東京書籍

すべての人々に健やかな知的生活を

商品

評価関連商品 一般書籍

お客様

児童・生徒・保護者の皆さま 塾の皆さま 一般の皆さま

東京書籍

ディスレクシア 読み書きのLD 親と専門家のためのガイド

ディスレクシア 読み書きのLD 親と専門家のためのガイド

マーガレット・J・スノウリング/著 加藤醇子,宇野 彰/監訳 紅葉誠一/訳

ISBN:978-4-487-79725-7
定価4,620円(本体4,200円+税10%)
発売年月日:2008年02月01日
ページ数:368頁
判型:A5

解説:
学習障害の中核といわれる読み書きの障害ディスレクシアの確かな教科書。これまで英語圏中心で行われてきた研究がまとめられ今後進むべき方向が示されている,欠くべからざる関係者必携の基本図書。

著者情報

加藤醇子(かとうじゅんこ)
小児神経科医。横浜市立大学医学部卒。旧関東逓信病院、旧伊豆逓信病院、東京都立府中療育センター、瀬川小児神経学クリニック、横浜市南部地域療育センター、小児療育相談センターを経て、1995年、LD、ADHD、高機能自閉症、アスペルガー症候群などの発達問題を中心とするクリニック・かとうを開設。1990年には、典型的なディスレクシアの事例と出会う。1996年からマサチューセッツ総合病院のヘインズ、フック、マカルーソ博士らとLD児の日米比較研究を実施。国際ディスレクシア協会(IDA)会員、LD学会常任理事(任期平成21年)、発達性ディスレクシア研究会(略称JDRA。国際ディスレクシア協会(IDA)のグローバル・パートナーシップ)理事長、NPO法人らんふぁんぷらざ理事長
URL: http://clinickato.com   http://lenfant-plaza.com
《著書》『読み書き障害(ディスレクシア)のすべて』サリー・シェイウィッツ著 医学監修 PHP研究所 2006年 『のび太・ジャイアン症候群4 ADHDとアスペルガー症候群――この誤解多き子どもたちをどう救うか』(司馬理英子、千谷史子と共著)主婦の友社 2003年 『LDと医療』(中根晃と共著)日本LD学界 2000年

著者情報

紅葉誠一(もみじせいいち)
翻訳家。障害関係の主な訳書に、『ADHD注意欠陥・多動性障害 親と専門家のためのガイドブック』アリソン・マンデン&ジョン・アーセラス著 2000年 『成人のADHD 臨床ガイドブック』ロバート・レズニック著 2003年 『子どもの双極性障害』ディミトリ&ジャニス・パポロス著(2008年4月刊予定)(いずれも東京書籍)他がある。

著者情報

マーガレット・J・スノウリング(まーがれっとJすのうりんぐ)
英国生まれ。ブリストル大学卒業後、ロンドンのUCLのMRC発達心理学部門にてウタ・フリスのもと博士号を取得。1988年、臨床心理学者として登録される。最初National Hospitals College of Speech Sciencesに就職、のち1992年までNational Hospitals College of Speech Sciences校長、ニューカッスル大学心理学科長を1994年まで歴任。その後現在まで、ヨーク大学心理学科長兼教授。1997年The British Dyslexia AssociationよりMarion Welchman Award受賞、2003年The British Psychological Association Presidents' Award受賞、2005年The International Dyslexia AssociationよりSamule T Orton賞受賞。2008-2010年The Society for the Scientific Study of Reading会長。2008年3月開催のThe British Dyslexia Associations' International Conference 2008会長を務める。発達障害、とりわけ子どもの読み書き困難の研究者として世界的に広く知られている。
《著書》`Dyslexia, Speech and Language: A Practitioner's Handbook' (共著 with Joy Stackhouse) Whurr 2006 `Dyslexia: Biology, Cognition and Intervention' (共著 with Charles Hulme) Whurr 1997 `The Science of reading: A Handbook' (共著 with Charles Hulme) Blaciwell 2007年他

著者情報

宇野彰(うのあきら)
医学博士、言語聴覚士。日本大学、大阪教育大学、伊豆韮山温泉病院、江戸川病院リハビリテーション科科長代行兼言語室室長、東京大学医学部客室研究員、カリフォルニア大学デイヴィス校脳科学センター客室研究員、国立精神・神経センター精神保健研究所治療研究室室長を経て2004年より筑波大学大学院人間総合科学研究科感性認知脳科学専攻准教授。NPO法人LD・Dyslexiaセンター理事長。言語聴覚研究編集委員、日本音声言語医学会評議員、日本音声言語医学編集委員、発達障害研究編集委員、日本高次脳機能障害学会評議員、日本神経心理学会評議員、認知神経心理学研究会副理事長、発達性ディスレクシア研究会副理事長。専門は高次脳機能障害(対象は小児から老人まで)。最近は小児分野での研究が中心で、学習障害児(特に読み書き障害児)や小児失語症児などを対象としている。
《著書》『ことばとこころの発達と障害』永井書店 2007年 『小学生の読み書きスクリーニング検査』(春原のりこ、金子真人、Wydell, Taeko N.と共著)インテルナ出版 2006年

