東京書籍

 

黒澤明全作品と全生涯
都築政昭/著
  • ISBN:978-4-487-80434-4
  • 本体価格3,000円
  • 発売年月:2010-02-01
  • 体裁:  480頁
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2010年3月23日,黒澤明・生誕100年記念を飾る,黒澤映画の全容を知る完全決定版。黒澤明研究をライフワークとしてきた著者が,貴重なスチール写真やプライベート写真を交えて,黒澤映画の映像美やカメラワークの秘密に迫る。

著者情報

都築政昭(つづきまさあき)
1934年生まれ。
日本大学芸術学部映画学科卒。1959年にNHK入局。テレビ・ドキュメンタリーを30年間担当する。退職後、九州芸術工科大学教授をへて、現在は映画評論家・ロシア文学評論家。「黒澤明研究会」会長。
主な著書に、『黒澤明一作一生全30作品』講談社1998、朝日ソノラマより『黒澤明と赤ひげ』2000、『黒澤明と七人の侍』2001、『黒澤明と天国と地獄』2002等の作品シリーズを刊行。

コンテンツ

プロロ―グ
 世界の映画を変えた監督
 人間の尊厳と崇高な感情
 黒澤を師と仰ぐ世界の映画人

第一章 黒澤明・映画と人間

一、黒澤ワールド――人間賛歌
 謙虚と自負
 生命への畏敬と自然愛
 真に美しい人――愛と自己犠牲
 男の世界――サムライへの憧憬
 人間は変わりうるもの――成長と変身
 怒りの徳目とエンタテイメント
 世界は一つ、地球は一つ

二、映画が生んだ巨人
 魂に語りかける観念的作家
 演出窯変説――人事を超えた不動の質感
 非凡な造形力――究極の魂の風景
 集中力とカリスマ――不可能への挑戦 
 撮影現場が一番好き――常在戦場

三、映画への一筋の道
 武士の典型を生きた父
 絵画と文学に熱中した少年
 反面教師の兄の死
 偶然、映画の門を叩く
 峠の風と一筋の道
 恋と処女作までの茨道

第二章 戦時下の処女作

映画(一)一九四三~一九五〇
『姿三四郎』(一九四三年)
 「絶対です、買って下さい!」
 新米監督の第一声「ヨーイ、スタート!」
 試練が三四郎を育てる成長物語
 無心に咲く花――無私の境地
 神風が吹いた右京ケ原の決闘

映画美溢れるアクション映画
『一番美しく』(一九四四年)
  セミドキュメンタリー狙う
 「滅私奉公」の美しさ

戦時下の人々に鮮烈な感動
『続姿三四郎』(一九四四年)
  妙に魅かれた復警鬼
『虎の尾を踏む男達』(一九五五年)
  敗戦と喜劇――終戦前後の撮影
 勧進帳で和製ミュージカルの試み
 封建制助長作品となった悲運な作品

第三章 戦後映画のリーダー
映画(二)一九四六~一九五〇
 「俺がやる!」
 一市井人として迎えた終戦
 表現者としての猛省から出発
 新しいヒーローの創造
『わが青春に悔なし』(一九四六年)
 ファシズムと闘った人たちへの鎮魂
 自我に目覚めた〝新しい女〟
 「はじめてものが言えた作品」
『素晴らしき日曜日』(一九四七年)
 東宝争議の中で
 「日本もぼくらも零からの出直しだ」
 現実に負けまいとする恋人たち
 観客に話しかける二人だけの演奏会
『酔いどれ天使』(一九四八年)
 「やっと、これが俺だ」という作品
 三船敏郎と志村喬――黄金コンビ誕生
 天使はアル中の医者
 落ち目なヤクザの末路
『静かなる決闘』(一九四九年)
 不条理と誠実に闘う青年医師
 ストイックに生き聖者と呼ばれる
『野良犬』(一九四九年)
 戦後シリーズの集大成は刑事もの
 執念で追う盗まれたピストル
 「悪い奴は悪いんだ」
 勝者と敗者
『醜聞(スキャンダル)』(一九五〇年)
 言論の暴力と闘う青年画家
 悪徳弁護士から星が生まれた

