みなさんの教室のICT環境はどの程度整備されているでしょうか。デジタルテレビ,プロジェクター,電子黒板,実物投影機,PC,デジタルカメラ,ネットワーク接続などがあります。教室に行くだけですべて使用できる地域もずいぶんと増えてきましたが,これから整備されていく自治体もあります。いくつかそのケーススタディをしてみましょう。
毎日の授業でICTを使うことはなかなか難しいかもしれません。ICT機器をすぐ使える教室を確保するなど,機器準備の手間を最小限にしておきましょう。デジタル教科書にしかない映像や資料を見せることで,デジタル教科書ならではの良さを実感できます。
ここからは,すべての教室に次の提示機器がある場合を考えてみましょう。
デジタル教科書を提示するにはPCが必要です。授業用のPCが教室にない場合,職員室から持ち運ぶのは大変かもしれませんが,ケーブルや電源等を教室に置いておくなど,すぐに使えるようにしておきましょう。40インチ程度の画面では,文字が見づらい場合があります。教室の後ろからしっかり見えるか確認した上で,見せ方や見せるものを工夫しましょう。
PCが必要なのは同様です。大きなスクリーンを使えば,小さな文字も見せやすくなります。反面,テレビに比べると,画面が暗いこともあります。見せる資料によっては十分見えているか,確認した方がよいでしょう。
画面上でデジタル教科書を操作したり書き込んだりできるのが,電子黒板の利点です。まずは毎日の授業でどんどん使ってみましょう。どこで見せるべきか,どこは従来の黒板にまとめるべきか,使い分けのポイントがしだいに見えてきます。なお,書き込みや拡大のボタンは,電子黒板とデジタル教科書の両方についていることがあります。違いを確かめてから使うようにしましょう。
稲垣 忠 (いながき ただし)
1976年愛知県生まれ。東北学院大学講師などを経て,現職。博士(情報学)。著書に「デジタル社会の学びのかたち」「授業設計マニュアルVer.2」(ともに北大路書房)など。
稲垣先生のWebサイト http://www.ina-lab.net/
※執筆者の所属や役職は執筆時のものです