeで取り上げたテーマを膨らませたのが本書である。コルナバスに言わせると、たった一人でビデオを制作するには、10分間につき100~130時間の準備が必要である(授業を準備し、生徒の宿題に朱を入れ、生徒の親への対応―フランスにもモンスターペアレントがいるようだ―に追われる教師にとって、これだけの時間をひねり出すのは容易ではない。とコルナバスはぼやいている)。撮影や編集もさることながら調べたり資料を読み込んだりする作業が大変だそうだ。したがって、本書を執筆する準備は万端整っていたのであろう。
私からのメールで問い合わせに対してコルナバスは、新型コロナウイルス対策でフランスが(というよりほぼ全欧が)ロックダウンしていたときは、自分のYouTubeチャンネルのアクセスが大幅に増えた、と打ち明けてくれた。「ニュースがフランス国内の新型コロナウイルス禍一色に染まってしまい、国際社会で何が起こっているかわからなくなったときだからこそ、多くの人が僕の本やYouTubeチャンネルを通して広い視野を持とうとしたのだろう。歴史と地理の知識を多くの人と分かち合う活動にいっそう力をいれよう、と意を強くした」とのことだ。
著者が第一に想定している読者はフランス語圏の人々だが、本書は私たち日本人にとって馴染みのない地域や国々の現状とその来歴を知るには絶好の入門書だと思う。フランスの中高生になった気分で、充実した内容を咀嚼してわかりやすく伝えてくれるコルナバス先生の“授業”を楽しんでいただきたい。

監訳者 神田順子

コンテンツ

序文
日本語版出版にあたって

1 すべての地図は間違っているのか?
2 国境線はどうやって引かれたのか?
3 なぜ欧州連合(EU)の加盟国は変わり続けるのか?
4 トルコはヨーロッパなのか?
5 アルザスはフランスなのか、ドイツなのか?
6 グリーンランドはどこに属しているのか?
7 BRICSとは何者か?
8 国境の目的とは何か?
9 宇宙は誰のものか?
10 なぜジブラルタルは英国領なのか?
11 「ロシアの飛び地」カリーニングラードとは何か?
12 キプロスはどこに属しているのか?
13 リヒテンシュタインとはどんな国?
14 マケドニアが「北マケドニア」になった理由とは?
15 香港は中国なのか?
16 ナウルは滅びた楽園か?
17 キューバ、時間が止まった国?
18 なぜ二つの国家が朝鮮半島に存在するのか?
19 ミャンマー(ビルマ)は統一できるのか?
20 インドとパキスタンの間に何が起きているのか?
21 なぜ中東に紛争と危機が集中するのか?
22 なぜシリアでは混迷が続くのか?
23 イスラエル・パレスティナ紛争はなぜ解決できないのか?
24 ユーゴスラビアはどこへ行ったのか?
26 アラル海はなぜ消えたのか?
27 なぜアルジェリア国民は蜂起したのか?
28 エリトリアには自由があるか?
29 なぜスーダンは危機に陥ったのか?
30 なぜイエメンは瀕死の状態にあるのか?
31 リビアはまだ存在しているのか?
32 ベネズエラで何が起こっているのか?
33 中国はどこへ向かうのか?

監訳者あとがき
掲載図版一覧