第四章 豊穣――真に美しい人間
映画(三)一九五〇~一九五五
 人間の愛と尊厳
人間不信から人間信頼へ
豊穣――国際賞の受賞と二つの代表作
 誕生
『羅生門』(一九五〇年)
 一躍、世界の「クロサワ」になる
 真夏の京都を拠点にして
 食い違う三人三様の証言
 「人を信じていくことができそうだ」
 不評から一転、グランプリに輝く
『白痴』(一九五一年)
 ドストエフスキーへの畏敬から映画化
 戦争が生んだ二人の人物
 真に善良な人間亀田、現実の中へ
 「フィルムを縦に切れ!」
『生きる』(一九五二年)
 名もない庶民を英雄に
 「これではとても死にきれない」
 「死」から「生」への変身ドラマ
 ガンの宣告と孤独地獄
 歓楽街に慰めはなかった
 奈落の底に光――乙女の生命力
 通夜の会話――渡辺の異常な行動の真意が
 崇高に燃え尽きる渡辺の姿
 万人が感動した『生きる』
『七人の侍』(一九五四年)
 楽しい時代劇を、だが思わぬ辛酸
 侍に理想の人間像を託す
 勘兵衛と菊千代の誕生
 冒頭で侍の理想を生きる勘兵衛
 難航する侍探し
 侍と百姓の深い溝
 野武士への怨念のこもった村
 遅れる撮影、したたかに粘る黒澤
 まず野武士の戦カダウンを図る
 決戦――死に物狂いの撮影
 映画の中の映画
 『生きものの記録』(一九五五年)
 脅かされる放射能禍〝死の灰〟
 「殺されるのはいやだ!」
 資する者たちを守るために
 不運な作品、だが一番好きな作品

第五章 映画作り(一)
ドラマトゥルギー
 一、映画でのシェークスピア
 二、極限状況の二極対立
 三、思いもよらぬ展開でいのちが宿る
 四、〝人間を押し〟その肉づけを獲得せよ
シナリオ
 一、黒澤のシナリオ論――「シナリオについて」
 二、シナリオは自分で書く
 三、川の流れのように――箱書きは愚行
 四、共同執筆――男と男の真剣勝負
 五、強いテーマ、強いストーリー、強い画面
演出
 一、ごく自然に見えるまでリハーサル
 二、演技は自分で絞り出せ
 三、絶妙なキャッチ・ウェーブ
撮影
 一、「縦の構図」とパンフォーカス
 二、独自の複数カメラ方式
 三、望遠レンズがスタンダード
 四、カメラを感じさせてはならない
 五、闘うカメラ、水火を辞さず
 六、現実時間の重視と長回し
編集
 一、カットとカットのつなぎ目に映画がある
 二、ロケ地に編集機を携行

第六章 映画美への挑戦
映画(四)一九五七~一九六二
映画美を極める
『蜘蛛巣城』(一九五七年)
  鎧ものの『マクペス』を能の様式美で
  圧巻の日本美――武者絵と妖怪と
  武時、妻に唆されて大逆
  妄執の果てに行きつけば
『どん底』(一九五七年)
  明るくて面白い『どん底』に
  居すわり組と夢追い組
菩薩のような巡礼善平が現れる
艶ダネと馬鹿囃子
  人間への熱い眼差し
『隠し砦の三悪人』(一九五八年)
 敵中横断の大活躍を初のワイドで
雪姫と黄金を守っての敵中横断
 絶体絶命からの脱出ドラマ
 人の命は火と燃やせ
『悪い奴ほどよく眠る』(一九六〇年)
 最大の悪、汚職の構造にメス
 謎のウェディングケーキ
命をもって忠義立てする下級官吏
復讐鬼となる西
「俺はそのダイナマイトになるよ」
 凶悪の逆襲で謀殺される西
  映画は、ここで終わらない
『用心棒』(一九六一年)
 スーパーマン三十郎の登場
 宿場のヤクザを自滅させる
 現代世界の痛烈なパロディ
『椿三十郎』(一九六二年)
 お家騒動に助太刀する三十郎
 城代家老の奪還、その攻防
 斬り込みの合図は椿の花
 「大人しく鞘に入ってろ」

