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ミケねこのトリセツ

ミケねこのトリセツ

大石孝雄/監修

ISBN:978-4-487-81197-7
定価1,320円(本体1,200円+税10%)
発売年月日:2018年09月01日
ページ数:103
判型:A5

解説:
ミケさんの知るといいこと、楽しいこと!

女王様、ツンデレ……そんなミケさんに転がされたいと思う人、ゆっくりゆっくりスローダウンしたい人。
甘やかしたいor甘やかされたい……にゃ~、どっちもオッケー!

人気のミケさんと暮らしたいひと、暮らしているひとにおくる、ミケさんのトリセツ。

はじめに 3匹と暮らす彼女のひとり言 「ミケねこのナナ」

 週明けの午前6時。
 高層マンションの26階の窓から外を眺めると、陽の光がまばゆい。昨晩は日曜日だというのに深酒。後悔先に立たず。帰らない友人に「帰れ」とも言えず、やめればいいのに日が変わってからも赤ワインのボトルを開けてしまった。
 今週もまた、金曜日まで全力疾走。端っから疲れている自分に嫌気がさすなぁ。
 そして今朝もナナに起こされた。きっかり5時半。なぜナナはわたしの顔の上に乗ってくるのだろう? ミケねこのナナ(♀)、ブチのロク(♂)、そして茶トラのハチ(♂)。ゴー、ヨン、サンと続くわけじゃないけれど、この子たちは兄妹だ。それまでのチャミが18歳という長寿をまっとうして、しばらくは思い出に生きようと決心したのに、半年も経たないうちに保護猫カフェで見合いをしてしまった。兄妹と聞き、揃って引き取って我が家に来たのが5年前。ナナは長女で3匹のなかではもっともクールで、ハチやロクがわたしと打ち解けてもなお、ナナは気を許してくれなかった。
「ねぇ、ナナ。お願い、もうちょっとだけ休ませてぇ〜。あと20分!」 
 ……………………。
 ナナはあまり鳴かない。朝も黙ってわたしの顔に乗っている。起きるまでウンともスンとも言わない。いい加減なハチや、優柔不断なロクにくらべたらプライドが高くって、3匹のなかではいちばん頭がいい。
 にゃー。
 しかし、爪を切らせるのは、ナナがもっとも早かったのが不思議だな。あのときのおとなしいことおとなしいこと。しかし切り終わるとすぐに、お姫さま。
「ご苦労さま、お下がり」
 なんて雰囲気だ。すぐにわたしから離れていくのが、いかにもミケらしい。
 ミケ、ブチ、トラと初めて一緒に過ごしてみて実感するこの違い。
 そこには、たしかに秘密がある。

著者情報

大石孝雄(オオイシタカオ)
農学博士。京都大学卒。元東京農業大学教授。専門は伴侶動物学、動物遺伝学、動物資源学。
 日本で初めて、毛柄別の猫の行動・性格調査をおこなう。著書に『猫の動物学』(東京大学出版会)、『ネコになる本』(双葉社)ほかがある。