これから3巻を読む人だけに(レックス・グリーンの独白)
ジョナサンとジェシカはこのところ、ふたりで空を飛んでイチャつくのに夢中だった。
ぼくはぼくで、ふだんは人とふれあうのをいやがるメリッサと、ひさしぶりに手をつないだりなんかして(ああ、はっきりいうとキスもした)、
彼女といろんな感覚を共有した。
まあ、メリッサに気をとられすぎてたとしか、いいようがない。
ぼくらがそうしているあいだに、デスは、ひとりであれこれ推理と検証を重ねて、かなりの成果をあげていた。
まず、ダークリングがあらわれる地点には、ある法則があることをつかんだ。
父親からくすねたGPSのおかげもあるけど、さすが<数学の天才>というべきだろう。
デスはさらに、この街には、メリッサのマインドキャスティングがとどかない「死角」があることも発見した。
そして、そこにはなんと6人めのミッドナイターがかくれていたんだ。
デスはその人(マデリンさんというおばあさん)から、昔のビクスビーのようすや昔のミッドナイターのことを、いろいろ教わった。
どうも、昔のミッドナイターたちは、代々伝わる知識を教え合ったりして、かなり安定して、めぐまれていたそうだ。
ぼくらは孤立した孤児みたいなものだって、マデリンさんは言ったらしい。
だけどマデリンさんは、いちばん大事なことを話していなかった。
かつて、自分がダークリングに協力してしまったことをかくしていたんだ。
あいつらがいちど味をしめたことを忘れるわけはない。
ダークリングは〈特別な目の持ち主〉であるぼくを味方に引き入れようとした。
そう、ぼくを誘拐し、おぞましいハーフリングにしようしたんだ。
かわいそうなアナシーアの身がわりとして……。
みんなの捨て身(というか、破れかぶれって感じ?)の活躍で、なんとか脱出できたのはよかったが、
あの「ダークリングに囚われていた瞬間」の悪夢はまだぼくにまとわりついている。
これから、ぼくはどうなってしまうんだ……?
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