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新訂 自閉症の謎を解き明かす

新訂 自閉症の謎を解き明かす

ウタ・フリス/著 冨田真紀,清水康夫,鈴木玲子/訳

ISBN:978-4-487-79919-0
定価2,750円(本体2,500円+税10%)
発売年月日:2009年02月01日
ページ数:448頁
判型:四六版

解説:
現在の自閉症の理解の基礎に多大な貢献をした初版から19年,最新の医学的研究成果を踏まえ,認知心理学から脳科学へとつなぐ全面改訂を経て,自閉症理解の最先端とこれからが見える新たなる必読書として登場。

著者情報

冨田真紀(とみたまき)
1950年,東京に生まれる。早稲田大学文学研究科心理学専攻修士課程修了。1983年より東京下町の台東区松が谷福祉会館で心理職として勤務。発達障害の治療教育事業に長く従事し,その経験を活かして,地域施設での子どもの社会性の発達促進の指導法を提案している。
《訳書》『青年期の自閉症』上・下(共訳)1987年 岩崎学術出版社,トニー・アドウッド著『ガイドブック アスペルガー症候群』(共訳)1999年 ブレンダ・スミス・マイルズ著『アスペルガー症候群とパニックへの対処法』(監訳)2002年 いずれも東京書籍。

著者情報

ウタ・フリス(うたふりす)
ドイツに生まれる。ザールラント大学で心理学と美術史を学ぶ。ロンドン大学精神医学研究所を卒業。医学研究評議会(MRC)認知発達部門研究科学者,教授,ロンドン大学カレッジ特別研究員を経て,現在ロンドン大学認知神経科学研究所名誉教授,デンマークのアーフス大学客員教授。自閉症を中心に研究生活を送る。1991年,発達障害(とくに自閉症とディスレクシア)の研究により,英国心理学会学会長賞を受賞。
おもな著書『自閉症の謎を解き明かす』(初版)原書1989年,『自閉症とアスペルガー症候群』(編著)原著1991年,Autism History(共著)2000年,Autism-Mind and Brain(共著)2004年,Learning Brain(共著)2005年

著者情報

清水康夫(しみずやすお)
群馬県出身。東京大学医学部医学科卒。1975年から1989年まで東京大学医学部付属病院精神神経科に勤務。1989年から現在まで横浜市総合リハビリテーションセンターにて主に発達障害の臨床と研究に従事。現在,副センター長。専門は発達精神医学。
《最近の主な著書》自閉症の療育:こころのリハビリテーション医学(第2版)』伊藤利之 他編 医学書院 2008年,『知的障害と発達障害に関する議論と展望:発達障害児のリハビリテーション―運動発達系障害と精神発達系障害―』伊藤利之 他編 永井書店 2008年,『アスペルガー症候群―早期からの治療戦略―:児童・青年期の精神障害治療ガイドライン新訂版』精神科治療学増刊号 星和書店 2008年

著者情報

鈴木玲子(すずきれいこ)
静岡県御殿場市出身。青山学院大学文学部英米文学科卒。英会話学校講師を務めるかたわら東京大学出版会にて医学書編集を経験したのち,米映画会社に入社。洋画配給会社に移籍後,1992年に退社。フリーランスで雑誌・書籍の翻訳,映画作品ノベライズ執筆等に携わるほか,来日アーティストの通訳を務めて現在に至る。
《訳書》ニコルソン著『ビリー・ホリディ:音楽と生涯』(日本テレビ出版),スカルメタ著『イル・ポスティーノ』(徳間文庫),カールソン著『プレーにストレスを感じるゴルファーのために』(扶桑社),アダムズ著『神のかけら』(アーティストハウス・パブリッシャーズ),ギャビン著『終わりなき闇:チェット・ベイかーのすべて」

コンテンツ

   図版一覧
   新訂版への序
   謝辞

第一章 自閉症とは
   《ピーター》
   自閉症は始めにどう認識されたか
      カナーとアスペルガーは自閉症をどう記述したか
   今日の診断基準
   アスペルガー症候群
   自閉的障害の診断は難しいのか?
      診断はさらに進歩するか?
   成人期にはどうなる?