第七章 第二の豊穣――人間愛の集大成
映画(五)一九六三~一九六五

愛の生き生きとした行為者たち
『天国と地獄』(一九六三年)
 誘拐――それは一番卑劣な犯罪
 誘拐されたのは他人の子
 身代金で一夜苦悩する権藤
 疾走する特急こだまで身代金の授受
 汗と執念の犯人追跡――モラルの対決
 ついに犯人の特定――病院のインターン
 徹底した悪を断罪
『赤ひげ』(一九六五年)
 人間愛の集大成
 青年医師保本登の試練と成長
 赤ひげ、患者に献身的な愛
 映画美を極めた黒澤映画の集大成

第八章 映画づくり(二)
 美術
 最も重要なのは実在感
 音楽
 音楽は自分で決める
 親友早坂文雄との仕事
 一(いち)の音楽ではいけない
 効果音
 画面がいのちを孕む

第九章 自由な境地で自在に
映画(六)一九七〇~一九八五
ハリウッドへの挑戦と挫折
『どですかでん』(一九七〇年)
 「四騎の会」で復活の狼煙
 いとしい人間マンダラ
 六ちゃんの電車が「街」を走る
 あやなす様々な人生にスポット
 謎の自殺未遂事件
『デルス・ウザーラ』(一九七五年)
 三十年も暖めた企画をソ連で
 自然人デルスの知恵と愛
 デルスにしのび寄る老いの影
 年来の夢を淡々とした映像で
『影武者』(一九八〇年)
 次作『乱』の助走的作品
 我もし死すとも三年は喪を秘せ
 盗人が御屋形様――いかに欺くか
 信玄がのりうつった影武者
 鬼哭啾々たる眺め
『乱』(一九八五年)
 構想八年のライフワーク
 天の視点から人間を見る
 秀虎の隠居が悲劇の導火線
 息子たちの裏切りで孤立する秀虎
 復讐の鬼となった楓の方がヒロイン
 阿鼻叫喚! 落城の地獄絵
 復讐の鬼となった楓の方がヒロイン
 兄弟で戦い一文字家滅亡
 一の城は阿鼻叫喚!
 フロンティアとしての新境地

第十章 心の一番奥の恐れ
映画(七)一九九〇~一九九三
濃厚な遺言的色彩の三部作
『夢』(一九九〇年)
 「地球がなきゃ人類は生存できない」
 自然との共存――そのやさしさと怖さ
 戦没者への鎮魂
 悲劇の画家ゴッホへのオマージュ
 地球が危ない!
 人間が住むべき理想卿
『八月の狂詩曲』(一九九一年)
 原爆問題が自然に滲み出た
 孫たちの原爆体験
 「あいはピカの目じゃ!」
 「スミマセンデシタ」「よかとですよ」
 駆けるお祖母ちゃんと「野バラ」
『まあだだよ』(一九九三年)
 弱点をさらけ出す、これもサムライ
 慕われる金無垢先生
 暗い時代を支える師弟愛
 ノラの失踪で泣きべそかく先生
 自分にとって大切なものを見つけるといい

エピローグ 入魂の三十本
 残照――粋に行きましょう
 「鮮烈な詩のような映画を創りたい」
 ドストエフスキーの不吉な予感
 映画の巨人の静かな死


巻末資料
・詳細年表(黒澤の生涯と社会の出来事)
・全三十作品、スタッフ、キャスト一覧
・参考文献一覧
・黒澤映画のDVD案内

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