コンテンツ

  図表一覧
  謝辞
  まえがき
  日本語版に寄せて

第1章 ディスレクシアとは
  JMの症歴
  読み、綴り、音韻スキルの発達
  代償的方略の発達
  ディスレクシアにおける綴りの発達

第2章 ディスレクシアの定義
  ディスレクシアの医学モデル
  特異的読み障害
  全般的知的遅れによる読みの困難な児童と特異的読字障害のある児童との違い
  ディスクレパンシーによるディスレクシアの定義は正しいか
  ディスレクシアの発達モデル

第3章 音韻表象仮説
  比較対照群の問題
  読み年齢対応法
  言語性の障害としてのディスレクシア
  ディスレクシアにおける音韻的障害
    音声言語の短期記憶の障害/呼称の障害/ラピッドネーミング/復唱/語音認知/
    ディスレクシア児における語音の同定/ディスレクシアにおけるメタ音韻障害/音韻学習
  音韻表象レベルの中核的障害としてのディスレクシア

第4章 読みと綴りの学習
  読みの学習
    読みの発達段階モデル/異なる発達のパターン/アルファベットの原則の獲得/
    音韻スキルの役割――音素と韻のどちらが基礎になっているか
    単語の認識力の発達――個別認識モデル
  綴りの学習
  読みと綴りの学習に関する長期的研究
  音韻能力の構造
    文字の知識が担っている役割
  読み学習のコネクショニストモデル
    サイデンバーグとマクレランドのモデル
    読み学習における「意味」の役割

第5章 ディスレクシア――書き言葉の障害
  ディスレクシア児が読みを苦手とする理由
  ディスレクシア児の非語の音読スキル
  単語の綴りの規則性がディスレクシアに与える影響
  ディスレクシア児における綴り
  話し言葉と綴りに関する継続的問題
  綴りにおける特異的な問題

第6章 ディスレクシアの個人差
  ディスレクシア児の分類
    ディスレクシアの読みと綴りの特性
    発達性読み障害と後天性読み障害の関連性
    症例群からのアプローチ
    回帰を用いた下位分類の試み
    ディスレクシア児の非語と不規則語の読み能力を予測する指標

第7章 音韻障害の重さの程度による仮説
  音韻的発達の質的な差異
    「重さの程度」仮説による症例検討
    音韻障害のある児童の読みと綴りの学習
    音韻出力と綴りの発達
  ディスレクシアを一元的に定義することは可能か

第8章 ディスレクシアの生物学的基盤
  ディスレクシアの遺伝性
    読みの下位スキルの遺伝性
    ディスレクシアにおける個人差の遺伝性
  ディスレクシアの遺伝的基盤
    就学前児童の前駆症状
  ディスレクシアと脳
    側性化と免疫疾患とディスレクシアの関係

第9章 ディスレクシアは感覚障害か
  視覚処理障害としてのディスレクシア
    「一時的」な視覚系の障害
    ディスレクシアの人と読み健常者の動きの識別
  ディスレクシアにおける時間的処理の障害
  ディスレクシアにおける聴覚処理障害
  全感覚障害についての根拠

第10章 ディスレクシア克服のための支援
  良い指導法についての研究
  読み困難の予防
    読み困難のリスクのある児童への早期介入
  読み学習への介入
    介入に対する子どもの反応の個人差
    般化に関する留意点

第11章 習熟と不完全さ――補償的教育の役割
  音韻障害がある子どもに読み書きを習得させるには
  言語スキルと読みの学習
  読みの学習における音韻スキルと意味スキルの相互作用
  環境要因の役割
    異なる言語間の要因/読みの練習
  重複症状の問題
  ディスレクシアの定義に向けて

第12章 まとめならびに今後の見通し

付録 発達性ディスレクシアの英語と日本語の言語間研究
日本語における読み書き障害と文字列から音韻列変換時の粒の大きさと透明性の仮説
                           タエコ・ナカヤマ・ワイデル
                           Taeko Nakayama Wydell, Ph.D.
  日本語の書記体系(表記)
    日本語のかな/日本語の漢字
  日本のディスレクシア
  「粒性と透明性の仮説」
  AS:英語・日本語バイリンガルで一言語のみにディスレクシアが見られる症例
  ASの日本語の読み
    漢字/仮名
  ASの英語での検査成績
    (1) ASと英語ネイティブの対照群
    (2) ASと日本人および英語ネイティブ被験者の対照群との比較
  考察
    一般的考察
  本項参考文献

監訳者あとがき………………加藤醇子
監訳者あとがき………………宇野 彰
参考文献
人名・団体索引
事項索引
支援・研究団体
著者・監訳者・訳者紹介