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ICT サポート情報 デジタル教科書を活用する 「効果的に使う」とは,どういうことか
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「使いこなす」幻想から,「授業の助っ人」へ

デジタル教科書には,たくさんの機能があります。「私に使いこなせるかな」と不安になるかもしれません。しかし,すべての機能を使うことが「使いこなす」ことでしょうか。デジタル教科書を使えば,次々に資料や映像を見せることができます。ところが,資料について適切な発問をしたり,子どもたちが考えたりする時間を確保しなければ、「教えたつもり」の授業になってしまいかねません。つまり,授業の組み立てが主であって,デジタル教科書は従の関係です。


授業を考える際,私たちは,まず,本時のねらいを確認します。次に,学習内容の特性や児童生徒の実態を考えながら「導入-展開-まとめ」の組み立てを考えます。デジタル教科書の使い方を考えるのは,この段階からです。有名な授業設計理論の1つ「ガニェの9教授事象」には,授業を組み立てるために教師ができる9つの方略が示されています。導入で意欲をもたせたい,前時の確認をしたい,展開でわかりやすく説明したい,子どもたちの活動を支える材料を用意したい。1つ1つの願いが明確になったときに,デジタル教科書を眺めてみましょう。紙の教科書にはない映像や部分の拡大表示。そして,ワークシート作成にも役立つ。あなたの授業をより魅力的にする「助っ人」です。「ここは使える」「ここは,今回は使わなくていいかな」「もっとこんな教材はないかな?」といった見極めができることが,何より「使いこなす」ことなのです。


デジタル教科書活用の3つのステップ

授業のねらいにそってデジタル教科書の活用方法を考えるにしても、やはり画面を見ると,さまざまなボタンや資料が豊富に用意されていることに変わりはありません。あちこちクリックすればするほど,「これも面白い」「これは子どもたちに見せたいな」「こんなこともできるんだ!」となり,結局,どんな授業をしたかったのかねらいがぼやけてしまうかもしれません。 デジタル教科書は,先生がすぐに必要な機能を呼び出せるように,たくさんのボタンを隠さず並べてあります。私は,これらの機能を大きく3つに分けて活用方法を検討することで,迷わず,必要な機能の使い方を学んでいけると考えています。


【第1ステップ】「見せるだけ」

紙の教科書と同じ紙面を見せるだけでは,デジタルの意味はありません。「見せたいところだけ大きく見せる」が第一歩です。算数の問題や国語の挿絵など,クリックすればその部分だけ大きく見せられます。説明するにも話し合うにも,1つの資料に集中できます。大きく見えるので,資料の細かいところまで気付きを共有することもできます。

教科書にない資料を見せることもできます。動画や関連する写真,音声など,紙では表現できない情報がデジタル教科書には収録されています。導入で見せてイメージをつかませたり,話し合う材料にしたりするなど,デジタルならではの授業が実現します。繰り返し見せる,途中で止める,音声を消すなど,見せ方のアレンジも意識してみましょう。


【第2ステップ】「書く,かくす,動かす」

次は,デジタル教科書の素材にちょっとアレンジを加えます。書いたり,かくしたり,動かしたりしてみましょう。電子黒板のペンで大事なところや子どもたちの発言の関連部分に線をひいたり,囲んだりします。また,付せん機能を使うと,素材を隠したり,少しずつずらしながら見せたりすることができます。 デジタルは「見せる」だけでなく「隠す」にも効果的なのです。ほかにも,例えば算数では,図形を動かすこともできます。社会科なら,グラフなどの統計資料をクリックするだけで少しずつ見せることができます。

ただし,これらの機能には注意が必要です。電子黒板で画面上に直接書いたり動かしたりできるときには効果的ですが,手元のパソコンに目を落として毎度操作していると,かえって授業のテンポが悪くなることがあります。その場合は,スクリーンにホワイトボードマーカーを使って書くなど,「半デジタル」な使い方がしっくりくるかもしれません。


【第3ステップ】「つくる」

最後にオリジナルの教材にアレンジする方法をご紹介します。「MY教科書エディタ」を使うと,教科書の本文や挿絵を自由に組み合わせて,オリジナルの教材をつくることができます。自分で撮影した写真を取り込むこともできます。また,書き込みやスタンプ,付せんなどと組み合わせることもできます。挿絵を2つ並べて提示し気付いたことを話し合わせる活動などに便利です。

また,印刷もできますから,掲示資料やワークシートの作成にも役立ちます。デジタル教科書は,授業中だけでなく授業の準備にも活用できるのです。アナログの資料・教材づくりにデジタル教科書を活用してみましょう。

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