第二章 自閉症の魅惑の世界
   《眠り姫》
   《アマノジャク》
   《修道士ジネプロ》
   古ロシアの《聖なる愚者》
   《シャーロック・ホームズ》
   TOMMY《ピンボールの魔術師》
   《取り替えられた子ども》
   《ロボット》
   《イライザ》コンピュータの精神科医
   母たちのジレンマ
   自閉症の神話,そして治療法

第三章 歴史から学ぶ
   《アヴェロンの野生児》(一八世紀フランス)
      ヴィクトールは自閉症だった?/ヴィクトールのその後/野生児のミステリー
   《カスパー・ハウザー》(一九世紀ドイツ)
      カスパーは自閉症か?
   ルーマニアの孤児たちのケース
   ボルグのヒュー・ブレア
   ジョン・ハワードのケース

第四章 自閉症は増えているのか?
   地域社会での集団研究
   自閉症は確かな症候群か?
      障害の三つ組/自閉症のスペクトル――その向こうに
   自閉症はなぜ男の子に多い?
   増える例数,広がる認識
   自閉症とその周辺の発達障害
      自閉症と統合失調症
   自閉症の種々の原因
      遺伝的要因/環境内のリスク要因
   原因不明の障害とともに生きる

第五章 心の読みとり,心の盲目
   「心の盲目」仮説を検証する
   心の理論の起こり
   サリーとアンの実験
   菓子箱の中のエンピツ
   行動主義者,物理学者,心理学者の4コマ漫画
   現実とは違った写真
   妨害とだまし作戦
   心理化研究の進展
   進化する心理化

第六章 自閉症の孤立性
   社会的な有能さと不器用さ
   通常の発達における社会的反応
      注意の共有
   自閉症と社会性への学習
   他人の中に見えるもの
      人の顔/目の動き/手による語り
   感情の世界
      愛着/感情表現を理解する/感情の表出/さまざまな「共感性」/自閉症VSサイコパス
   日常生活での心のコミュニケーション

第七章 人と話す難しさ
   ある会話
   自閉症の言語表現――何が問題か?
   言語獲取の遅れ
      「ピーター,ピーター,パンプキン・イーター」
      「(今日は)と言うのよ,ボブ」「(今日は)と言うのよ,ボブ」/僕と君,君と僕
   書かれた言葉
   雄弁な話し方
      コミュニケーションでの言葉の用い方/関連することを伝える
   意図的コミュニケーション

第八章 知能と特殊な才能
   自閉症と知的遅れ
   アンダーソンの知能モデル
      高い知的能力――低いIQ評価
   IQテストの山と谷
   学校的知能と日常的知能
      機械的な記憶力,その背景
   輝ける知的奇才たち
      サヴァンの才能の解明

第九章 断片化した世界
   ジグソーパズルの謎
   隠れた図形
   積木模様
   機械的記憶
   構成要素とその文脈
   分離と統合――総合的視点
   新たな視点
      認知スタイル/「システム化」/強化された知覚処理/心の読みとりと全体的統合との関係

第十章 感覚的経験と繰り返し行動
   五感の働き
   注意の統制
      何が注目に値する?
   常同的な行為と思考の意味
   日常の決まりと硬さ
      断片的な感覚的経験と行為
   実行機能の働き
      実行機能の欠陥と自閉症の諸理論

第十一章 スキャナーで脳を見る
   脳のどこが違うのか?
   大きすぎる脳
      「刈り込み」が行われないと,どんなことが起きるか?
   脳画像技術による新しい知見
   安静時の脳
      小脳/側頭葉/扁桃体
   活動している脳
      心理化のシステムを検証する/心理化システムの基本
      自閉症における心理化システムの活動低下
      実行機能を検証する/全体的統合を検証する/顔の認知を検証する
      現状では,どのような結論が可能か?

第十二章 違いのある脳,違いのある心
   健全な理論,不健全な理論
   三つの理論
   統一的な解明
      空白の自己/知ることについて知る/ありえない考え/自己,コミュニケーション,文脈
   有効な対処法
      心の世界へのゆっくりした気づき/トップダウンのコントロールを強化する
      連合による学習/埋め合わせのコスト/状態像の理解による助け

   訳者あとがき   冨田真紀
   訳者あとがき   清水康夫
   用語解説
   参考文献
   人名索引
   事項索引